最近の街コンは1店舗開催の“店コン”が主流。かつてのお祭りムードはなくなってきている… 最近の街コンは1店舗開催の“店コン”が主流。かつてのお祭りムードはなくなってきている…

今や1店舗・1開催が主流となった街コン。街中に点在する複数の店を移動しながら、異性との出会いを重ねるかつてのお祭り感は薄れ、そうなった原因が街コンポータルサイトのSEO対策にあったことを前回記事(運営担当者が激白「我々が街コンをダメにした…」)で伝えた。

それでも出会いの機会があるなら…と思う人もいるだろうが、「女性参加者の割合が少なすぎる」、「出てくる料理が乾き物ばかり」、「開催直前に中止に」など、街コン参加者の話や口コミサイトの書き込みをみるとネガティブな話が溢(あふ)れている。規模が縮小するばかりではなく、質の悪化も叫ばれているのが現状なのだ。

そこで、コスパが悪い街コンの傾向と、その見極め方とは――。

まず、開催前日になっても公式サイトやポータルサイトに参加店舗が公表されない街コンには注意が必要だという。大手ポータルサイト『まちコンポータル』を運営するチェーンバーメディア・事業推進部部長の林智章氏がこう話す。

「参加店舗が公表されないのは、まだ店を押さえていないから。店を押さえられないのは、まだ参加者が集まっていないからです。参加者が定員に達していても店を公表しない街コンも少なくないのですが、問い合わせ先に電話してどんな店が会場になるのかを直接聞いても担当者がはぐらかすような街コンは、まだ参加者が集まっていないか、男女比のバランスが悪いか、どちらかである可能性があります」

また、開催日間際に参加者が集まって開催にこぎつけたとしても…

「当日、参加店舗は大手居酒屋チェーンになるパターンが多い。大手居酒屋チェーンの中には社内に街コン事業部を設けている会社もあるようで、『明日、街コンを開催します』といった主催者の急な要望にも対応してくれるんです。個人店ではこの対応は不可能」(林氏)

大手居酒屋は出会いの場にふさわしくない…と思う人は参加店舗を公表しない街コンは避けたほうが良さそうだ。

ちなみに、参加店舗だけでなく、当日のフードとドリンクのメニューを事前に公表している街コンは“当たり”の可能性が高いという。街コン運営会社社長のA氏が話す。

「主催会社が参加店舗に支払う飲食代をケチれば『ビールが出ない』『料理は乾き物とスナック菓子』といったことになり、自信がないから公表しない。逆に自社の目先の利益より顧客満足度を優先する街コン業者は飲食代を多めに充(あ)て、質の高い飲食を提供してくれる。そこに自信があるから事前にメニューを公表するというわけです」

ドタキャン続出!?の女性限定0円コン

続いて、気をつけた方がいいのが最近増えだしている“女性限定・格安コン”。

今は、多くの街コン業者が女性参加者の集客に苦しんでいる。「街コンブームが下火になり、女性が街コンに出会いの場を求めなくなっている。また、無料での食べ飲み放題が可能な相席サービス提供店へ女性客が流出している現状もある」(A氏)という。

そこで、最近目立つようになっているのが女性の参加料金が極端に安い街コン。通常、女性の参加費は2千~3千円台が相場だが、980円、680円、中には相席屋同様、『女性0円』で食べ飲み放題の街コンも見受けられる。だが、参加費の安いほうが女性がたくさん来て出会いのチャンスが増える!と思うのは間違った認識のようで…、

「極端に安い街コンは女性の参加意識が低く、当日キャンセルが増える傾向があるのです。そのため、男女比率が男7:女3などアンバランスになる確率が高い。また、タダ食い&タダ飲み目的の女性も多く、いい出会いが期待できません」(林氏)

そして、こちらもここ数年で増加傾向にある自治体運営の街コン。『A市主催』『B市商工会議所主催、B市後援』など「行政の後ろ盾があるから安心」「女性(男性)の質が高そう」と思われがちだが、これも一概にそうとも言えないらしい。

