現在、「ビール77円」「発泡酒47円」「新ジャンル28円」(350ミリリットル缶当たり)とバラバラなビール類の酒税を、2026年までに55円に一本化する方針だと政府・与党が発表したのは19日のこと。今後、ビールは値下がりするが、発泡酒や新ジャンルは値上がりする見込みだ。
ビアジャーナリストの富江弘幸氏が解説する。
「日本はビールの酒税が異常に高い。価格の約40%が酒税で、これはドイツの19倍、アメリカの9倍。そのためメーカーは酒税が低くなる発泡酒や新ジャンルなどを開発してきましたが、政府は税率の低い商品が人気になると税収が減るので、全体に一律の酒税をかけようとしているわけです」
こうした政府の方針に怒るのは、発泡酒などを日々の楽しみにしている庶民だ。
「約140円と安価で買える新ジャンルのビールは今や庶民の必需品。取れるところから取るという国のスタンスが気に入らない(怒)」(50代・男性)
今後は発泡酒や新ジャンルのビールはその存在意義自体が問われることになりそう。それだけに大手ビールメーカーからは早くも泣きの声が。
「税率が統一されると、これまで『安価でおいしいものを』と、発泡酒や新ジャンルを開発してきた企業努力がムダになる。発泡酒や新ジャンルに関しては、今後も大幅な減税をしていただくよう業界全体で要望していく予定です」(大手メーカー営業)
逆に、税率の統一を喜ぶのは世のビール党だ。
「特に大喜びするのはクラフトビール好きでしょう。ベルギービールには副原料にオレンジピールなどが含まれているものもあり、それらはビールと同じ酒税なのにジャンルは発泡酒。そのため『発泡酒なのに高い』と思われていました。それが値下がりによって買いやすくなる。クラフトビールブームはさらに過熱するんではないでしょうか」(富江氏)
発泡酒、新ジャンルは「絶滅危惧酒」になるのか?