日本で唯一、電気機関車に乗れる! 碓氷峠鉄道文化むらEF63運転に鉄オタ記者が挑戦!

「自動車は誰でも運転できるけど、電車は運転できない?」。そんなことありません。本物の電車を気軽に運転できる場所があるんです!

車両価格は数億円、これが本当の高級車! 日本で唯一、電気機関車に乗れる「碓氷峠鉄道文化むら」EF63運転に鉄オタ記者が挑戦!

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鉄道ファンの間で最も人気のある運転体験といえば碓氷峠(うすいとうげ)鉄道文化むらのEF63。毎月限定5人の講習は数分で完売。運転予約は2ヵ月先までいっぱいだ。

講習は本格的で碓氷峠の歴史を学ぶことから始まり、EF63の仕組みを覚えて、実技、筆記試験と夕方までぎっしり。

苦労したのは運転の手順を覚えること。とにかくやることが多い。パンダグラフを上げ、空ノッチ試験、通電試験、ブレーキ試験。それを機関車の両運転台で行ない、やっと動かせる。

だがその手順の多さこそがEF63運転体験の魅力。本物の機関士と同じことをするというのが、マニア心をくすぐるのだ。

体験1日目は講習のみ。筆記試験に合格し、免許をもらって初めて運転ができる。

EF63の特徴である“2エンド”側の連結器についての説明を聞く受講者たち。さまざまな車両と連結できるように“1エンド”側(トップ写真)と比較して構造が複雑になっているのだ

進行方向が変わるため、機械室にてATS切り替えスイッチを切り替えるセキネ。その目は真剣そのもの

1日目の講習が終わった後は筆記試験。選択式だが意外に難問なので、大事な用語はちゃんと覚えよう。ちなみに60点以上で合格

運転席に座ると舞い上がってしまい、頭が真っ白に…

古いタイプの機関車なので計器やスイッチがたくさん。これを順番通りに動かす必要がある。ゲーセンの「電車でGO!」と比べれば、その複雑さがわかるはずだ

これがEF63形の免許証!(通用するのはもちろん園内だけ)。裏側は運転体験の記録表になっている

免許取得後、再び碓氷峠へ。改めて見るEF63は大きい。重さ108t、本当に動かせるのか? 直前までマニュアルを読むも、運転席に座ると舞い上がってしまい、頭が真っ白に。

かつてEF63を運転していた先生の武井さんに言われるままに手を動かす。スイッチが入るたび、背後にある機械室のモーターがうなりをあげる。すべての点検を終えて、発車準備OK。

地元出身の武井仁さん。子供の頃からEF63に親しんできた碓氷峠のスペシャリストだ

ノッチを手前に入れると、スルリと機関車が動きだす。時速10キロ程度だが、それ以上に感じる。およそ3分ほど走って停車。ブレーキを緩めると機関車は逆方向へ下り始める。速度が出すぎないよう、発電ブレーキを使いながら、常用ブレーキで停車。運転自体は時間にして10分にも満たないが、汗びっしょり。最後に先生にうまく運転するコツを聞いた。

「機関車は誰でも運転できます。あとは覚えが早いかどうか。あくまで“おもちゃ”なので気負わず、まずは9回乗って“機関士見習い”を目指しましょう」

上達にはとにかく乗るしかなさそう。そのためにも運転予約バトルに勝たないと……。

今回運転したのは昭和38年製の11号機。ほかに12、24、25号機が運転できる(車両の指定は不可)

難易度の高い車掌車との連結は、50回以上運転した人だけの特別メニュー

かつて碓氷峠で活躍し、準鉄道記念物にもなっているED42は車庫内で保存。車両の下をのぞけば、その特徴である歯車が見られる

広大な敷地に置かれた30両以上の車両。ここにしかないものも多く、特に電気機関車が充実

★明日配信予定の後編では、日本全国の運転体験スポットを紹介!

●碓氷峠鉄道文化むら(群馬県安中市)学科実技講習3万円 運転体験5000円 入園料:中学生以上500円 小学生300円 休園日:毎週火曜(8月は無休) 年末年始 TEL 027-380-4163 http://www.usuitouge.com/bunkamura/

(取材・文/関根弘康 撮影/本田雄士)