秋も深まった10月下旬。
「行楽の秋とかいうけど、10月の休日は録画したテレビばかり見て、ほとんど家から出なかったですねぇ……」
こう嘆くのは、無趣味の本誌編集・トダ。晩秋の11月も祝日が2日ある! 何かいいアウトドアな趣味はないだろうか!?
「男なら釣りでしょう!!」
これまた予定調和的に現れたのは、専門誌にも寄稿する釣りに詳しいライターの山本康則(やすのり)氏。
トダ「でも、釣りって船に乗ったりメンドくさそうで。お金もかかるでしょう?」
山本「いえ。安価な最低限の道具をそろえればOK。それにこの季節は、手軽に堤防からでもアジやイワシ、サバなどを狙うことも可能です」
トダ「なぬっ。サバ! ちょっといいですね。大戸屋で定食を食べると1000円弱しますし、自分で釣ったものだとさらにおいしそう。行きましょう! サバ釣り!!!」
* * *
というわけで、早速やって来たのは東京都心から車で2時間程度の千葉県館山市。
山本「まずは釣り具店で道具をそろえましょう」
釣りスポットの近くには釣り具店がほぼ間違いなくあるので、現地調達も可能!
山本「竿(さお)とリール、サバ釣りであれば針のついたサビキ(まき餌)セット。エサさえ買えば十分でしょう。全部で6000円程度です」
トダ「あの。チューブ状のエサはわかるんですが、このカチカチに冷凍された小エビの塊みたいなのはどうやってエサにするんですか?」
山本「海水につけて解凍し、ほぐして使います。なので、バケツもあるといいですね。あとは、折りたたみイスもあると便利です」
準備は整った! いざ、館山の堤防へ!!
サバ釣りの準備と初心者の心得
■いよいよサバ釣り開始!!
トダ「ほえー。平日の昼間なのに、人がたくさん……」
有名な釣りスポットだけに、プロっぽい男性から子供連れの家族まで、たくさんの人、人、人。なんとか空いていた、プロ風のオジサンの隣にお邪魔することに。
山本「では早速、竿の準備をしましょう。まずは竿にリールをつけて、糸にウキとサビキカゴ、そして針をつけ、最後に重りをつけて完成です」
山本「そして、このカゴにエサを入れます」
トダ「あぁ。エサがチューブ状のものでよかったです。手が汚れるのもイヤですし、エビの香りが手につくのはもっとイヤですわ」
山本「でも、チューブのエサがなくなれば、今、バケツで解凍しているオキアミ(トダが言うエビ)を素手で入れないといけないですね」
トダ「…………。そんな瞬間が来るんですね」
もちろん、釣り場には水道などないことがほとんど。どうしても気になる初心者はウエットティッシュなどを持っていくといいかも。
というわけで、ようやく1投目へ!
山本「リールのベール(周りについている細い鉄の棒)を上げて、勢いよく遠くに投げてください」
トダ「エイヤッ!!!」
意外なことにけっこううまく飛んだ。トダでもできたので、たぶん、だいたいの方には簡単な作業なのだろう。
トダ「……まだですか?」
山本「待つしかないです」
トダ「はい。………………。来ないですね」
山本「そんなすぐ来ません」
トダ「はい。…………………………。あの。時間がもったいない気がするんですが」
山本「そんなにすぐ釣れたら誰でもプロになれます」
釣りとは“待ち”も込みで楽しむものであることを学んだのだった。
と、ここで事件が発生!!
潮で仕掛けが流され、隣のプロっぽいオジサンの糸に絡まってしまったのだ!
山本「初心者がやってしまいがちな、通称“おまつり”ですね。すぐに隣の方に謝って糸をほど いてもらってください」
トダ「ゲゲッ。本当にすみません。すみません。初心者なもんで、すみません!!」
プロ「まぁ、いいよ」
なんとか、許してくれたプロ風オジサン。初心者は何かと迷惑をかける恐れがあるので、釣りを始める前に隣の方にひと言、「初心者ですが、ここ、いいですか?」と挨拶(あいさつ)しておいたほうがよさそうだ。
サバ釣り竿のセットの仕方
●超初心者向け!! 今さら人には聞けないサバ釣り竿のセットの仕方
1.リールを竿につける 竿の取りつけ部はネジ式になっているので、リールをはめたら、締めるだけで簡単に装着
2.糸をガイドに通す 糸をひとつひとつ、竿の穴(ガイド)に通していくだけの単純な作業
3.浮きとサビキカゴをつける ガイドに通した糸の先端に浮きとカゴをつける。ほどけないように!
4.針のついた糸をつける 針がついた糸をカゴの先につける。針が指に深く刺さると抜けないので、初心者は注意
5.先端に重りをつける 最後に、先端に重りをつければ完成。これで超初心者も人に頼らず、釣りが始められる