ここ最近、都内近郊で“焼きそば一本”で勝負するお店が次々とオープンしている。なぜ今、焼きそばなのか? そして、家では絶対に食べられない、そのこだわりの味とは?
前編記事「第3次『焼きそばブーム』最前線! こだわりの専門店が続々登場の理由」に続き、今年オープンした注目の新店をご紹介!
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「真打みかさ 自由ヶ丘」の次に訪れたのは、東京・六本木の東京ミッドタウンに程近い「千日前やきそば」。
こちらの一品は、生卵にひたしてつけ麺のように食べる濃厚焼きそば。粉モノの本場、大阪出身のオーナーが語る。
「大人向けに辛めに作った焼きそばを、子供も食べられるように卵をつけてマイルドにする。大阪には昔からそういう食べ方があるんです」
使用する麺は、大阪の老舗製麺所から毎日直送している特注の太麺。これをゆでてから豚肉、キャベツ、独自ブレンドのソースで焼き上げ、小ネギと揚げ玉などをトッピング。
まず、そのまま食べると、滑らかでモチモチな麺の食感と、10種類以上のスパイスを使ったソースのうまみと香りを存分に楽しめる。
続いて、オーナーこだわりの見るからに超濃厚な高級ブランド卵につけて食べると、マイルドな味わいになりつつも濃厚なコクが焼きそばにプラスされ、さらにウマい!
「焼きそばを食べ終わったら、揚げ玉や紅しょうがが残った卵をごはんにかけ、さらにおだしを注いでおじやにするのもオススメです。今後は夜の営業や、焼きそばパンの開発なども計画しています。根性の入った一品を作り続けて、お客さまに喜んでもらいたいですね」(オーナー)
自然食材にこだわった本気の無添加焼きそば
最後に訪れたのは、東京・白金高輪にある「無添加焼きそば バル チェローナ」。
実はこのお店、人気のステーキ・ハンバーグ専門店「ミート矢澤」(東京・五反田)と同じ会社の運営。総料理長の福島亮氏が、異ジャンルからの参入理由を語る。
「ハンバーグのように皆が大好きなものをもうひとつやりたい。そう考えたときに、身近な料理である焼きそばにしようとなりました。そして、健康に気を使う方が多いご時世なので、徹底的に自然食材にこだわり、本気の無添加焼きそばを作りました」
具材へのこだわりはもちろん、ソースも国産のタマネギやリンゴを使用し、スパイスを独自にブレンドした無添加ソース。麺も2種類の国産小麦をブレンドしたオリジナル小麦を使用。
これをゆでた後、鉄板の上で片面だけじっくりと焼き上げるので、パリパリとモチモチ、2種類の食感を楽しめる。また、約100℃の鉄板の上に置かれた状態で供されるので、最後まで熱々で食べられるのもうれしい!
「ランチタイムは焼きそばのみで、夜は30種以上のタパスとワインを提供するバルとして営業しているのですが、シメに焼きそばもご用意させていただいています」(福島氏)
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たかが焼きそば。されど焼きそば。紹介した焼きそばはすべて、手間とヒマのたっぷりかかった、まさに「家庭では食べられない」味。ファンの増加も納得だ。
(取材・文/牛嶋 健[A4studio] 撮影/髙橋定敬 五十嵐和博)