今年は厳しい残暑になりそうだ。そんな季節にピッタリなのが「そうめん」。ひんやりツルッとした食感で暑さを吹き飛ばしたい!
そこで、そうめんの知られざる魅力と新しい食べ方を探求する、話題のそうめん伝道師・ソーメン二郎さんに、とにかく簡単でウマい、絶品そうめんを披露してもらった!!
■氷水の器はNGだった
―なぜ「ソーメン二郎」を名乗っているんですか?
ソーメン二郎(以下、二郎) 私は、そうめん発祥の地とされる奈良県桜井市の出身で、本家にあたるのが日本最古のそうめん「三輪(みわ)そうめん」を作る植田製麺所なんです。ところが今、そうめんは不遇の時を迎えています。かつてのお中元の主役の座からは消え、生産量も右肩下がり。そこに後継ぎ問題も抱えていて、実は“絶滅危惧種”なんです。
―そ、そうだったんですね。
二郎 20年後には、「あの頃はそうめんがあったね」なんてことになりかねません! そうめん界に少しでも元気を取り戻したい。私は微力ながらも応援できればと、3年前から「ソーメン二郎」として、普及活動に励んでいます。
―その活動とは、どんなもの?
二郎 そうめんってなじみの深い食べ物なのに知られていないことが多いし、間違った食べ方をされている方がたくさんいらっしゃるんです。
そうめんは、日本で最も古い麺文化です。原形は奈良時代に唐からもたらされた「索餅(さくべい)」といわれています。それがやがてそうめんになり、奈良から全国に普及していきました。食べ方では、ゆでたそうめんを氷水の入った器に入れる方が多いですが、それはNGです。氷と水のカルキのにおいがそうめんに移ることで、せっかくの小麦の香りが台無しになってしまいます。めんも伸びて、めんつゆも薄くなりますから、ザルなどにあけましょう。
◆そうめんの正しいゆで方
1.沸騰した湯にそうめんを投入。差し水はダメ! 吹きこぼれには火加減で対応すべし
2.ゆで上がったら流水でそうめんのぬめりをしっかり取り、氷水でキンンキンに冷やす
3.よく水気をきったそうめんをザルなどに盛る。氷水の中に入れてしまうのはご法度だ!
―へ~。では、オススメの食べ方を教えてください!
二郎 今回は、一般的な「めんつゆ」で食べるのとは違った、洋風のレシピを紹介します。残暑で弱った胃袋にピッタリですし、何より手っ取り早く作れるのが特徴です。
1品目は、そうめんとの相性抜群のオリーブオイルをかけてツナをのせ、パクチーのシーズニングパウダーをふりかけてみてください。香草の爽快なアクセントが加わることで「これ、ホントにそうめん?」とたいてい驚かれます。次に、缶つまの「マテ茶鶏のオリーブオイル漬け」をぶっかけたバージョンも今、私がハマっている一品です。酒のつまみとしても最高の鶏肉をのせれば、そうめんがリッチな味わいに激変します。
食欲をそそる、ソーメン二郎お気に入りレシピ!
◆エスニック好きにはパクチー風味がグー オリーブオイルをからめ、パクチーのシーズニングパウダーをふりかければ、手軽にエスニック感満点のそうめんに仕上がる。生のパクチーやナンプラーも可
◆ちょっと贅沢な缶つま仕立て 二郎さん激推しは、缶つま「マテ茶鶏のオリーブオイル漬け」を油ごとぶっかけるワイルド&ゴージャスな食べ方。贅沢な味わいにそうめん観がひっくり返る
―ウマい! そうめんとオリーブオイルの組み合わせでもまったくクドさを感じないし、そうめんの小麦の香りが引き立てられている!!
二郎 今お気に入りなのが、「カレー麺の素」です。ぶっかけるだけでいいですし、食欲をそそる味なので、いくらでも食べられます。近頃は、スーパーなどでそうめん用のトマトソースなども売られています。これとバジルソースを合わせてみてください。あっという間に「そうめんカッペリーニ」の完成です。
◆夏バテにぜったい効く! カレーぶっかけそうめん カレーチェーンのCoCo壱番屋が監修した、冷たい麺類のためのレトルトカレー。カレーとそうめんという「2大夏メシ」のコラボは、重症の夏バテにも効果絶大
“そうめん”にこんな楽しみ方が!
◆トマトとバジルの組み合わせで気分はイタリアンそうめん! カゴメのトマトめんつゆは、トマトを絶妙な和風つゆに仕上げた一品。トマトのうまみとレモンの酸味が効いていて、からめても、つけ汁としても使える
―そうめんのある時代に生きててよかったー!!
二郎 今回使った極細の三輪そうめんのゆで時間は90秒ほど。そうめんはパスタよりもお手軽に、しかも和洋風問わず、様々なバリエーションを楽しむことができます。また、そうめんというと兵庫県の「揖保乃糸(いぼのいと)」が有名ですが、全国には10以上のご当地そうめんが存在します。それぞれ太さ、コシも全然違います。ワンパターンな食べ方をされがちなそうめんに、これだけの種類と食べ方があることを知って、その魅力を発見してみてください!
◆そうめんは「手延べ」を!! めんの太さが0.8mmから1.3mmがそうめん。製麺所によって太さは違う。ちなみに、1.3mmを超えるとひやむぎ。めんは「手延べ」と表記されたものを選ぼう。コシが違う!
◆他にもこんな楽しみ方が!!
1.かつおベースのつゆは食べ飽きることも。しいたけだし、あごだしもオススメ
2.そうめんに最もマッチする具材。それは「中華クラゲ」だと二郎さんは断言する
3.つゆをチューハイ用の炭酸で割るのもオツ。スパークリングそうめんをぜひ一度
●ソーメン二郎(Somen Jiro) 1971年生まれ、奈良県桜井市出身。そうめんの元祖、三輪そうめんの製麺所とは親戚筋にあたる。夏はソーメン二郎としてそうめん業界を盛り上げるべく伝道活動を行なっている
(取材・文/加藤ジャンプ 撮影/有高唯之)