柿ピーを前に笑顔の中倉氏だが、実際はパッケージがちゃんと見えているか胸中は不安…。家には300コ以上の柿ピーが保管されているそう

NHKアナウンサーを辞職し、現在フリーのアナウンサーとして活動する傍ら、柿ピー研究家として日夜、柿ピーの研究に努めている中倉隆道さんをご存知だろうか? 先月、『マツコの知らない世界』にも出演し、彼の尋常ではない“柿ピー愛”が話題を呼んだ。

15年間、毎日6袋以上の柿ピーを食し、柿ピーを使用した料理レシピまで考案している中倉さんに、その柿ピーへの愛とともに、お正月に実践できるオリジナル「柿ピーおせち」のレシピを聞いた!

インタビュー当日、出張帰りかというくらい大きなバッグとともに現れた中倉さん。到着するなり、挨拶もそこそこにバッグから取り出したのは、なんと柿ピー!! そう、バッグの中は全て柿ピーだったのだ。

その数、なんと40コ以上! さらに、まだ見せてくれとも言っていないのに、ひとつひとつ勝手に説明しながら柿ピーを机に置いていく中倉氏。すでに柿ピー愛が溢れ過ぎ!!

パッケージを愛おしそうに見つめながら、説明する中倉氏。ちなみに奥のバッグいっぱいに柿ピーが入っていた

―すいません、もう48分も経ってるので、そろそろインタビューを始めていいですか? まずは座っていただいて…。

中倉 あっ、すいません。いつも勝手に柿ピーの話をしちゃって止まらないんです…。

―いえいえ、それよりこんなに持ってきていただけるとは。3つくらい代表的なものを持ってきて欲しいとは伝えていましたが…。

中倉 3つなわけないでしょう! 何をおっしゃいますか。こんなに可愛いコたちがいるんだから見せたいじゃないですか。(柿ピーの配置をずらしながら)やっぱりお顔(=パッケージ)は見せてあげないと。

―お顔…ですか。そこまで気にしなくても…。

中倉 あっ! バカバカバカバカ、バカでしょうよ! よくないですね! まずパッケージを見て、楽しむんです。メーカーさんによって分厚いビニールを使用したり、柿の種が割れないようプラスチックの器が入ってたり。そこまで楽しんでほしいです。まずは愛でていただきたい。

―ああ、女性も下着から見てほしい、褒(ほ)めてほしいと言いますよね。

中倉 ホントそうですよ! まずは髪とかアクセサリーとか下着とか、装いを褒めなきゃ。そこをわからない人が多すぎちゃってダメ。柿ピーにも愛情とデリカシーを持って接してもらいたい。よく愛でてほしい。人間も柿ピーも一緒なんですよ。ほら、みんな~お顔はこっちだよ~(陳列された柿ピーに向かって)。

NHKに入って1番の喜びは柿ピーの大人買い!

左は柿ピーを食べる際に必要な道具。サイズを測る定規に、外で柿ピーを食べた時に止めるクリップ(大小)。そして、パッケージをキレイに保存するためハサミとミニナイフを持ち歩いている。右は研究資料だが、ひとつひとつ丁寧にまとめられ、中倉氏の几帳面さが窺(うかが)える

―…呼びかけちゃうんですね。

中倉 返事しますよ。彼ら生きてるんだから。

―…そ、そうですか。いつからそんなに好きになっちゃったんですか?

中倉 小学生の頃、父親の柿ピーをつまみ食いしてたんですよ。でも集め始めたのはNHKに入ってからです。学生時代はお小遣いをもらっていなくて、自分のお金で何かを買うことがなかったので。働いてから「もう好きなもの買ってやるぞ!」と思って買ったのが柿ピーだったんです。

―服や車、もしくは趣味のモノではなくて?

中倉 柿ピーなんです。スーパーで亀田製菓さんのプレーンとわさびと期間限定の味を買った時は嬉しかったですねえ…。自分のお金で自分の好きなものを買って、どれをどれだけ食べてもいいという。あの喜びはやっぱりNHKに入って1番の喜びでしたね。

―そのNHKを退職したのも柿ピーが原因というのは本当ですか?

中倉 うーん、そうですね…NHKって企業名や商品名は基本的に言えないんですよ。柿の種は一般名称ですけど、どうしても亀田(製菓)さんの印象が強いので「あられ」や「米菓」と表現しなきゃいけない。そういうことを含めて自分の言いたいことを素直に言えないことにずっと溜まるものがあって。

―柿の種ではなく、表現に対する不満みたいなものだったんですね。

中倉 いや、柿の種が8割くらいですよ。

―ほぼ柿の種じゃないですか!

中倉 柿の種についてどれだけ表現したくても言えないんですよ! 無理でしょ! 番組で柿ピーコーナーを作ろうとしたんですけど、ダメでした。NHKでは柿ピーの素晴らしさを伝えられなかったんです。

★後編では、中倉氏の柿ピーに対する細か~いこだわり、そして気になる「専門家」としての仕事ぶりに迫る!

(取材・文/伊藤このみ)