トランプ米大統領が「不公平だ!」と批判しまくる日本の自動車市場。でもぶっちゃけ、今、男が奮い立つようなアメ車ってあるのか? おなじみ自動車ジャーナリストの小沢コージが最新事情を徹底解説!
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トランプ大統領による、わがニッポン自動車界への言いがかりがハンパない!「アメリカは日本車を無税で輸入している」という事実誤認もさることながら、トヨタに対しては「メキシコに工場を造るなんてありえない!」と恫喝。もはや学生が校長先生に「おまえ、学費払ってねえぞ!」と間違って怒られるような恐怖感ですよ、マジで。
だって日本市場こそがアメ車を完全関税ナシで輸入し、北米じゃトヨタが7割、日産が8割、ホンダが9割ものクルマを現地生産してるわけ。確かに北米で日本ブランドの車は売れてますよ。でもね、アメリカで造ってアメリカで賃金&税金払ってアメリカのインフラ使ってるんです。ついでに言うと、豊田章男社長は北米のトヨタCEOより給料が安いってウワサもあるほどでね。要は現地生産の日本車は完璧アメ車なんですよ。
とはいえ、トランプの言い分もまったくわからんでもない。アメリカでの日本ブランドのシェアって知ってます? ざっくり2016年はトップのGMが300万台、フォードが260万台で、トヨタが250万台、ホンダが160万台、そして日産が150万台で日本勢は4割弱のシェア。
ちなみに昨年、日本市場で売れた輸入車は約7%で、アメリカンブランドに限るとわずか0.3%弱! 約500万台弱の自動車市場でジープが9392台、フォードが2225台を筆頭にダッジ340台、ハマー12台、ビュイックは10台しか売れてない…。
いくらアメ車がダメだってホントにそこまでダメなんですか?って思うでしょ? けどね、日本に入ってくるアメ車って実は超おバカで面白いんです、コレが。
憧れはフルサイズのアメリカンセダン
そんななか、クルマ好きの憧れはフルサイズのアメリカンセダンだ。オススメはキャデラックの最新フラッグシップCT6&懐かしの味で売るクライスラー300。
キャデラックCT6は、マジでドイツ車にも負けないシャープなAWDセダンで、全長5.2m弱のド迫力サイズに、キャデラック自慢のアート&サイエンスデザインを研ぎ澄ませたフォルムが特徴。エンジンは(アメ車としては)抑えめの3.6リットルのV6。
ただ、個人的にはクライスラーの300が推し。というのも1998年にダイムラー・ベンツとクライスラーの対等合併時に造られた遺産なのだ。今も骨格は当時のベンツEクラスのまま。それをブラッシュアップしまくり、クライスラー独自のワルなデザインと合体。走りもカッコも超濃密モデル。
唯一、昔ながらの半球型ヘミヘッドを持つV8エンジンが選べないのがつらいけど、その分(アメ車としては)エコな3.6リットルV6+超最新の8ATが組み合わされている。まさに走る超熟成アメリカンベンツで、ずばり狙い目だ。味わいと歴史が玄人すぎだけど。
◆オススメのアメ車&「日本で売れるアメ車」をつくるヒントは?『週刊プレイボーイ』9号「トランプよ、日本人が欲しくなるアメ車はコイツらだ!!!」では、他にも日本人が欲しくなるアメ車を紹介! 是非こちらもお読みください!!
(取材・文/小沢コージ 写真協力/FCAジャパン ゼネラルモーターズ・ジャパン)