飲み会後、最後に「よし、シメに行くか!!」なんて日々をお過ごしでは?
実は、この「シメ文化」は全国各地に独特のものがある。各地のご当地シメメニューを覚えておくと盛り上がるネタになるかも…。もちろん、旅行や出張先での飲みの楽しさもアップするので、前編記事に続き、ご一読を!
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まずは全国のシメ文化の実態を把握すべく、47都道府県で暮らす「よしもと住みます芸人」にアンケート調査を実施!
日本全国の「飲みのシメ」メニューを調べていくと、北海道の「パフェ」から沖縄の「ステーキ」まで、ラーメン、うどん、お茶漬けといった定番とは異なるシメメニューも存在する。これらの珍しいシメが生まれる理由って? ご当地グルメ研究会の代表、松本学氏に聞いた。
「珍しいシメ文化が生まれるパターンは大きく3つ。ひとつ目は“ひとつの名店からどんどん広がったパターン”、ふたつ目は“海外から持ち込まれたパターン”、そして“町おこしとして仕掛けられたパターン”です」
ふむ。では、名店から生まれた例は!?
「宮崎では『肉巻きおにぎり』がシメの定番となっていますが、発祥は『雑食屋』という居酒屋。従業員のまかない用に生姜焼きでおにぎりを巻いて食べさせていたところ常連客に求められ、そこから専門店が誕生するほどの広がり方をしました。ほかにも福岡の『カツ丼』はそば屋『博多 藪(やぶ)』が、長崎の『おにぎり』は『かにや』が発祥といわれています」
すごい影響力! でも本当にたった1店から地域のシメ文化が誕生することなどあるのだろうか? 長崎のおにぎり屋「かにや」の店長、中村靖志氏に聞いてみると…。
「うちは60席の店ですが、週末は約1千人が来店し、多い日は出前含めて2500個近いおにぎりを提供しています。周囲に深夜営業しているおにぎり屋はほとんどないので、長崎のおにぎりでシメる文化は当店が支えていると自負しています」
そもそも、一体なぜそんなに人気が出たの?
「当店の創業は1965年。当時はほかに深夜営業している店は少なく、スナックや雀荘への出前もしていたので、地域の中で知っていただけるようになりました。お父さんが夜に持ち帰った当店のおにぎりを翌朝に子供が食べたりもするようで、世代を超えて愛してもらっています。ちなみに『塩さばおにぎり』は当店が全国初。ローソンが『塩さばおにぎり』を発売するときも相談しに来たほどです」
古くから深夜営業をしているお店は長く愛され、地域独特の「シメメニュー」を生み出すことがあるようだ! では、海外から持ち込まれたパターンとは? 前出の松本氏はこう話す。
「横浜の『ナポリタン』や神戸の『コーヒー』。港町は古くから洋食を取り入れる文化があり、横浜はナポリタン発祥の地、神戸は喫茶店発祥の地をうたうなど、地元の食文化を強く愛しています。
また、長崎は『おにぎり』のほかに『佐世保バーガー』をシメで食べる文化もありますが、これは駐留していたアメリカ海軍のリクエストから生まれたもの。沖縄の『ステーキ』も同様です。ただ、栄養素から考えるとシメとしては適しておらず、沖縄の肥満率が男女ともに全国1位であることと無関係ではないようにも思われます(笑)」
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意外と奥の深い「ご当地シメメニュー」の世界! まだまだ進化の余地がありそうなので、今後も注目したいところ。次の飲み会の終わりには、上司の出身地の「シメメニュー」を提案してみても面白いかも!?
(取材・文/黄孟志 写真/アフロ)