コミックスや映像作品には怪しいレビューは少なく、ガジェット系のレビューに集中している

アマゾンでポチろうと思ったその前に、誰もがチェックするのが「カスタマーレビュー」。しかし最近、【星5つ】が300件オーバーだったり、日本語が微妙な文章だったりと違和感強めのレビューに遭遇しがち。

このようなレビューはどこから大量投下されているのか?

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アマゾンのレビュワーさんたち以上にハードな商品テストを行なっている月刊誌『家電批評』(晋遊舎)の編集者・松下泰斗さん。【星5つ】が無限に増殖している商品とかありますが、どうしてこんなことになってるの?

松下 このようなレビューがつく商品は、iPhoneのアクセサリーをはじめとするガジェットに多いのです。そして、販売するのはいずれも日本では無名のメーカーになります。

―確かに! iPhone用のケーブルやケース、そしてモバイルバッテリーなどをチェックしていると頻繁に"やりすぎな5つ星"に遭遇しますよ。

松下 そのような商品を販売しているのは、ほとんどが中華系の新興メーカーです。膨大な広告費を使う大手メーカーと違い、彼らは広告費がありません。そこで、行なわれるのがアマゾンのステマレビューなのです。

―ステマって、いまだに効果あるんですか?

松下  例えば、アマゾンで「ライトニングケーブル」と検索した場合、4万種類以上の商品が表示されます。一般のユーザーはここから【並べ替え】を使い、【価格の 安い順番】や【レビューの評価順】で表示します。【評価順】ではレビューが多い商品が上位に表示されますから、ステマに気づかないユーザーに対しては効果 があると思います。

―でも、5つ星連発とかどうやって行なうんですか?

松下  これは中華系メーカーがバイトを雇って行なっています。お得意の人海戦術ですね。このようなレビューが増え始めた2、3年前は、中国語で書いた文章を翻訳 アプリで日本語化してそのまま大量に掲載するという雑なレビューが多くありました。しかし、最近はもうちょっとレベルが上がってきました。

―どんなのが?

松下 以前は投稿者名に「山本英雄」「佐藤宏一」など、いかにも日本人にありそうな名前を使用していました。しかし最近は本名風よりハンドルネームが増えてます。日本語も上達しています(笑)。

―確かにレベル上がってきましたね、このようなステマを見破るテクニックは?

松下  「怪しいな?」と感じたレビュワーの、そのほかのレビューもチェックしてください。ほとんどが同一メーカーや似たような中華系メーカーのレビューばかりを 書いています。そしてレビューの日付です。同じ日に大量にレビューを投下しているレビュワーは、ステマレビュワーとみて間違いないでしょう。

◆『週刊プレイボーイ』29号(7月2日発売)「中華ステマの無限高評価から箱ばっかりの商品写真まで Amazonレビューを疑え!!」より