素人が中古車の当たりハズレを正確に見分けるのは非常に難しい。一番確実で安心な方法は、なんといってもお店選びだ!
そこで、中古車店からの広告料で成り立つ中古車情報誌が書けないマル秘テクとは?
現在、中古車情報サイトに掲載される販売店の数は約2万3千軒。広告を出していないお店も含めれば総数は計り知れず、どこで買えばいいのか迷ってしまう。
「クルマは気に入ったものを買うのが一番。でも、中古車は〝どれを買うか〟よりも、〝どこで買うか〟が重要なのです」と訴えるのは、中古車情報誌のベテラン編集者だ。彼がお店選びを最重要視する理由は以下のふたつ。
①中古車はひとつとして同じ状態のものがない。質のいい車両を集める店か、多少難アリでも安い車両を集める店か。いい店が見つかれば、自動的にいいクルマも見つかる。
②中古車店は、購入後に始まるカーライフの入り口。車検や整備など、店やスタッフとの付き合いは、そのクルマに乗り続ける限り続く。
「特に②は大切です。店に不信感があると、ちゃんと整備をしてもらえるかさえも不安だし、店に行くたびにイヤな気持ちになる。『この人と話すと楽しい♪』と思えるような担当者のいる店を探してほしいですね」(中古車情報誌編集者)
では具体的に、どうやっていい店を見つけるか? 素人考えだと、メーカー直系の中古車ディーラーや大規模販売店に目がいきがちだが。中古車情報誌の広告営業担当者に聞いてみた。
「規模が小さくても、歴史の長い店はお客さんからの評判が高い場合が多いですよ。少し社長の口が悪かったりすることもありますが(笑)、そういう店は、売ったクルマの面倒はしっかりと見る。小規模店は地域に根づいた商売をするので、変なことをすると噂が広まり、長く商売を続けられないんです。
同じ車種専門で長く商売を続けているところもいい店が多いですね。休日にお客さんが集まっているようなら、そこはマニアから信頼されている店の証(あかし)。購入後の整備も安心して任せられるでしょう。インターネットに広告を出している店には、メールで問い合わせすることもできる。小さな店だと返信に時間がかかることもありますが、丁寧な返事をくれる店なら信頼しても大丈夫です」
中古車サイトでクルマを探す際は、ついつい写真にばかり目がいきがち。でも、店によっては写真のコメント文にクルマの状態を細かく書いてある場合もある。中には、「現状だとここが調子悪い」というネガティブな情報も載っている場合もある。
商品の情報を包み隠さずに書いているのは、安心できる店の場合が多い。その上で、調子が悪い箇所は修理可能か、費用はいくらかなどを確認すればいいのだ。
展示車が汚い店はすぐに立ち去るべき
中古車の探し方が雑誌からインターネットに代わったことで、お客さんの行動も変わった。神奈川県で中古車販売店を営むU氏が言う。
「以前は熱心に展示車を見る人が多かったけど、最近はほとんどクルマを見ず、店舗内をジロジロ見る人が増えました。聞けば、ネットに20枚以上も写真が掲載されているから、来店する前に十分確認したと言うんですよ。それよりも、店内がキレイかどうかをチェックしていると。
それでクルマに関しては、『もし何かあっても保証で対応してくれるんでしょ?』という考え方なんです。確かにその通りですが、本当にいいのか、こちらが心配になっちゃうんです…」
あまりに店内をチェックするお客さんが多いので、U氏は店舗の内装やトイレを改装したそうだ。では、中古車店に行った時、どんな部分をチェックするのが正解なのだろうか?
「展示されているクルマがあまり洗車されておらず、ホコリをかぶっているような店は避けましょう。商品をキレイにしないということは、購入後もちゃんと面倒を見てくれない危険性がある。 クルマを見る時は、ナビの履歴もチェックしてください。店頭に並んでいるのにデータが消去されていない場合、情報管理に無頓着(むとんちゃく)な店である可能性が大きい」(U氏)
さらにU 氏は、スタッフとの会話からも店の姿勢がある程度わかると言う。
「お客さんはクルマに詳しい人ばかりではありません。店頭ではいろいろな質問をされます。だからウチでは、どんな質問にも答えられるよう、扱うクルマのことはしっかりと勉強させています。お客さんの質問に答えられないような店は、やめておいたほうが無難だと思いますね」
中古車購入で店選びが重要なのは、余計なトラブルを避けるためでもある。では、実際にどのようなトラブルが多いのか?
自動車公正取引協議会が発表した「平成26 年度の公取協における消費者相談受付状況」によると、中古車関係の相談で最も多かったのは「品質・機能」(51.4%)についてだ。以下、「キャンセル」(21.5%)、「契約・取引方法」(19.2%)と続く。
品質・機能は、買ったクルマの不調や故障に関するものが多い。中古車情報サイトの利用が一般的になったことで、遠方から一度も実車を見ないで購入するケースが増えていることも原因のひとつだ。
特に内外装のキズに関しては、店側がすべてを把握しきれない場合や、極めて小さいものはキズに入らないと店が判断するケースもある。たとえ遠方でも、実車の確認はきちんとするべき。万が一トラブルが発生したら、膨大な時間と労力をかけなくてはならなくなるのだから…。
『週刊プレイボーイ』10号ではこの他にも、「憧れのクルマに安く乗って、高く売る方法」を大検証。ぜひ、参考にしていただきたい。
■『週刊プレイボーイ』10号(2月22日発売)「情報誌が絶対書けない 禁断の中古車購入術」より
(取材・文/菅沼 慶 手束 毅 萩原文博 デザイン/中山真志)