『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、"ホリエモン"こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が、子宮頸がんワクチン推奨停止から5年になる今、予防医療について改めて考える。
前編では、世界各国で効果が出ているワクチン接種が日本で進まない理由について、多くの人は「ゼロリスク症候群」で「副反応が100%ワクチンのせいではないという証明」を求めている、と指摘した。
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ひろ なかには、「検診を徹底すればいい」派の人もいるみたいですけど。
ホリ でも、その検診がまた曲者(くせもの)で、病気でもないのに産婦人科に行くというハードルが高い。
ひろ ああ。ツイッターで産婦人科に行った女子高生を「アホか!」とか言う「本物のアホ」もいますからね。その人には「産婦人科は妊娠出産する女性だけが通うところではない」っていう批判が殺到してましたけど。
ホリ 実際、検診では股を開いてグリグリされるんだよ。これもハードルが高いじゃん。んで、がんになる前には「前がん病変」って呼ばれる状態になるんだけど、これの中程度までは、過半数くらいの人が自然治癒する。だから経過観察になるの。
でも、これも大変で、3ヵ月から半年に1度「組織診」っていって、毎回子宮頸部の細胞を検査しなきゃいけない。切符を切る機械みたいなのでバチッとやって組織を取るんだよ。
ひろ 聞いているだけで大変そうなのがわかりますね。
ホリ その間は「がんになるかもしれない」って不安になるし、クオリティ・オブ・ライフは下がりまくりだからね。
ひろ 子宮頸がんは女性特有の病気ですけど、男性にも関係があるんですか?
ホリ 大ありだよ。子宮頸がんの原因となっているヒトパピローマウイルスは、男性の舌がんや咽頭がん、陰茎がんや肛門がんなどの原因ともされている。だから俺もワクチン打ったもん。ほんと、ワクチンや予防医療の重要性は見直されたほうがいいよ。
ほかにも、B、C型肝炎ウイルスは多くの肝臓がん、ピロリ菌は多くの胃がんの原因になる。大腸がんはポリープの段階で切除すれば、ほぼがん化しないっていうよね。
ひろ ピロリ菌の駆除については、堀江さんは以前から啓蒙してますもんね。
ホリ 日本ではやっとピロリ菌検査が普及しつつあるけど、大腸がんなんかは全然検診率が上がってないんだよね。例えば、50歳以上に2年に1度大腸内視鏡検査を義務づけるだけで、大腸がんは相当減らせるはず。なんせ、ポリープを見つけたら、内視鏡でその場で切除できるから。
ひろ 予防医療の重要性って、頭ではわかっている人が多くても、なかなか予算が割かれないですからね。
ホリ これは厚生労働省の医療行政の不作為の罪でもあるよ。医者が書いている「がんは放置しろ!」みたいなトンデモ本も売れてるし。本当に残念なことだよ。
ひろ じゃ、これからどうすればいいんですかね?
ホリ 俺も予防医療普及協会で、あの手この手でキャンペーンを張っているけど、結局、政治が動かないとなんも変わらない。
ひろ そういう状況では、正しい知識を持って自分の身は自分たちで守るということが大事になってくるでしょうね。
ホリ そだね。
●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日生まれ、福岡県出身。SNS株式会社オーナー兼従業員。『これからを稼ごう 仮装通貨と未来のお金の話』(徳間書店)が発売中
●西村博之(にしむら・ひろゆき)
1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『働き方 完全無双』(大和書房)