震災から5年が経った今、福島の女のコたちの恋愛や結婚観に変化はあったのか? 福島第一原発から西におよそ50km。福島県郡山市で行なわれた街コンで調査してみた。
最初に同席したのは、20代前半のファッショナブルなOLペア。東京から来たことを伝えると、「福島の女性ってどう見えてるんですか?」と聞かれた。彼女たちは、原発の影響で福島出身の女性とは付き合いたくないと考える県外の男性が多いのでは、と心配しているらしい。
「親にも他県の人とは結婚できないでしょって言われてて。私としては、いつも天気予報と一緒に放射線量が伝えられるのに慣れてしまって、もはや何も感じなくなってしまっているんですけどね」
とはいえ、未だに偏見はある。友人が東京に行った時、車に傷をつけられた。「おそらく福島ナンバーだったから」と、ふたりは言う。しかも、そうした偏見は県内にも存在するらしい。
「福島県内には福島ナンバー、郡山ナンバー、会津ナンバー、いわきナンバーの4種類があるんですよ。原発に近い地域のいわきナンバーの車で会津や郡山に来たりすると、同じように傷つけられたりすることもあるみたいですよ」
県内でもそのようなことがあるのだから、女性たちが「県外からの目」を意識してしまうのも仕方がないように思える…が!
「まあ、最初の頃はネガティブになってましたけど、いつまでも、ほんの一部の人の目を意識していても損だと思うようになりました! だから私、東京でライブやオフ会とかにも行って、あわよくば県外の男性と出会ってやろうと思ったりしてます(笑)。出身地を聞かれると『東北』とごまかしちゃうクセもありましたけど、最近は『福島』と言えるようになりました」
ようやく、 少しずつ、他県男子に対するコンプレックスを克服しているようだ。
「震災婚」が増えたといわれているが?
続いて、同席したのは24歳と30歳と年齢差のある看護師ペア。30歳の看護師は、震災時に4年間付き合っていた彼氏と別れてから、現在まで恋人はいないという。
しかし、東京では震災後に「つながり」や「安心感」を求めて結婚する、いわゆる「震災婚」が増えたといわれているが?
「震災後、しばらくは家族のための食料やガソリンの確保に必死で、彼と会ったりする余裕はありませんでした。そのまま会う頻度が減り、結局別れてしまいましたね」
友人の24歳看護師もうなずく。
「被害の大きかった地域に住む男性と付き合っていた私の友達も、当時の生活環境の差からすれ違いが生まれて別れてしまったというようなことを言っていました」
さらに30歳看護師は、「私の周りでは、震災後、結婚ではなく離婚する夫婦のほうが多かったんですよ。子供のために県外に逃げようとする奥さんと、仕事のために地元に残りたい旦那さんが離婚したりとか」と語る。
カップルは別れ、夫婦は離婚。そうしたことが周囲でたくさん起き、彼女も一時は、自分が恋愛や結婚をできるか不安になったという。
「でも、最近になって別れた奥さんが帰ってきたという男友達がふたりもいるんです! もう5年も経っているので、いい流れを感じて、私も勇気をもらっています(笑)」
「震災離婚」から数年経って、よりを戻し「再婚」する男女が現れ始めたことで、婚活中の彼女たちにも前向きな気持ちが戻ってきているようだ。
このあとは2次会に流れ、さらにディープな本音を晒(さら)してくれた彼女たち。そのやりとりは、『週刊プレイボーイ』12号「(3月7日発売)大特集「『3・11』から5年 未来のために今、知りたいこと」PART4にてお読みいただけます。