皆さん、お久しぶりです! そしてアッサラームアライクム!(イスラム教の挨拶)
いよいよ、旅人マリーシャ世界の旅もクライマックス!? これまで危険そうだからと後回しにしてきた中東の旅、ついに始めました!
107ヵ国を旅してきた私ですが、やっぱり中東というミステリアスなエリアへ出向くのは緊張気味。初めて海外に行くような気持ちでドキドキしながら出発しました。
まず向かったのはアラブ首長国連邦(UAE)の首長国のひとつであるドバイ。ドバイといえば、私がイメージするのはオイルマネーで潤(うるお)ってる超お金持ちの国で、高層ビルや高級ホテルがバンバン建ち並ぶ、優雅な旅行者が行く街!
キラキラを飛び越えてギラギラな街のイメージだったから、安宿なんてきっとないだろうと覚悟してたら…あったー! ドバイまで来たんだから豪華なホテルにも泊まりたいけど、バジェット型旅人だから仕方ない。ありがたく安宿泊まらせていただきまーす!
23時頃、終電間際のメトロで予約していた空港近くの大型ユースホステルに向かうと、立派なヒゲを生やしたアラブ男性たちの肖像画や等身大パネルに迎えられた。
「誰だろう? 石油王?」
そのお方々はUAEの首長たちであった。中でもアブダビ首長国の前首長兼UAEの初代大統領だったシェイク・ザイードは国民の誇り。石油開発によってUAEをリッチな国に育てたすごいお方なのである。
また、アイドルさながらに掛け時計となっていたのはドバイのモハメド首長で、このお方の息子、ハムダン皇太子は超イケメン! 彼のインスタグラムの投稿は、ドバイの高層ビルでの自撮りや推定1500万円のホワイトライオンを抱っこする姿など、世界でも話題となった。
そして、やっと寝床となる部屋に着くと、4人部屋は個室状態。
「宿で旅人見つけて情報収集と、物価が高そうだからワリカン友達を探そうっと!」と思っていたのに、館内にはバックパッカーのような旅人はおらず、エジプト人のおじさんや他にもアラブ顔の男性がポツリポツリといるだけだった。
また女性は全く見当たらずちょっぴり怖気付いたが、翌朝、朝食場へ行くと全身黒ずくめのアバヤを着た女性がひとりいた。
おお、宿の室内でもちゃんと朝からこの格好をするんだな。安宿は女子同士が寝起きのスッピンを見せ合うような場所が多かったので、この様子は印象的だった。
ムスリムの女性がひとり旅なんてありえないので、きっと旦那さんはまだ寝ているのだろう。ちなみに彼女を既婚者だと断定する理由は、イスラム教徒の男女の婚前宿泊は厳禁だからだ(ウズベキスタンのホテルは宿泊禁止であったし、ドバイでも厳密にはそのようだ)。
そして彼女はアバヤの下に食べ物を運んでこっそり食べているのだろうか、こちらからは食べている様子もわからぬまま食事を終えていた。
それにしても、朝スッピンの顔を隠せるのはなかなか良いもんだな…(そういう見方して良いのかな)。
全身黒ずくめで街へ…
そして実は私も今回は念のため黒い服を持ってきたので、早速それを着て外へ出た。ムワっと熱い日差しの中、ドバイ初日は風が強く、目を開けていられないほどの砂嵐。
全身真っ黒な上にサングラスとマスクを着けたら、完全に怪しい人物の出来上がりだ(全身黒に白いマスクは逆に目立ってしまい、この時ばかりは海外でたまに見かける黒いマスクもいいなと思った)。
両替のため、観光名所でもある旧市街デイラ地区に向かうと、街中はイメージしていたドバイとはかけ離れていて、庶民的な商店が並ぶ雑多な雰囲気。安値の洋服屋や日用品店、ファストフード店や軽食屋など生活感がある。
歩いている人は圧倒的に女性よりも男性が多く、全身白いカンドゥーラを着ている人が多かった。観光名所であるはずのヘリテージハウスには誰もおらず、金が売られているゴールドスークに少し観光客を見かけただけだった。
なんだかパっとしない始まりにモヤモヤしながら、新市街へ移動してみようとメトロに乗ると、ついに窓から見えたのは太陽の光を反射させる鏡のようなビル群。
とても先進的で未来的な建物が並び、いよいよドバイらしくなってきたようにも思えたが…。そこに人の気配は感じず、華やかさや賑(にぎ)やかさはない。なんとも無機質で、まるで人類がいなくなってしまったような寂しさを感じた。
そして“インターネットシティー”という名の駅で降り、今度こそやっと旅人の集まる宿に辿(たど)り着いた。
迎えてくれたのは宿で働くベラルーシ人の女のコ。宿泊客はスリランカ、ラオス、インド、パキスタン、ポーランド、アルジェリア、シリア、セネガルの国の人々、そして少々のヨーロッパ人とアメリカ人といった顔ぶれ。
さすが中東というべきか、これまであまり面識のなかった国籍の人たちが多い。しかし話を聞いていると彼らは旅人ばかりではなく、どうやらドバイで学校へ通ったり、働いていたりするようだ。みんな出稼ぎに来てるのかしら?
