メキシコの東海岸はカンクンビーチだけじゃない。さらにキレイなミルキーブルーの海が他にも存在するのだから、これは行くっきゃないのです。
まずはカンクンからフェリーで約30分の所にあるイスラムヘーレス。この名前、つい「イスラム・ヘーレス」と区切ってイスラムを思い浮かべてしまいそうになるけど、正しくは「イスラ(島)・ムヘーレス(女性)」。スペイン語で「女性の島」と言う意味なんです。
いつも通り、日本人宿で集まった旅友たちとフェリーに乗り込むと、ピーカンな太陽に照らされたカリブ海はキラキラと最っ高の輝きを見せる。さあ、出発進行!
そこにミュージシャンが現れ、メキシコ民族音楽を元にした80年代を代表する洋楽『ラ・バンバ』などの浮かれた曲の演奏に乗客たちはノリノリだぜ~♪ 海と音楽のあまりのベストマッチに「盛り上げてくれてグラシアス!」と、旅人風情の私たちも軽やかにチップを放り投げた。
ところでバックパッカー的旅人は、普段から安宿に泊まったり、自炊や屋台フードで済ますことも多いので、意外とチップ不要で生活できてしまうことも多い。
しかし、メキシコにはしっかりとチップ(Propina)の習慣があり、レストランやアクティビティなどではアメリカ同様“必ず”チップを渡すマナーがあります。レストランなどでは10%~で、もともと物価も安いし10%は計算もしやすいので、チップ文化に慣れてない日本人にも簡単。
ちなみにアメリカは15%~と言われるが、ニューヨークでは多くの人が「ダブル・タックス」法という消費税を2倍にした金額を渡すそうで、現在のNYのタックスは8.875%なので、ほぼ18%。そもそも物価の高いNYでは結構な額になるが、チップは最低時給で働く労働者にとって必要不可欠な収入源。もはや「心付け」ではなく、ほぼ「義務」なのだ。
その条件はそれぞれの国や街によって異なり、例えばNYのタクシーはチップ必須だが、メキシコのタクシーは値段交渉があるので不要なんだとか。
沈没スポット「恋するコスメル」
さて、イスラムヘーレス島に着くと、そこは現地メキシコ人も遊びに来るちょっとした観光地で、透明度が高く、波が穏やかな遠浅ビーチはまるで楽園。
すると、ビーチが目の前の最高のロケーションでは、誰かの結婚式の準備をしていたのだが、その会場がかわいいったらありゃしない!
砂浜には大きな「LOVE」のオブジェや「Mr&Mrs」と書かれた新郎新婦席、そしてベビーピンクのリボンがかかったゲスト用の椅子。テーブルにはテキーラが用意され、そしてゲストに配るプチギフトももちろんテキーラの小瓶だった。
式をひと目見たかったけれど、帰りのフェリーの時間があるのでゆっくりはしていられない。イスラムヘーレス名物「カラコル貝」やカクテルシュリンプを食べ、10%のチップを置いて帰ることにした。
美ビーチに興奮冷めやらぬまま、後日もまたカンクンから車で約1時間のプラヤデルカルメンを経由し、さらにフェリーで約40分のコスメル島へ向かった。
ダイビングやシュノーケルのスポットとしても人気で、誰が言い始めたのかは知らないが、ココは旅人の間で通称「恋するコスメル」と呼ばれ親しまれている。有名な日本人宿もあるそうで、旅人の沈没スポットとしても有名。
海に恋をするのか、それともきっとこの宿に沈没した男女が、トロピカルフィッシュに囲まれたり、マリンアクティビティーでの吊り橋効果やシェア飯を通して結ばれたのが「恋するコスメル」の由来なのか…。
ところが、なんとその宿、このタイミングで休業。えええ~! マリーシャ、残念ながら「恋するコスメル」で「恋できず拗(す)ねる」の状態です。
それどころか、カンクンからのコレクティーボ(ミニバン)ですでに車酔いなのに、経由地のプラヤデルカルメンからのフェリーも大揺れ。
ここでも現れたミュージシャンが「コモエスターーー?(元気ですかー?)」と乗客を盛り上げ、乗客も「ビエーーーン!(もちろんだとも!)」と盛り上がっているが、私は屍(しかばね)状態。マジでゲーする5秒前だったので、今回はチップをあげてる余裕もなく、船からかけ降りた。
チップ国際問題、勃発
私がコスメル島に来たのは、「恋する」ためではなく、「潜る」ためです。ダイビングと迷ったけれど、今回はシュノーケルに参加。
午後から夕方の短い時間に3ポイントも巡り、星型のヒトデや魚、そしてウミガメや人生初のエイ(Stingray)にも遭遇し大満足。
ツアーが終わると、インストラクターとボートキャプテンに対し、イギリス人がふたりでUS10ドルのチップをサっと渡したのを私はすかさず目視。次に、現地メキシコ人がゴソゴソ財布からペソを渡すのを確認すると、どうやらひとりあたりUS5ドル程のようなので、私もそれに続いた。
しかしその後、アルゼンチン人がチップを渡さないと、これまで優しくて笑顔だったインストラクターの表情が豹変し、強い口調で怒りを露(あら)わにした。スペイン語なのでほとんど理解できなかったが、「それがおまえのやり方かー! アルゼンチン人はいつもそうだ」というようなことを言っていた様子。
ボートの上はシーンと静まり返ってしまった。
そういえば、メキシコ人の友人が「カンクンの観光客は特にアルゼンチン人が多くてね~」と漏らしていたが、どうやらそのマナーは目立つようだ。
彼らにチップをあげない理由があったのかもわからないが、やはりチップにまつわる国際問題はどこの国にもつきまとう。
私の本音を言うならば、小銭を用意するのや計算するのが面倒くさいので、インクルード(チップも含めた料金)にしてくれたらいいのにと思うのだけれども…。
しかし、世界には日本のようにチップのない国のほうが珍しいので、旅人としては慣れるしかない。どこでもスマートに渡したいものです。
コスメルで恋をせず、チップについて学ぶマリーシャでした。
【This week’s BLUE】 コスメル島の街中の青い落書き前でジャーンプ!
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】