秋を代表する味覚、マツタケ。実は日本で流通しているほとんどが外国産だということはあまり知られていない。
「今は輸入物が9割で、中国、アメリカ、カナダが中心だね。今年は出足が遅くて9月下旬から10月中旬がピーク。出来栄え? まあ、平年並みじゃないかな」(東京青果市場の担当者)
そんなマツタケ業界に新星が登場。南アジアのブータン産のものが安くておいしいと評判なのだ。
ブータン産マツタケを扱っているエフユーアイジャパンの植山宏哉氏が語る。
「3年前から輸入を始めて、昨年から本格的にスタートしました。今では伊勢丹などの百貨店や都内近郊のレストラン40~50店ほどに卸しています。ブータン産のマツタケは3000mの高地で採れるので虫がつきにくい上、採った2日後には日本に届いています。中国産だと平均して3、4日はかかるので鮮度も違うんです」
値段は市場にも左右されるが、国産の10分の1程度とお手頃だ(国産は普段、1kg当たり数万円から10万円くらいで取引される)。
気になる味だが、「ベーシックきのこマイスター」の資格を持つ声優の榎(えのき)あづささんにブータン産とカナダ産のマツタケを食べ比べてもらった。
「ブータン産のマツタケがあるということは聞いていたのですが、食べるのは初めてです。見た目は、カナダ産のほうは色が少し白く、幼菌に近い。香りはあまりないですね。ブータン産は大きくてしっかりしていて香りも強い。カナダ産は水分が多くてエリンギに近いかな。ブータン産は、シャキシャキ感があっておいしいですよ」
ということは、これを国産だと言ってもわからない?
「いや、国産はもっと香りにクセがあるのでわかります。でもブータン産は国産に比べて大きくて安いし、クセが少なく、たくさん食べれるので贅沢感が味わえますよ!」
ブータン産マツタケが、庶民の秋の味になる日は遠くないかも。
(撮影/佐賀章広)