冬は乾燥が気になる季節。気づくと手指がカサついて、ささくれが目立っていることも…。
男は手荒れなんか気にしない?と思うかもしれないが、実は一定数の女子は“手フェチ”。
ビジネスシーンでの名刺交換、オフィスでの書類のやりとり、車の運転中のハンドル…など、男性の手は見られている! そこで人肌恋しい冬、美しい手でモテ度をアップしてみないか?
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冬に見かけがちなのが、拳や指の節が乾燥して白い筋が見える手の男。中には少し切れて血がにじんでいる人も…そこまでハンドクリームを塗るのがイヤなのか(笑)? さらに極端に深爪をしていたり、二枚爪になっているのかガタガタだったり…。メンズ的にはハードボイルドな男の演出かもしれないが、荒れた爪先のカサついた手は清潔感を欠き、触られたくないのが女性の本音。
そんなケアが行き届いていない手をどうにかしてくれる場所、それがネイルサロン。女性専用の印象も受けるが、実は男性向けコースがあるサロンもあるのだ。
そこで、週プレのバイト・ザキマツを連れてメンズネイルケアコースを設ける『ネイルクイック 渋谷Premium』へ。比較的、乾燥も少ないと思ったが施術担当の坪田沙絵店長がひと言。
「乾燥していますよ。やりがいがあります!」
早速、『メンズネイルケア保湿リッチコース』(3400円)を始めるべく、エタノールを含ませたコットンで手を消毒してくれる坪田店長。
「爪は丸くしますか? 四角くしますか?」
ザキマツ、何かの呪文を聞いたように固まり、記者を見る。丸いというのは指先の形に沿ったフォルムで、四角はネイルアートの女性のつけ爪にありがちな長方形の短辺のようなフォルムのことだぞ。
「男性は丸くする人が多いですが、そうしますか?」
ザキマツに優しい言葉をかけ、坪田店長はニッパーで爪を切り始めた。
「おウチで切る時は爪切りで一気にバチンと切っちゃうと思うんですけど、それは二枚爪の原因になるんです。布を切るように端から少しずつ切って、ヤスリで好みの形に整えるといいですよ」
整えられた指先が心理的にいい効果を与える
粗さが異なるヤスリ(ファイルとも言う)で坪田店長が爪を整える。するとザキマツが「映画で見たことがあるがあるような、お金持ちな気分です。すごくリラックスします」とワクワクし、かなり喜んでいるじゃないか(笑)。
いかにもネイルサロン初心者のウブなメンズの印象だが、彼はともかく、取材ではなく実際に男性は来店するのか? その目的はなんなのだろうか?
「当店のメンズネイルケアを受けられるお客様は、名刺交換が頻繁(ひんぱん)なビジネスマンが多いですね。40代の上司に『相手からの印象がよくなるから』と言われて、20代後半の方がいらしたこともあります。会議中のプレゼンテーションで自信がつくなど、整えられた指先が心理的にいい効果を与えることもあるようですよ。他には指先を見られる機会の多いマジシャン、バンドマンなど楽器を弾かれる方がジェルネイルで爪を保護する目的で来店されますね」
実は、『ネイルクイック』では1996年の創業時からメンズ向けコースを設定しているとか。ニューヨークのビジネス街では男性もネイルケアをするのが当たり前なことを、坂野尚子代表が知っていたためだ。
それから20年。男女問わず、スマホ操作などで他人に指先を見られる機会が増えたからなのか、男性の美容意識の高まりゆえなのか。『ネイルクイック』を訪れる客層の男女比率は、2014年の1.9%から2015年の2.5%へと男性客が微増している。
「1度入ってしまえば次から平気という方がほとんどですよ」
それがなかなか難しいのだが(笑)。第一関門を突破した猛者(?)が来店する頻度はというと…。
「特に気を使う方で2週間に1回ですが、普通は3~4週間に1回ですね」
1ヵ月に1度のネイルケアとは、下手な女子より女子力が高いのでは(驚)。
「実は美容に慣れている女性よりも、男性のほうがきれいになると喜ばれるんですよ。新鮮な体験だからだと思うんですけど」
そして、まさか坪田店長の言葉通りになるとは…! 爪の表面を整えていく後半戦、爪の輝きが増すほどにザキマツが笑顔になっていったのだ。果たして、“やりがいがある爪”は、次週でどこまで美しくなるのか?
★後編⇒「男でもウットリ見ちゃう? 実体験!つやキラな指先になれるネイルケア」
■取材協力/ネイルクイック 渋谷Premium 住所:東京都渋谷区宇田川町25-4-4F 電話:03-5784-5861 https://www.nailquick.co.jp/
(取材・文/渡邉裕美 撮影/五十嵐和博)