「運営費に税金が投じられている以上、自治体は公平性を重視します。その結果、『20代限定』『30代まで』といった形で年齢制限がかけられず、20代の男性に50代の未婚女性がつく、といった年齢のミスマッチが起こりやすいのです。

また、当然ながら男女の参加費に差もつけられません。男性が5千円なら女性も5千円。つまり、自治体の街コンは民間と比べて女性の参加費が高くなりがち。すると当日、会場に行ってみたら女性の参加者の割合が少ない、なんてことも起こりうるわけです」(A氏)

全てがそうという話ではないが、自治体運営の街コンも女性限定・格安コンも、選ぶ際は慎重になったほうがいいということだ。

さらに、ここからは参加者に“実害”が出る恐れのある街コンについて。

「まずは、街コンを主催する業者が結婚紹介所と提携しているケース。参加申し込み時に登録した、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報が結婚紹介所へ横流しされ、街コン終了後から勧誘の電話やメールが続々と舞い込むことになります」(A氏)

いい街コンとダメな街コンの見抜き方

よりブラックな、出会い系業者がバックについている街コンにも要注意。

「出会い系サイトやアプリの運営会社が街コンに関わっているケースがあります。その中には、街コンなんてハナから開催するつもりがないのに個人情報を入手する目的で企画する悪徳な業者も…。サイト上の利用規約に『個人情報は関連サービスに使用させていただく場合がございます』なとど明記し、参加申し込みが完了した時点で出会い系サイトに登録させられている恐れもあります」(A氏)

他にも、開催中止となったのに参加料金が返金されなかった街コン、参加女性の多くがネットワークビジネスの勧誘目的だった街コンなど悪質な例は枚挙にいとまがない。では、悪徳な街コン業者を見抜くための方策は?

「主催者、主催会社の素性を確認することです。まず、街コンの開催情報が載っているホームページの一番下に『特定商取引法(特商法)に基づく表示』があるかどうかを確認してください。ネット上で申し込みを受け付ける街コンサイトを含め、ネットを活用した通信販売を行なう場合は『特商法に基づく表示』の掲載が義務付けられています。これがなければ論外。その街コンは参加しないほうがいいです。

特商法の表記がある場合、業者名、責任者名、住所、電話番号を確認してください。記載漏れもNGです。また、記載住所を『Googleストリートビュー』などで検索すると、その場所が別会社や別店舗、駐車場や空き地になっていたり、住所自体が存在しないケースもあります。参加料金が銀行振り込みの場合は、振込先の口座名義と『特商法の表示』にある責任者名が同一でないケースも…。そうした街コン業者は架空名義を使っている可能性がありますので避けたほうがいいでしょう」(林氏)

今回、前後編にわたって昨今の街コンの劣化ぶりを伝えたが、前編記事を配信した数日後、編集部に1通のメールが届いた。送り主は広島・福山市で定期開催されている「福山コン」の主催者・貝原大和氏。「仰る通り、最近はひどい街コンが後を絶ちません。でも、福山コンを一緒にしてほしくないんです」。

そこで後日、貝原氏へ話を聞きに行くと…。

「1店舗開催の街コンが増える中、『福山コン』は毎回300~500人の参加者を集め、参加店舗は10店舗以上。今もなお、街コンならではの“お祭り感”、“ジャック感”を残しています。参加店舗にチェーン店はなく、地元に根付くこだわりの飲食店をそろえ、チップス、枝豆、ポテトフライの提供は全店でNG。

もちろん参加店舗と提供メニューは事前に公表し、イベント当日は専用のアプリを活用して、参加者全員がスマホやガラケーで全店舗の空席情報をリアルタイムで閲覧できる状態にしています。

下火になった街コンの実態を取り上げていただくのは構いませんが、まだまだ“頑張っている街コン”もあるということをわかってほしい」

とのことだったが、もちろんまだまだイイ街コンにはイイ出会いがある!はず…。だからこそ、コスパが低かったり、内容がブラックだったり、そんな“ハズレくじ”を引かないよう、街コン選びは慎重に!

(取材・文/興山英雄)