週に2、3回も餃子を食べるという20代前半の女性とその友達

巷(ちまた)には専門店も増えて、人気の“餃子”。今月12日から16日には、中野で日本初の「餃子フェス」が開催され、全国各地15店から、それぞれ個性豊かな餃子が集結した。

開催初日は平日にも関わらず、7千人が来場。その後も順調に来場者が訪れ、最終的には約8万人!と大盛況。これには運営スタッフも「天気にも恵まれましたが、予想の2倍の来場者数で驚いています」というほどだ。

会場を見渡すと、平日の昼間はピクニック気分でシートを広げた親子連れやカップルなど、ほのぼのした雰囲気。そして、夜になるとサラリーマンも加わった。

こうしたグルメフェスで平日から開催するのは珍しいケース。しかし、それによってサラリーマンも参加できるようになったと運営スタッフはいう。

「結婚してお子さんもいると、なかなか働いている人は休日に来れないんですよ。でも、新宿や渋谷など、都心からアクセスのいい中野であれば、仕事帰りにちょっと足を伸ばしてみようと参加してくださるサラリーマンの方々がいたのだと思います」

15日(土)は11時半を過ぎると多くの店で90分待ちとなる長い行列が

そして、土日は開催直後から列が並び、お昼前には100人以上の長蛇の列となる店舗が続出。中でも、常に列が途切れることなく人気だったのは、札幌マルエス食堂の「肉巻餃子」。特に会場の女性からの反響は抜群で、これを目当てに来た人も少なくなかった。

名前の通り、肉で餃子を巻いた変わり種の一品だが、同店は札幌でも知る人ぞ知る、取材拒否のラーメン店だ。元々、ドカンと大きな肉が乗ったラーメンが特徴で、それを活かそうと始めたそう。

「やっぱり肉好きは永遠ですよね。特に肉食女子とかもいますし。美味しいものを合わせてまずいわけないとも思いました。でも、この反響は予想外。ラーメン作りは慣れてるけど、大変です(笑)」とスタッフも嬉しい悲鳴を上げながら、その女子人気を分析する。

その他、鉄板餃子酒場 ちびすけバルの「ブルーチーズソースの水餃子」や、福吉 京都本店の「京都えびチーズ餃子」などがユニークな餃子が人気となった。

女性たちから「特に美味しい」と挙がった餃子たち。(左奥から)札幌マルエス食堂の「肉巻餃子」、肉玉そば おとど×酔っ手羽の「東京名物 肉汁おとど餃子」、鼎’s by JINDINROUの「台湾羽根つき焼小籠包」、「ブルーチーズソースの水餃子」の「鉄板餃子酒場 ちびすけバル」、肉汁餃子製作所ダンダダン酒場の「東京手羽餃子」

“餃子女子”の認知度はまだまだ?

飲食エリアではシートやテントを広げ、餃子を食べながらくつろぐ人々が

バリエーションも増え、同イベントの来場者数から見ても、その人気は確かな餃子。メディアでは餃子にハマる女子を“餃子女子”や“ギョー女”と呼び、ブームとされている。実際、はっきりした数字は出ていないものの、同イベントでも期間中を通して、来場者の多くは女性だった。

そこで、さぞや餃子に精通した“餃子女子”がいるのだろうと、2万7千人が訪れた15日に女性50人を調査。聞いたのはカップルや親子連れではなく、“餃子女子”がいる可能性の高い女性グループのみだ。

…しかし、そもそも“餃子女子”や“ギョー女”という言葉を知っているのはわずか8人という結果に。ほとんどの人はこのイベントで知ったという。自ら“餃子女子”だと自認するのはたったひとりだった。

当然、全員が「餃子が好き」だというが、ほとんどはラーメン屋や中華料理店に行った時についでに頼んだり、家で作って食べたりする程度。専門店などにわざわざ餃子を食べに行ったことがあるという人ですら、わずか5人に留まった。

さらに専門店に行ってみたいか聞いてみると大半が「機会があれば」「誘われれば」と積極的ではない答えが…。では、なぜこのイベントに来たのだろうか。

「こういうフェスなら昼間からやっていて、ちょっと立ち寄るくらいでもいいから、友達も誘いやすい。それに普段は見ないような餃子があるから次もあるなら来たい」(20代後半の女性)

「わざわざ餃子のために、とまでは行かないけど、今日(のイベント)みたいに変わったものがあれば行ってみようと思うかも。でも、ひとりでは無理だから友達を誘ってとかなら」(20代後半の女性)

「いろいろな店が出てるからですね。餃子っておいしいけど、特別感があんまりないから食べに行くイメージが湧かない。でも、今日食べた『東京手羽餃子』(肉汁餃子製作所ダンダダン酒場)はお店(池袋)が近いみたいだから、また行こうと思います」(20代後半の女性)

あくまで餃子は、家庭で食べる庶民的なもの。そうしたイメージが強いようだが、こうしたいくつも店舗が集まるイベントであれば、様々な餃子を食べられるため、大歓迎だという。

最後に唯一、会場で出会った“餃子女子”に餃子の魅力を聞いてみた。

「作り方も具材も、餃子はバリエーションがたくさんあるからいいですよね。店によって、味わいも違うからいろいろ試したくなります。普段も週2、3回食べてますが、全然飽きない。あと餃子好きはお酒好きだと思います。ビールにぴったりだから(笑)」(20代前半の女性)

確かにこの日、お酒を片手に餃子をつまむ女子はほとんどいなかった。“餃子女子”になる素質はお酒好きかどうか、にもあるのかも?

イベントに来た“餃子好き”女子たち!

(取材・文/鯨井隆正 撮影/鈴木昭寿)