全店で24時間営業を廃止しただけでなく、早朝や深夜の営業時間短縮も進めているロイヤルホスト。大手飲食チェーンだけに追随する他チェーンもありそうだ

昨年11月に「ロイヤルホスト」が“全店舗で24時間営業を廃止”と発表したことが話題となった。すでに「マクドナルド」や「吉野家」といった大手飲食チェーンも“脱24時間営業”を宣言。今のところロイヤルホストのように全店舗廃止に踏み切ったところはないが、業界全体が着実にその方向へ進んでいるように見える。このままでは終電を逃した後、ダラダラとしゃべりながら始発を待てるような店がなくなってしまいそうだ。

そんな深夜族の受け皿になるのでは?といわれているのが最近都内でも急増中のイートインできるコンビニだ。テーブルとイスが設置され、店で買ったものを自由に飲食できる(店舗によって飲酒不可も)。イスは固く、居心地は決して良くないが、100円のコーヒー1杯で朝まで粘れればコストパフォーマンスは悪くない。元気な大学生なら喜んで利用するのではないだろうか。そこで、その可能性をコンビニジャーナリストの吉岡秀子氏に聞いてみた。

「可能性はゼロではありませんが、どこにある店なのかにもよるでしょうね。もともとコンビニのイートインは、シニア層や主婦層など、これまであまりコンビニに来ていなかった人たちにもゆっくりくつろいでもらおうと設けられています。ですから『イートインコーナーは22時まで』とか時間制限しているところも多い。もちろん、ニーズがあれば各店舗で対応していくと思いますが、コンビニ業界としてその受け皿になろうと動くことはないでしょうね」

そうなると、これ以上24時間営業をやめる店が増えないことを祈るばかりだが、店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏はこう予想する。

「多くの飲食店で深夜アルバイトの確保が難しくなっていますから、脱24時間営業の流れは続くと思いますが、急速に広がることはないでしょうね。実際、『すき家』は24時間営業の店舗を増やし始めています。うまくやれば24時間営業は儲かりますから、簡単にはなくなりません」

コンビニが始発待ちの若者の逃げ場になるのはまだ先になりそうだ。

(取材・文/井出尚志 渡辺雅史 高山 恵[リーゼント])

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