平均月収は120万円!
ところで、ドバイに来てからまだ一度もUAE出身の現地人に会っていない。一体、現地人はどこにいるの…?
すると無知な私に突然現れたドイツ人のおっちゃんがドヤ顔で教えてくれた。
「生粋のUAE人ってのは少ないんだよ! 9割は非UAE人で、現地人は1割ちょっとさ! 彼らは公務員として働く資格があり、平均月収100万円、警察は150万円だ! どうだ!」
なんと…。ドバイ政府公式サイトを確認してみると、そこには世帯月収のレポート(2014年版)が記されていた。
UAE人の月収約125万円、非UAE人の月収約66万円。つまり現地人の皆さんは年収1千万超えがフツー! ドイツ人のおっちゃんは続けてこう言った。
「UAE人は政府に頼めばいろいろ援助してもらえる。まずは土地を無償で貸してくれるだろ。結婚すれば家を建てる補助金も出るし、家具も車も、なんだって国に頼めばいいのさ!」
国民は国の天然資源の恩恵にあやかれるってわけね! 羨ましい~!
ちなみにフリーランスの月収はUAE人でも非UAE人でも約15、6万円だというから、もし自分がドバイ人ならやっぱり公務員かな…。てゆうか、公務員をしているUAE人のイケメンと…?(妄想タイム)
「おい、おまえ、変なこと考えてるな? 聞け! この国には金持ちで幸せなやつらばかりじゃないんだぞ。工事現場で働く外国人の月収はいくらだと思う?」
レポートによると外国人労働者など労働キャンプの月収は約7万円。大富豪ばかりと思われているドバイの裏側では、低収入で苦しい生活をする人々が存在したのだ…。
もちろん、それぞれの生活エリアは分かれていて、道理で私が歩いて周ったような庶民的なエリアでUAE人に会うことはなかったわけだ。
これからも高層ビルをもっと増やそうといった様子の工事現場をたくさん目にしたが、そこで灼熱の中、一生懸命に働いている人たちは、きっと低賃金の労働者たち。ドバイでは格差社会が問題となっているのだ。
さて、そんなドバイの第一印象はというと、「今はお金あるから良いかもしれないけど、石油がなくなったらどうするんだろ。それに高層ビルとか後先考えずに作りまくってない?」。まあ、そんなの私ごとき旅人風情が心配するまでもなく、エライ人たちがちゃんと考えているだろう。
これまでは無税が自慢だったドバイも、ついに石油頼りを不安に感じたのでしょうか、パンパカパーン! 2018年、今年から5%の消費税導入しました! 5%ってなんだか懐かしい響き(笑)! その税金が是非、格差社会が緩和される何かに使われますように。
それにしても、スーパーで買物すると、分厚いしっかりしたビニール袋を惜しみなくくれるあたりが、やっぱり石油大国なのだなと感じるドバイであった。
【This week’s BLUE】 安宿の近くでせっせと車に何か差し込む人がいると思ったら…! イスラムの国にもあるんだね! あれ? 今週のブルーじゃなくて、これピンク?
★旅人マリーシャの世界一周紀行:第185回「世界一美しいモスクに23カラットの金箔コーヒー! 超リッチなアブダビ旅へ」
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】