今、名古屋がいろんな意味でピンチだ。スポーツは絶不調、街のイメージは全国最下位、さらには名古屋が誇るソウルフードまで…?
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名古屋メシといえば、今や名古屋を代表する観光資源だ。
ひつまぶし、手羽先、味噌かつ、きしめん、あんかけスパ、台湾ラーメン。その味を求めて各地から人がやって来る。だが、地元民はというと…。名古屋メシに詳しいフードライターの永谷正樹氏が言う。
「今の若者は名古屋メシをあまり食べない。昔と違って全国チェーンの飲食店がたくさんあるので、名古屋メシを食べる機会が減っているんです」
一方で、名古屋から全国へ展開した店は多い。「世界の山ちゃん」や「コメダ珈琲店」はすでに有名だが、今年4月にはあんかけスパの「ヨコイ」が六本木に、8月には台湾ラーメンの「味仙(ミセン)」が神田に店を構えるなど続々と東京進出を果たしている。
だが、この“名古屋メシブーム”に物申したい男がいる。名古屋出身の本誌編集・ヤノアツだ。
「名古屋人のソウルフードといやぁスガキヤだがや! 俺の体の半分は、スガキヤのスープでできとる。あのラーメンがなぜ東京にない!?」
実は10年ほど前に1店舗だけ東京でも営業していたが、わずか1年で撤退したらしい。
「スガキヤのラーメンって和風トンコツ味なんですけどパンチが弱い。名古屋人は子供の頃から食べているので大好きですが、大人になって初めて食べた人がハマるかどうか。東京は家賃も高いですし、あの300円台のラーメンだと、よっぽど売れないと経営はツラいでしょう」(永谷氏)
ただ、名古屋メシには最近、“新しい潮流”が生まれているという。
「個人店が集まって、“新・名古屋メシ”を作るキャンペーンを始めたんです。それは、今までの名古屋メシにアレンジを加えたもので、天むすの中身を味噌カツにした『豚むす』、台湾ラーメンのひき肉をたっぷりまぶした『台湾まぜきしめん』、『名古屋コーチンのひつまぶし』など、いろいろあります」
やっぱり名古屋メシってヘンだ。でも、うまそう!
■『週刊プレイボーイ』38号(9月5日発売)「ガンバレ負けるな“日本の中心”! 名古屋を襲う空前の大ピンチ!!」より