「いつも目が覚めると天井が違うから、一瞬どこにいるのかわからなくなる」
そんな遊牧民のような旅をしていると、新鮮さを感じる一方で、時に定住したい気持ちも生まれる。
というワケで、今回は世界の中心・全米最大都市であるニューヨークシティーで憧れのプチ・アーバンライフをすることにした。
といっても、普段より少し長めに滞在するってだけの話なんですが(笑)、なぜNYCかって? 理由は3つ。
10月末にメキシコで催すビッグイベントを目指しているためアメリカを経由したかったから。
韓国からNYCまで4万円台という激安航空券を見つけたから。これはデカイ。(中国の広州乗換えで移動に24時間かかったけどね)。
そしてポップアートにあふれ、街中が映画の舞台のような刺激的なNYCが大好きだから! 実に10年ぶりにやってきました!
しかし、今年頭からアメリカは「過激派組織支持者の入国を阻止する目的」で入国規格が厳格化。イラン、イラク、スーダン、シリア、リビア、ソマリア、イエメンの7ヵ国に渡航歴のある人はビザが必要になったのだ。
なかなか日本人が旅行するような国ではないけれど、私はアルゼンチンで出会ったイラン人の旅友の元をいつか訪れたいと思っていたので困った話。それらの国に渡航歴のある日本人旅友は「ビザ取得には時間かかるし、ハワイ旅行さえビザ代160ドルも払わないとなんて萎(な)える~」と言っていた。
幸い(?)私はそれらの地域情勢の良化待ちをしていたため未開拓で、米入国はESTA(14ドルの電子ビザ)ですんなりパスできたよ。
しかし旅人が困るのは、このビッグシティーには安宿があまりないことである。そこで、長らくの友人がミッドタウンのド真ん中に住んでいることもあり居候させてもらうことに。ありがたい…センキューで~す!
3ベッドルームを数人でシェアしているお宅は「泊まってもいいけど、窓ないからヨロシク~。マンハッタンの中心に住むには窓なしのプリズン(牢獄)生活も仕方ないんだよ」。友人はそう言ってたけれど、それでもやっぱりマンハッタンで暮らすなんて羨ましいな~。
でも家賃は毎年100ドルずつ上がっているらしく、契約から8年経った今は800ドルも高くなったそうな! ひ~!
話題のトランプタワーの前では…
初めてマンハッタンに来たのは10年前。タイムズスクエアや5番街、ハリウッド映画のロケ地やブロードウェイミュージカルにただただワクワクしてたっけ。
今も当時と変わらない古い建物が残る中、様々な人種や言葉、宗教、文化の異なる人々が碁盤の目になったマンハッタンを行き交っている。
その光景は「混沌(カオス)」という言葉が良く似合っていて、かつては「人種の坩堝(るつぼ)」と呼ばれていたけど、混ざりあうことのない多文化主義を今は「人種のサラダボウル」と表現するんだそう。
私はなんとも不思議な魅力を持つその独特な空気を感じながら、行列のできるハラルフード(イスラム教の戒律に沿った食べ物)屋台でチキンオーバーライスを買い、セントラルパークでスーツ姿のビジネスマンと一緒にランチ。
MOMA(ニューヨーク近代美術館)でアート鑑賞(金曜夜はわが国の誇るユニクロ様がスポンサーで入場無料!)、全米で人気のアパレル店でウィンドウショッピング、チャイナタウンで小籠包、などなど…。東西南北、碁盤の目の上に作られたサラダボウル・ワールドをジグザグと足首がおかしくなるほど歩いた。
その道中、ザワついていたのはトランプタワー。あのドナルド・トランプ氏が保有するというビルで、内装の金ピカさゆえに元々ちょっとした観光名所だったけれど、11月の大統領選挙を控え、さらなるホットスポットとなっていた。
タワー前ではトランプ氏をウ〇チのイラストにした風刺画を堂々と売る人や、中指を立てFxxKサインで写真を撮るマダムもいた。
目の前にはパトカーと警察もいたけれど、これらについては特に注意する様子もない。みんなが自分の考えを思い思いに主張するのがアメリカっぽいってことでいいんでしょうか。日本だったらアウトそうだけど。
他にも街の雑貨屋には、トランプとヒラリーのイラストが描かれた靴下やカップ、塗り絵、ミント、犬用おもちゃなどのグッズが豊富で、思わずお土産にしたくなる。このポップな感じがたまらないんだよな~! やっぱりニューヨークいいわー!
夜中に未来人の集団と遭遇!?
街歩きは面白いし、オシャレな人もいっぱいだし、そして夜景も素敵なのよね、と深夜0時過ぎのブルックリンブリッジのたもとへ行くと、珍百景に遭遇。
静寂の中、5、60人の人々がそれぞれ怪しく動き回りながら近づいてきたのだ。耳元には赤くライトを光らせていて、なんだか未来人の集団みたいで怖いっ。何コレ?
レオタード姿でイナバウワーばりに腰をのけ反らせる女性の前でア然としていると、
「あなたもどーお? ホレ、ヘッドホン貸すから踊ってみやがれ~♪」
頭からかぶせられた「FROAT」の文字が赤く光るヘッドホンからは、ノリノリのEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)。 みんなそれを聞きながら自由に踊っていたのだった。
「10ドルで3時間のツアー『モバイルダンスの旅』で開放的になろう!」という趣旨のようだけど、無音で人々が踊っている光景は異様。クラブでもない限り、私なら少なからず周りの目を意識してしまい開放的とまではいかなそう。
ちなみにアメリカは屋外でお酒禁止なので、まずはバーに集合して飲んでから外に33分繰り出し、踊り、また2軒目で25分飲んで休憩したら外に繰り出し、踊り、3軒目で飲んで…。
それって「居酒屋はしごの旅」とあまり変わらない気もするけど、光るヘッドホンとこのロケーションがあれば、たちまちオシャレなNYアーバンナイト・アクティビティーに(笑)? 流行ってるらしいですよ。
ところで、食欲の秋な私はアメリカといえば「ジャンクフードの旅」をしたく、日々ハンバーガーとコーラの不健康コンボをガッツリ。ウメ~!
アメリカも健康志向が高まってきたとはいえ、ヨーロッパに比べるとまだまだ。昨年の「食と健康」に関する意識調査では「1千ドル(当時約12万円)を失うか体重が20ポンド(約9kg)増えるかを選ぶとしたらどちら?」という問いに、3分の1が「お金を失うぐらいなら20ポンド太ったほうがいい」と答えたそう。
そんなバカな!と思うけど、「健康より経済」なんだってさ。これがこの国なんだよね。私なら3万円払うから3kg痩せたいな~。
【This week’s BLUE】
グーグル社前のケーキ屋さんにあったニューヨークを表したケーキ。ポケモンもいまーす!
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。バックパックを背負 う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】