ついに憧れのカッパドキアの空を熱気球で飛びます!

メルハバ!(トルコ語でこんにちわ!)

皆さん、美しい桜と美味しいお酒で日本の春を楽しんでいますか? こちらトルコは99%以上がイスラム教徒ですが、飲酒に関しては割と自由で、地元のエフェスビールが美味しいです!

さて、トルコのハイライトといえば、熱気球に乗って世界遺産「カッパドキアの岩石遺跡群」を拝むこと拠点となる街・ギョレメまではイスタンブールからちょっと遠くて、夜行バスで約12時間。

隣の席に座ったトルコ人のおじいさんと楽しくお喋りしていると、途中からシリアスな話になった。「私は4人兄弟だったけど、末っ子はポリスに撃たれて死んだんだ。彼はテロリストなんかじゃないのに。政府と社会主義とナントカカントカ…」。話の全容はわからなかったけれど、2013年に起きた大規模なトルコ反政府運動(通称「トルコの春」)のことを言っていたのであろうか。

イスタンブールが想像していたよりも明るい雰囲気で“浮かれモード”の私だったけれど、近年の複雑な情勢や頻発するテロ事件を思い返し、少し旅の緊張を取り戻した。

一度不安がよぎると今度はすっかり“心配性モード”に入ってしまい、余計なことばかり考えてしまう私。そういえば、カッパドキアでは13年に日本の女子大生が殺害される痛ましい事件もあったな…。コワイ。どんな街なんだろう。大丈夫だろうか。

しかし夜が明けてオトガル(バスターミナル)に到着すると、さっそくそこら中に奇岩がニョキニョキと生えていて、洞窟型の建物が並んでいる。

「何ここ! すごくカワイイんだけど! 好き!」

無事にカッパドキアに到着すると、そこにはいきなりニョキニョキと奇岩だらけ

バスを降りても全く客引きに囲まれるようなこともなく、カッパドキアの街はのんびり穏やかでとても平和そう。緊張や不安は一気に吹き飛び、宿に荷物を降ろした私はすぐさま丘を駆け上った。

すると、目の前には360度に奇岩絶景のパノラマが! 素晴らしい! これは早速、熱気球でしょう!

丘を登れば町全体や奇岩群など360度見渡すことができる

美しい奇岩三姉妹。カッパドキアの奇岩群は、火山の噴火により堆積した凝灰岩が浸食されてできたものだそう

定番のトリックアート写真、しめじ型の奇岩にハグ!

幻想的な奇岩と気球の景色が!

ここは別世界! 奇岩の街・カッパドキア

しかし、カッパドキアでは今年2月に気球の着陸失敗による死亡事故が、3月にも熱気球3機が突風にあおられて地面に激しく衝突し、49人が負傷する事故が起きている。(そして、私が乗った後のこの4月にも死者が出る墜落事故が起きてしまったそうです…)

ちょっと心配だったので、私はしっかり天候チェックをし、腕の良いパイロットがいるという評判のオフィスに頼むことにした。

そしていよいよツアー当日の早朝、お迎えのミニバンで気球乗り場の丘へ向かっていくと、すでに空にはいくつも気球が飛び立ち始めていた。今日は風も静かだし、安全で快適な飛行が期待できそう。というわけで、気球のカゴに乗り込んだ。ワクワク…。

静寂の中、「ゴオオ!」と燃え盛る燃料の音だけが響き、ついに私たちの乗る気球もフワフワと空へ浮かび上がったのだ。

バーナーから炎が上がる

ついに憧れのカッパドキアの空を熱気球で飛んでいます

気球は揺れることもなく、飛んでいるのがわからないくらい安定しながら空に昇っていった。実は、やっぱりほんの少しだけビビってたから、ホっとした。全然怖くない。

一気に大空まで上がるとこれぞ憧れていたカッパドキアの空! 何億年もかけて形成された奇岩の絶景をバックに、無数に飛んでいるカラフルな気球はまるで童話の世界のよう!

気球は上がったり下がったり旋回を繰り返し、奇岩の近くまで寄ったり谷の隙間をくぐり抜けたりと、評判通りパイロットの操縦はさすが。

朝日が昇るにつれ、空を見上げる地元の人たちが手を振ってくれたり、気球に向かって犬がワンワン吠えたりしている。頭の中には小学生の頃に歌った気球の歌が流れ、静かな興奮に包まれた。

無数の気球が飛ぶ、ザ・カッパドキアの景色

奇岩の間をすり抜けていく

そして美しい景色を堪能した約1時間の飛行を終えいよいよ着陸するのだが、私はコレもまた楽しみにしていた。というのも、着陸は気球のカゴがトラックの荷台にピタリと着地するらしく、旅人の間ではそのテクニックがすごいと話題になっていたからだ。

腕の良いパイロットだもの、きっと優雅に着地をかましてくれるんだろうな! 私は熱気球体験のクライマックスへの期待に胸を膨らました。ところが…!!

先に着陸している気球たち。トラックの荷台に上手に降りている

まさかの風vs人の闘いが!

地上で待ち構えているトラックに気球が近づいたかと思うと、アレレレ!? 私たちの気球はトラックの上を通り過ぎてしまった!

風の仕業だろうか、上手く荷台にハマれなかったのだ。行き過ぎてしまった気球を、地上のトラックが猛スピードで追っかけてくる。

追いかけてくるトラック

空から見てると、焦ったトラックはスピードの速いミニカーみたいで、なんだか面白い。

…とか言ってる場合ではない! 今度はカゴからロープを下ろし、男3人が必死にそれを捕まえたものの、そのまま彼らはズルズルと引きずられていく!

風 vs 人!

ロープを懸命に引っ張る男たち

気球のカゴから地上を覗く私たち観光客にも緊張感が走る。そしてトラックとの距離を調整し、今度こそ着陸かと思った時、パイロットが叫んだ。

「みんな! 膝を曲げろ! そして頭を低くして! しゃがんで!」

ドッカーン!!!!

キラキラキラ…、ピヨピヨ…。

強い衝撃が起きた瞬間、私の視界には星やヒヨコが飛んでいた。どうやら後頭部を思い切りぶつけ、プチ脳しんとうが起きたようだ。

フラフラと起き上がり、外を覗くと、トラックは少し離れた所にあり、私たちの乗っているカゴは斜めになった芝生の上に着地…。

トラックの荷台ではなく原っぱに着陸

その後、再び男たちが凧あげのようにロープをひっぱりながら、もう一度気球を浮かばせてトラックにカゴを乗せ、これにてやっと本当の着地となった。

皆がカゴから降りると、何事もなかったように斜めの芝生の上にテーブルやシャンパンが並び、「やあ、素敵な空の旅でした」と乾杯。

丘の途中の斜めのところに着地

トルコ女子と証明書ゲット!

なんだか理想の着地とは違ったけれど、無事に(?)憧れの熱気球体験は終わった。空の旅は大満足で、熱気球に乗ってこの素晴らしい景色を拝めたことに喜びを感じています。

しかし、たとえパイロットの腕が良かったとしても、熱気球は時に自然の力に襲われることもあると覚悟していなければならないと感じる経験でした。

生きてることに感謝。

【This week’s BLUE】ガラス製の青い目はトルコの魔除け「ナザールボンジュック」は、悪い視線を跳ね返す力があるのだそう。木に結び付けられた布には願いごとが書いてあるんだとか。●旅人マリーシャ平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。バックパックを背負 う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】  instagram【marysha9898】