「こっちは既婚者、いうなれば黒帯なんだから『黒帯ですよ』って名乗った上で戦いを挑まなければ相手とトラブルになりますよ」と語る、すずきB氏 「こっちは既婚者、いうなれば黒帯なんだから『黒帯ですよ』って名乗った上で戦いを挑まなければ相手とトラブルになりますよ」と語る、すずきB氏

ダメだと知っていながらも、不倫を繰り返してしまう既婚者もいるだろう。しかし、遊び感覚で女性と絡んだ日には、自分や妻子だけでなく、相手の女性にも迷惑をかけてしまうかも。

そうならないための「正しい浮気の仕方」を紹介しているのが『浮気とは「午前4時の赤信号」である。幸せな結婚と恋愛のリアル法則』だ。著者であるすずきB氏にその極意を聞いた。

* * *

―「不倫」がワイドショーで盛んに取り沙汰された2016年に、まさに出されるべくして出された一冊ですね。

すずき ひとつ誤解してほしくないのは、「僕は決して浮気そのものを肯定しているわけではない」ということ。あくまでも、僕が嫁の目を盗んで行なっている浮気や合コンの方法論を紹介しているだけです。以前、「浮気に対して肯定的だ」という誤認記事をネットに配信されて大炎上しまして(笑)。とにかく誤解だけはされたくないんです。

―浮気賛成派ではないと?

すずき 浮気はしないに越したことはありません。ですが、一夜の火遊びくらい、男なら誰しも経験や憧れがあるはず。ある意味、ささいなことで万が一、離婚なんて取り返しのつかない結果を招いてしまったら、元も子もないじゃないですか。そういった悲しい思いをする前に、最低限のルールを守って家族の許容範囲内で遊んでみてはどうかと、提言したいだけなんです。

―最低限のルールですか?

すずき 浮気には「ダメな浮気」と「かわいい浮気」があると思うんです。逃げ場のない、言い訳のしようがないのは完全アウト。やっぱり本気になっちゃいけないし、家や実家に呼んじゃいけない。それから既婚を隠しちゃいけない。この3つのマナーを守らないと、どこかの誰かみたいにモメちゃいます。

―え? 既婚を隠さない!?

すずき 例えば、合コンに行ってすてきな女性に出会ったとき、トラブルにならないように口説くなら、自分が既婚者だと最初に話しておくべきなんです。

―それはなぜですか?

すずき 僕の周りにもいるんですよ、既婚者なのに独身になりすましてモテようとする男性が。でも、もし相手の女性が本気になったらどうします? ダマされた、裏切られたと思われるのが目に見えています。こっちは既婚者、いうなれば黒帯なんだから「黒帯ですよ」って名乗った上で戦いを挑まないと!

相手の女性とトラブルにならないためにも、僕は大事な家族を一番に考え、既婚者であることを宣言し、健全な「大人フレンド」の関係を築いています。

相手にとって4位くらいの存在がベスト

―大人フレンドとは、どういう間柄なのでしょうか?

すずき 「友達以上恋人未満」という漠然とした関係性がありますよね? 僕は男女の間に恋心があったら、それはもう友達ではないと思うんです。例えば、手を握る行為って友達の領域を超えているじゃないですか。もし100%発展しないと言い切れるのであったら、「友達」か「仕事仲間」。でも1%でも可能性があれば、「大人フレンド」なんです。

―「セフレ」とは違いますか?

すずき セフレって言葉自体が嫌いです。女性に対して失礼ですし、何よりドキドキ感がないでしょ。ゲスな性欲しか感じない。大人フレンドはもっとロマンチックな関係性で、決してエッチが目標ではない。楽しく飲んで恋人気分になれるだけで幸せ。まあ勃(た)ってはいますが(笑)。

―分別をわきまえた大人の関係ですね。

すずき 僕が目指すのは、「プロ彼女」ならぬ「プロ彼氏」。お互いのタイミングが合うときだけ無理せず会う。相手にとって4位くらいの存在がベストです。当然、本命ではありません。2位、3位でも荷が重い。表彰台に上らないけど、実はいい位置にいる4位が最強なんです。

―でもそれ、すずきさんにとってはおいしい話ですけど、相手の女性にとってはいいことあるんですか?

