「ビューティフル。嫁に来ないか?」
ジンバブエの国境でイミグレの係員にプロポーズされ、おったまげーなマリーシャです。
「結納品は牛2頭か。よし、嫁ぐわ!」…なんて思うわけはなく、今回はジンバブエ側のビクトリアフォールズを拝もうと、ザンビアから陸路を越えてやってきた。
さて、このジンバブエという国ですが、実はつい2年前まで「100,000,000,000,000ドル札」というものがありました。0が多すぎてワケがわかりませんが、0が14個、100兆ドル札という笑っちゃうくらいの一見、バブリーな超高額紙幣です。
しかし、今やそのお金に価値はなく、ただの紙切れ同然。2015年6月にジンバブエドルは廃止され、現在はアメリカドルが流通するようになりました。
しかし、なんでこんなお金が存在したのかというと、2008年政府がたくさんお金を刷ってしまった結果、2億3千万%という天文学的なハイパーインフレが起きてしまったんです。
その原因は1980年、初の黒人大統領となったロバート・ムガベ氏の独裁政権によるもの。
植民地時代に強奪された白人地主の農場を取り上げて黒人に分配したところ、農業のノウハウがなく食物不足に。さらに外資系企業に対して、保有株式の過半数を政府に譲渡させる法律を作ったため、企業はジンバブエから撤退。国から物資がなくなるという事態に。
すると、「物資を持つ者は売らないといけない」という法律ができ、物価は上昇。高いと買えない人がいるので、今度は「物は安く売りましょう」という法律ができましたが、安く売ればまた物資はなくなる…すると、闇市場で物が高額で売られるようになり買えない人が出てくる。
そして「物価が上がったならお金を作っちゃえ」という、おったまげーな発想でどんどん高額紙幣が生まれたというわけなんです。
その結果、経済は破綻ーー。
最終的には米ドルに両替して回収されることになり、当時の交換レートは残高が17.5京ジンバブエドルまでの銀行口座に対し、受け取れるのはわずか5米ドル。それを越える残高は3.5京ジンバブエドル=1米ドル(約300兆ドルにつき1円程度)となったそう。
7.5京ジンバブエドルがわずか5米ドルに
旅人の間では「両替でもしようものなら、とんでもない札束となり大富豪気分を味わえる」と、よくネタになっていた。どれくらいの札束かって、10米ドルでも両替したら、高須院長が籠池さん宛てにツイッターで披露して話題になったくらいのブ厚さにはなるでしょうね。私もちょっと楽しみにしていたのですが、廃止になっちゃったので残念。
そんなジンバブエドルは、今となっては観光客用のお土産として店では5ドル前後、路上では1~2米ドル程度で入手できる。
「ヘロ~。これいくらか知ってる~?」というのが決まり文句らしく、歩いていれば札束を持った物売りが近付いてくるのである。
記念に欲しいと思っていたんだけれども、実際にそのお金を見ると、使用感のないピン札具合がまるでおもちゃのように見えてきて「要らないよ」と断ってしまった。でも、一時はその珍しさからネットオークションなどで高値で取引されていたようだし、面白いからやっぱり買ってもよかったかなーなんてちょっぴり後悔したけどね。
ところで「もし日本のお金がただの紙屑になったらどうしよう」と考えてみたけれど、私の場合、貯金はほぼ旅につぎ込んでしまったので、心配する必要ないか。
さて、そんな経済破綻があったジンバブエだけれども、現在の街中ではその実感は全くなかった。
むしろビクトリアフォールズの周りは観光地化されていて、リゾートホテルやオシャレなカフェ、土産物屋の並ぶ小さな町などがあり、潤っているようにすら見える。
最大の観光資源ビクトリアフォールズの敷地内でも、Wi-fi完備のオシャレカフェがあったので、私はそこでワニ肉のラップを頼んだ。インスタ映えしそうなラップは小洒落ていて、なんだかTOKYOにでもいるかのような気分である。
併設するお土産屋にはビクトリアフォールズの水が10米ドル売っていたけれど、滝水が100兆ドル札よりも価値があるなんてなんだか不思議だわ。
人生2度目のイモムシ料理にトライ…
そして肝心のビクトリアフォールズですが、今回は人生初のヘリコプターにも乗って空からの景色も堪能。
虹の架かる地球のヒビに滝が吸い込まれていく様子はとても神秘的で、象がサバンナを歩いている姿も見ることができ大満足。
たった15分程度の遊覧でしたが、まるで高須クリニックCMドバイ編を体験したかのような贅沢な気分だった。
贅沢ついでにもうひとつ。
野生動物の肉“ゲームミート”が食べられるという、街で人気のレストランに行くと、そこではイボイノシシ、ホロホロ鳥、エランドなど珍しい肉を味わうことができた。
すると、「イモムシありますよー! 食べた人は証明書がもらえるよー!」との声。イモムシ…私はミャンマーで勇気を振り絞って食べたのが最初で最後でありたいと思っていたのだが、まさか、再びこの機会がやってくるとは。
モパネワームというイモムシは、南部アフリカではポピュラーなタンパク源となるガの幼虫。私はガが世界で一番苦手なんですが、証明書欲しさに覚悟を決めたよね。
真っ黒なかっぱえびせんのようなイモムシをつまみ、恐る恐る口へ運んだ。するとその味は決して美味しいとは思わないけれど、カリカリとした揚げ物みたいで、ミャンマーのグニュっとしたものよりかはマシでした。
しかし、イモムシを食べた私はちょっとアドレナリンが出ていたのであろうか、テンション上がってレストランで売られていた木彫りの人形に急に愛着を示し、大人買い。
気付くとカバやキリンやゾウの木彫りが机にいっぱいになってしまったけれど、少しでもジンバブエの経済効果となりますように…(?)。
【This week’s BLUE】 樹齢1500年を越す神秘的で美しいバオバブの木 ●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。バックパックを背負 う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】