リトアニア首都ビリニュスのカシミール教会

ラバディエーナ(リトアニア語でこんにちわ)! 旅人マリーシャです。

エストニアラトビアと旅したバルト三国もいよいよ最後、3つの中で最も大きな国リトアニアにやってきました。三国はセットっぽく見えるけど、言語がどこも違うので、とっさの挨拶時には脳が一旦フリーズします。

それにしても、結局ここもまたシャイで上品な長身美人が多い。『ポケモンGO』も良いけど、男性は“バルト三国GO”しといたほうが良いです。ピカチュウよりも素敵な“チュウ”をゲットだぜ!

夜明けの門。チャペルは、16世紀に外敵の攻撃から街を守り、旅行者を祝福することを目的に作られたそう

さて、リトアニアは昨年からのユーロ導入で物価は上がったとはいえ、私の体感では北欧から南下するほど物価は安くなり、旅人もハッピー。

こんな時こそ外食しようと口コミサイトをチェックすると、意外にも1位に輝いているのはビールバーだった。実はリトアニアはビールが美味しい国と言われ、パブやビール醸造所などは観光客の人気スポットとなっている。

私は「ビールの図書館」とも呼ばれる人気のバーに入り、テイスティング。しかし、気に入って頼んでしまったビールはメキシコ産のピルスナーだった。勝手に全部地ビールだと思ってたマリーシャ、うっかりさん。ご当地ビアを注文しないなんて「アチャー」って感じだったけど「アチュー(リトアニア語でありがとう)」と言ってお会計を済ませた。

まるで図書館のようなビールバー「Alaus Biblioteka」でビールを学ぼう

ビールメニューが分厚い本になっていて細かい情報が載っている

この街のお店はカフェのようにオシャレなところが多く、ビールの値段は500mlが2ユーロくらいからと格安。

その理由もあってか、リトアニアのアルコールの消費量はとても多い。WHOが一昨年公開した「世界のアルコール消費量」の過去データでは、日本が70位あたりをウロウロしているのに対し、リトアニアは3位に君臨。

「美人も多くてビールも美味しい。オマケにバスケが強いんだって!(FIBAランキング世界3位)」と、リトアニアの3Bを称えたいところだが、現地の人いわく「アルコール中毒者が多い」のが欠点だとか…。

「日本て自殺多いんでしょ?」

ヴィリニュスのタウンホール

アル中が多いのは、ビールが美味しいから飲みすぎちゃうという理由ではない。

リトアニアは旧ソ連からの独立後の急激な社会変化、経済不振、失業、気候の問題などから、不安や鬱(うつ)になりアルコールに依存してしまう者が多いのだそう。それは自殺の引き金ともなり、ここ数年の自殺率が世界トップ5の間を揺れ動き、「ヨーロッパで最も自殺率が高い国」と言われている。

しかし駅で話しかけてくる変なオジサンはいたけど、街中にアル中っぽい人は全く見かけず、治安も良くてそんな雰囲気は微塵(みじん)も感じなかったんだけどな。

気球が優雅に空を飛ぶヴィリニュスの街中

ホステルで働くリストニア男性。子供がいたけど恥ずかしがって写真NGでした

しかし他国事だと思うべからず。我が日本の自殺率も先進国の中でトップクラスなんだから。

宿で出会ったトルコ人に「日本て自殺多いんでしょ? マシーンのように働いて、山で死ぬんでしょ? ハラキリ?」と聞かれた。ラトビアでも言われたけど、どうやらこの辺りでは「日本人=マシーン、ロボット」というイメージが根付いているっぽい。

今どき「ハラキリ」なんてしないけれど、このように日本の自殺率の高さは海外勢によく指摘される。昨年の日本全国の自殺者は約2万4千人で、遺書なしはカウントされないので実際はもっといると言われている。その原因は、社会の急激な変化やストレスだとか。

でも、日本ほどゴハンが美味しくて清潔で平和な国はなかなかないし、旅では貧困の国でも一生懸命生きようとしている人たちを見てきた。もちろん日本より楽観的に過ごせる国や、自然や海がきれいな場所だっていーっぱいある。西洋人の何人かは「大きな公園や緑がなかったら死んじゃうよ」と本気で言っていた。

人によって生きられる条件は違うかもしれないけど、もし死を選ぶほど人生を迷う時があったら、その前に少し旅をしてみてはどうだろうか。そうすれば、自分が小さな世界にいたことや、国が違えばルールが違うということが肌でわかる。

それに意外と人間ってどこでも生きていけるんです。むしろストレスが一番いけないのかもしれない。

カウナスにあった何かを訴えかける銅像

“日本のシンドラー”杉原千畝を知ってるか!

宿の壁。宿泊客が描いていったんだそうだけど、まだまだ行ったことない国がいっぱい

ところで、日本とリトアニアにはこんな接点があった。

ある日、私はバスで1時間、リトアニアの元首都であったカウナスに向かうと、宿で働くリトアニア女子に出迎えられた。

「いらっしゃい。あなたは日本人? それなら、もちろんスギハラを求めて来たのよね!

「へ? 何それ。日本人の名前みたいだね」と言うと、「日本人だし! スギハラチウネを知らないの? この母国知らずのばかちんがっ! ガイドパンフレットをお見舞いするわ!」

杉原千畝とは第二次世界大戦中にリトアニアの日本領事館に赴任していた外交官で、「日本のシンドラー」と言われた人物。彼はナチスの迫害から逃れてきたユダヤ難民にビザを発行し、6千人の命を救ったとされている。

人道を重んじた杉原は政府の命令に背き、解雇となったが、ここカウナスには旧領事館が杉原千畝記念館として残され、日本人の旅人は必ず立ち寄るんだそう。

あいにく休日だったため私はその話だけを胸に留めたが、ここにそんな勇気ある日本人が居たことを誇りに感じた。それと同時に、杉原が去った後、リトアニアで繰り広げられた19万人以上が犠牲となったホロコースト(ユダヤ人虐殺)に恐怖を感じたのだった。

他に唯一行きたかった「悪魔博物館」もお休みでした。外観、地味めです・ 笑

カウナスの聖ミカエル教会

『杉原千畝』は昨年冬に唐沢寿明主演で映画化もされ、過去にはドラマで反町隆史が演じているので知っている人も多いかもしれない。歴史物に疎(うと)い私は、今回この街へ来て彼を知ることができて良かった。

マリーシャの周りでは旅人も世界でポケモンをゲットしていますが(世界遺産の中とかにいたら面白そう!)、私は今のところポケモンGOじゃなくて、“ホンマモンGO”

今日こうして、リトアニアと日本を結ぶ尊い人物「杉原千畝」をゲットだぜ!

ラスタカラーなリトアニアの国旗

【This week's BLUE】リトアニアの3大ビールブランドのひとつ「SVYTURYS BALTAS」。シュビィートリスは灯台という意味。

●旅人マリーシャ平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。バックパックを背負 う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】