鉄道でしか行けない、もしくは鉄道でも行きづらい秘境駅。
伝説の鉄オタ・横見浩彦氏に、今行くべき駅を決めてもらい、本誌鉄オタ記者と男ふたり旅! 名物なんか食べない! 味のある駅舎がごちそうだ!
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【1日目】 START 浜厚真(はまあつま)(日高本線) 周囲に家はほとんどないが、近くの苫小牧東港から舞鶴や秋田へ向かうフェリーがある。ある意味、“北海道の玄関口” 11:08発 ↓ 12:38着 北舟岡(きたふなおか)(室蘭本線) 海の反対側は住宅地で、学生の利用客がそこそこいる。現在、駅前を整備中で待合室はプレハブになっている 14:23発 ↓ 15:21着 静狩(しずかり)(室蘭本線) 15年ほど前、駅舎を木造風にリニューアル。無人駅だが、ベンチには座布団が置かれるなど、管理が行き届いている 15:35発 ↓ GOAL 15:43着 小幌(こぼろ)(室蘭本線) キング・オブ・秘境駅。かつては“仙人”と呼ばれるホームレスが住んでいたことも。廃止の危機を乗り越え、現在は地元の豊浦町と鉄オタが整備している。 通過列車はまったくスピードを落とすことなく高速で通過していく。駅ノートや周辺地図は、下りホームの箱の中にあった
17:39発
2日目は新十津川駅を目指す!
【2日目】 START 7:57着 札的(さってき)(札沼線) 一見、農機具倉庫のような待合室だが、中にはトイレもある。意外と快適に過ごせるようになっていた 8:12発 ↓ 8:27着 豊ケ岡(とよがおか)(札沼線) 雑木林の中にポツン、まるで山小屋な豊ケ岡駅の待合室。暖房こそないがトイレはもちろん、テーブルや椅子、掃除道具まである。さらに駅ノートが置かれ、壁には撮り鉄たちのベストショットが貼られるなど、中は鉄オタのコミュニティスペースと化している 8:47発 ↓ GOAL 9:28着 新十津川(しんとつがわ)(札沼線) 16年春のダイヤ改正で一日1本に減った。電車到着に合わせて近くの保育園児がお出迎え&お見送り。また駅長犬が誕生するなど、列車にこそ乗らないが、地元民が中心となって駅を盛り上げている。入場券などの鉄道グッズも大人気 10:00発 ↓ 11:41着 峠下(とうげした)(留萌本線) 山あいの静かな無人駅だが、列車のすれ違いがここで行なわれる。暇を持て余し、駅ノートに書き込みをするセキネ記者(下) 12:42発 ↓ 12:50着 恵比島 (えびしま)(留萌本線) 立派な駅舎だが、実はこれNHK朝ドラ『すずらん』(1999年)で造られたセット。本当の待合室は右側 14:05発 ↓ 15:28着 EXTRA GOAL 伊納(いのう)(函館本線) 2011年に最寄りの高校が廃止になり、利用客はほぼゼロに。昨年、その廃校が欅坂46『世界には愛しかない』のMVで使われ、聖地巡礼をするファンがやって来るように
横見氏と本誌鉄オタ記者セキネが旅を振り返る
横見氏と本誌鉄オタ記者セキネが、今回の1泊2日北海道秘境駅ツアーをふり返った。
セキネ 小幌と新十津川以外はお任せで頼んで、まさかこんなプランになるとは! 浜厚真なんて初めて下車しましたよ。
横見 原野の中にたたずむ“貨車駅”。北海道らしさを見せるなら、ここだろうなと。
セキネ 当初のプランでは、横見さんは小幌駅で4時間滞在したいと。
横見 昼間はよく行くけど、夜はどうなのか知りたかった。
セキネ 結論から言うと、寒さで凍死するところでした! 2時間早い便に変更。列車が近づいてくるのを見て「レスキュー隊が来た!」って思いましたもん。そして2日目の新十津川も滝川(たきかわ)まで40分約3㎞歩くつもりだったのですが、雪のため断念。
横見 代わりにタクシーで行こうとしたけど、タクシーがなくて焦ったね。新十津川はタクシーが3台しかないらしく、予約しておいたほうがいいかも。
セキネ 峠下を秘境駅として紹介していたのが意外でした。
横見 昔来たときは駅長がいて、コーヒーを入れてもらったの。それが無人になり、住民もいなくなり、秘境駅になっちゃった。留萌(るもい)本線自体が廃止のウワサもあるし、悲しいね。
セキネ そして恵比島。駅舎に「明日萌(あしもい)」と表示があって何かと思ったら、20年近く前の朝ドラのセット。頑丈でまったく壊れていない、さすがNHK!
横見 以前は中に入れたんだけどね、今回は鍵がかかっていて入れずでした。
セキネ 秘境駅って次の列車まで待ち時間が多いと思うんですが、何をしてますか?
横見 今はさびれていても、昔は栄えていた時代があったわけで、その痕跡を探すのが楽しかったり。まあ今は電波が通じるから、普通にケータイを見てるね。ほら、何度も来てると感動もないし。
セキネ そりゃそうですけど……。でも今回降りた駅って、鉄オタはいたけど、地元客をほぼ見なかったですね。
横見 そもそも利用客がほとんどいないのが秘境駅だからね。JR北海道はここ数年、駅の廃止を積極的に進めていて。紹介した駅が3年後、5年後まで残ってるかわからない。行くならすぐ行ってほしいな。
(取材・文/関根弘康 撮影/本田雄士)