アブダビの「シェイク・ザイード・グランドモスク」でアラビアンナイトの世界にどっぷり

人口の9割が外国人というUAE第2の都市・ドバイ

安宿で国際色豊かな交流にすっかり馴染んだ私はある日、ラオス人男子と出掛ける約束をした。

…が、その後たまたま日本人女子が現れたので、彼との約束はドタキャン。急遽、彼女と首都アブダビへ行くことに(旅人の予定なんて風まかせ。仕方ないと彼も許してくれた)。

ドバイからアブダビへは長距離バスで3時間。その前に出発地点にあるショッピングモール内の“世界一美しいスタバ”に寄り道です。

ペルシャ風の青いモザイクタイルの壁とモスクのような丸いドーム型の天井。せっかくなので1杯と思ったけれど、日本と同じかちょっぴり高いくらいだったので、我慢して素直にアブダビへと向かった。

ドバイのイブン・バトゥータ・モール内にある“世界一美しいスタバ”

映画『セックス・アンド・ザ・シティ2』の舞台ともなったアブダビは、名前からしてアラビアンな響きがありとても楽しみにしていた街(余談ですが、政府により映画の内容とタイトルが不適切と指摘され、アブダビの設定だけど撮影はモロッコで行なわれたとか)。

映画のように派手な格好で優雅に練り歩いてみたかったけど、現実はバックパッカー女子がふたり、灼熱の中で汗にまみれながらなんとか最初の目的地「エミレーツパレスホテル」に到着した。

高層ビルがそびえ立つアブダビの街並み

エミレーツパレスホテルは約30億ドルもの巨費を投じて作られた、自称“7つ星”の超高級ホテル。ゲートをくぐろうとすると、警備員に「宿泊客ですか?」と聞かれたが、どう見たってそんな風貌ではない私たち。

「えっと…こちらのロビーのカフェを利用したいんです!」と答えて無事に突破した。この回答は決して建前ではない。私たちはこのホテルにかの有名な“金箔コーヒー”を飲みに参上したのだ。

敷地内に足を踏み入れると、そこには優雅で美しいガーデンが広がり、地面からは噴水が沸き上がる。一瞬、この暑さを忘れるほどの爽快感が広がった!

別天地のようなエミレーツパレスホテル

「わー! ステキ! こんなところに泊まりたい!」

建物に入ると、トランプ大統領も顔負けの豪華絢爛キンキラキンのインテリアにゴールドの肖像画。とにかく金(きん)に囲まれながら、ロビーにあるカフェのメニューに目を置くと、コーヒー1杯のお値段、なんと日本円にして約2千円!

どうする?どうする?と相談しながら、私たちは勇気を出してソファーに腰を掛けた。「23金のコーヒーと、23金のアイスをください…!」

豪華絢爛な金の内装でおもてなし。チェックインしているのは石油王かしら

トランプ大統領もビックリのゴールドな吹き抜け天井

まるでティンカーベルの魔法の粉

23金コーヒー&23金アイス。どちらもそれぞれ約2千円

「わ~お~っ…」

やってきた金のコーヒーと金のアイスを前にしてため息をつくと、鼻からもれた息で金箔が宙を舞う。まるでティンカーベルの魔法の粉のようなそれを必死にかき集めながら指先に付いた金箔を舐めた。

そしてアイスクリームにかぶりつくと、舌に少しサラリとした感触を感じながら「金って味しないね。でもきっと美しくなれるよ。だってほら、金箔の顔面パックとかあるし。それになんだか涼めて休憩できたから、2千円分の価値はあったよね、うん」と、なんだか自分を納得させているような。

しかし今思えば、スタバを飲んだほうがよっぽど安かったなぁ。

23金アイスを前に興奮気味の旅人

さて、ここでの目的はもうひとつ、私たちはネパール人の警備員に尋ねた。

金が買える自動販売機があるって聞いたんだけど、どこにありますか?」

「ああ、それは2017年の11月になくなったよ。惜しかったね」

金の自動販売機、見てみたかったのだが…。仕方ないからホテルを後にしようとすると、先程の警備員に話しかけられた。

「楽しんだかい?」

「もちろん! 金箔アイスを食べちゃった! でも高いよね(笑)」

「高くないだろ! ゴールドだぞ! 激安だろう!

「だ、だよね! ゴールドだもんね! 確かに激安だわ! ハッハッハ…」

“エミレーツパレス”でケチな発言をした自分が恥ずかしかったので、話を変えようと「ところであなたはどこの国の人?」と聞くと、「ウガンダだよ!」だって!

オイルの国に来て、なかなかのお給料をもらっているのでしょうか。

ムスリム娘を意識してみたが、「頭隠して足隠さず」で全然なりきれていない

これぞアラビアンナイト!

金に目がくらんで…というわけではないが、ゆっくりしすぎてアブダビで一番の目的がすっかり後回しになってしまった。ここのハイライトといえば、白亜の宮殿「シェイク・ザイード・グランドモスク」

建国の父・シェイクザイードの眠るこのモスクは、4万人を収容する世界最大級のモスクのひとつ。総工費約550億円だけあってスケールが違う。昼は目映(まばゆ)いくらいの白さで人々を魅了し、夜のライトアップは青く、闇夜に怪しく浮かび上がる姿がアラビアンナイトを彷彿(ほうふつ)とさせる。

女性専用の入口から入場すると、レンタルアバヤを着させられた。

レンタルアバヤの更衣室には正しい頭の隠し方が掲示されていた

レンタルアバヤを着用。アバヤって黒だけじゃなかったんだ

そしてついに真っ白い内装の高い天井をくぐると、遠くに伸びる回廊や正面の青く光るモスク中心部など360度に目を奪われ、思わず口をあんぐり。

「一生、見ていられる」

あまりの美しさに思わずそう呟いた。

青く光るモスク

アバヤを踏みそうになりながらモタモタと歩き回る

「それにしてもこのアバヤ、長すぎてふんずけちゃうし歩きにくいなー。みんなどのくらいの丈にしてるんだろう…」

他の人の足元を見たら、裸足の人が多い。ああ、確かにこの大理石の床をハダシで歩くの気持ちよさそうだな…って、ハッ!

「ヤバイ! ここ土足厳禁っぽい!

モスクに見惚れて吸い込まれるように入場した私たちは、入口に靴箱があるのをすっかり見落としていたようだ。す、すみません! 足跡つけちゃってないかしら…。

約9億円相当と言われる世界最大のペルシア絨毯をこの足でしっかりと踏みしめる

シャンデリアのお値段、約7億円。装飾はすべてスワロフスキーを使用しており、重さはなんと12トンだって!

その後もアバヤを捲り上げてしまったり、隠さなければいけない髪がモロ出しだったり、格好に似合わない撮影グッズを持って落ち着きなく歩き回る。

閉館間際の訪問で大急ぎとなってしまったけれど、このモスクは私が世界で見た建築物の中でもインパクトがあり、とても心を打たれました。世界一、美しいモスクといっても過言ではないかも!

こうして大大大満足のアブダビデイトリップであったが、ドバイに着いてからの終電をすっかり逃し、タクシーで帰るという出費でトホホなご帰宅となった。

【This week’s BLUE】青く光る壮大なモスクとその中に見える回廊。これぞアラビアンナイト!●旅人マリーシャ平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】