すずき どんな悩み相談にも乗るし出会いも提供しますよ。それに、カレーライスはなぜおいしいかわかりますか? 実はルーだけじゃ、それほどおいしくない。ライスがあるからこそ、カレーのうまみが引き立つんです。つまり、4位のオトコを持つことで、本命の彼氏をもっと好きになれるはずなんですよ。

―なるほど(笑)。

すずき ライスなんておこがましいので、別に福神漬けでも、らっきょうでもいいんですけど。ないよりはあったほうがおいしくて、ないと不安、あると助かるスマホの予備バッテリーみたいなオトコでいたいですね。

―すずきさんのお話を聞いていると、なんだか浮気がロマンチックな大人のたしなみのような気がしてきました(笑)。

すずき 僕、いろんな人に片思いしちゃうんです。常に何人かの女性に恋心を抱いていますしね。よく行く駐車場の警備員の女のコにも片思い中だし(笑)。会いたいと思える人が複数いるだけで毎日が楽しくなりますよ。

「結婚筋肉」を鍛えてください

―それだけ意中の人がいると、一歩間違えて本気になってしまったりしませんか? もしくは相手が本気になったり。

すずき 本気にならないし、させません。会話の中に家庭のこと、奥さんとは絶対に離婚しないことを盛り込んで予防線を張っておきます。もし相手が本気になったら、僕はその時点で冷めるオトコだと植えつけます。

―きっぱりと線を引きますね。

すずき この線引きが大事です。僕は正々堂々と既婚者であること、子供がいることを明かして合コンやデートを楽しんでいるだけ。自分・相手・家族の全員が悲しまない、レジャー感覚な浮気を心がけています。まあ僕の場合、合コンに行くことがご褒美であり、仕事の活力になっていると嫁が理解してくれている。優れた嫁ですよ本当に。

―では、今まで怒られたことはないんですか?

すずき 最初は怒られましたよ、もちろん(汗)。仕事で帰りが遅くなっても、浮気と疑われたこともありました…。

―とんだ災難ですね。

すずき でも今は過去に浮気をしていた前科があるので、妻にも浮気をする人間だからしょうがないと認められています。

―もはや公認(笑)。何はともあれ19年間、結婚生活が続いています。秘訣(ひけつ)があれば教えていただきたいです!

すずき なんでも語り合うことです。そしてお互いにダメなところを受け入れて、歩み寄ること。相手の欠点をポジティブに変えていく「結婚筋肉」を鍛えてください。より良く変換することが、夫婦としてうまくいく秘訣だと思います。

●すずきB 1970年生まれ、静岡県出身。放送作家。早稲田大学在学中、雑誌『Hot-Dog PRESS』のライターを経て、90年『さんまのナンでもダービー』で放送作家デビュー。現在、『秘密のケンミンSHOW』『「ぷっ」すま』『ヒルナンデス!』などを構成。マンガ『食べもの愛がハンパない!』の原案も担当した。著書に『業界人がススめる魂の<死ぬほど美味しい>レストラン』、電子書籍では『離婚は遺伝だでね』『鬼ツイートハニー』がある。オンラインサロン『シナプス』では「独身者はすぐ結婚したくなり既婚者は離婚をとどまるハイスクール」のサロンオーナーを務める

■『浮気とは「午前4時の赤信号」である。 幸せな結婚と恋愛のリアル法則』(ワニ・プラス 1400円+税) 「ゲス不倫」なんて言葉が新語・流行語大賞にノミネートされるほど不倫が話題になった今年、放送作家のすずきBが独身にも既婚者にもためになる「究極の恋愛本」を書き上げた。自らの体験談を告白しながら「オトコの浮気」を検証。時にはオトコの性について言い訳し、時にはダメな不倫についてバッサリと切り捨てる!

(構成/野島亮佑 撮影/山上徳幸)