ガマルジョバ!(ジョージア語でこんにちわ)
アゼルバイジャンから寝台列車に乗り、コーカサス3ヵ国のひとつ、ジョージアにやってきました。お相撲の栃ノ心の存在で知っているという人も多いのではないでしょうか。
元々はロシア語由来の「グルジア」という国名だったのが、国民の反露感情の高まりから政府が「ジョージア」への変更を世界に要請、2015年から日本でも「ジョージア」に変更されたそう。
なんとなく缶コーヒーを思い浮かべてしまいますが、ここは世界最古のワインの発祥地。
その歴史は8000年以上と言われていて、クレオパトラも愛したというジョージアワインは、メソポタミアを経由してはるかエジプトの地にまで広まったとか。
製法も独特で、クヴェブリという土器に入れ土に埋めて醸造する伝統的なワイン作りの手法が、無形文化遺産に登録されている。
それがお国自慢のためか、「空港で入国時にワインがもらえる!」そうなのだが、私はアゼルバイジャンから夜行列車でやってきたのでそのチャンスを逃してしまった。
さて、首都トビリシの中央駅に到着すると、きっと都会だろうとの勝手な予測に反し、駅周辺は庶民的な生活用品や家電屋、サビれた売店と両替屋が並んでいるだけ。
ヤバイ。ネットカフェでWi-Fi拾わないと宿の場所がわからん......。しかし、そんなものはなく、道行く人に聞きながらなんとかたどり着くことができた。スマホがない時代の旅人は、本当に大変だっただろうな(笑)。
その日の宿は、日本人の旅人に人気のいわゆる"日本人宿"。久々の日本人宿で仲間探しの期待と、"無料で洗濯し放題"につられて決めた宿だ。
イスラム圏で毎日着ていた汗にまみれた黒い服たち、実は一度も洗うチャンスがなかったんだけど、やっと洗えるのが心底うれしい!
"日本人宿"と聞いていたわりにその姿はなく、長期滞在型の韓国人のおじさんや、自称サッカー選手のナイジェリア人の男が私と同室だった。
「また日本人かよ......」
ナイジェリア人にそう苦笑いされたが、彼はなぜか私の分までランチを作ってくれ、宿のオーナーも私を自家製ワインでもてなしてくれた。
宿は居心地が良く癒され、日本人にも出会ったが結局仲間ができることはなかった。宿の周りも何もないところだったので、「マドロバ(ジョージア語でありがとう)」と挨拶をして街の中心へ移動することにした。
すると、あるじゃないか、都会。メインストリートであるルスタヴェリ大通りに出ると、駅ビルにはさっそくH&Mがお目見え。
ジョージア語で書かれた店名サインが奇妙だが、他にもバーバリーやダンキンドーナツなど知っているお店があって安心。ジョージア語の文字は何度見ても不思議だが......。
そして、10ラリ(約450円)ほどで泊まれる安宿に着くと、インド人経営なのはよくあることだった。
スタッフにはパキスタン人もいてラマダンを実行していたが、ジョージアはイスラム圏ではない。これまでラマダン中の人たちの前での飲食に気を使っていたが、ここではもう関係ない。
飲むぞ!
禁欲からの解放された私は、街中でワインバーを見つけては立ち寄ってみたり、宿で出会ったチェコ人、スウェーデン人、フランス人の旅人と赤白のワインを飲み漁った。
そうしたところで、私はその味を饒舌に語れるほどワイン通でないのが悔しいが、最近味わっていなかった優雅な時間を堪能できたのは確か。
そしてこのトビリシで奇跡の再会。以前ウズベキスタンで出会った、海外青年協力隊として医療関係の活動をしていたK氏が学会で来ていた。
「久しぶり! こうやって旅で出会った人とまた旅の途中で会うのは不思議で面白いね! ヒンカリを食べよう!」
ジョージア料理は日本人の口に合うものが多く、ヒンカリは少し皮の厚い小籠包のようなもの。ねじりあげたところをつまんで食べて、地元の人はその部分を残すそうなのだが、腹ペコの私は全部食べた。
彼はあまりお酒が得意でないと言うが、私はワイン通の友人に教えてもらったワインバーに彼を無理矢理誘った。
レンガ作りの店の地下に降りていくと、パンチの効いたロックなお姉さん登場。客として受け入れてくれるだろうか、一瞬ひるんだけれど、とても優しい彼女。
「ここのワインは全てオーガニックよ。私はワインの産地カヘティ地方出身なの。ワインをよく飲むかって? 今は別のものを飲むことが多いかも(笑)」
4杯のテイスティングコースを頼むと、ひとつひとつ丁寧に説明してくれた。赤、白、の他にアンバーというほんのり琥珀色をしたワイン。
果皮や種子などのすべてを一緒に漬け込む製造法でユニークな味だと説明されたそれは、渋みと酸味が複雑に絡み合った味をしていたが、初めて飲むこともあって気に入った。知っていると通っぽくてちょっとカッコイイかも♪
美味しい酒に酔いしれた私は、今の所ジョージアが最高すぎて、このまま何日もいたいと思った。
酔った勢いでカジノものぞいてみたが、案の定、負けたことはいうまでもない。ジョージアの物価が安すぎて、その負け額はわずか19ラリ(約850円)で済んだ。
【This week's BLUE】
丘の上から見たトビリシの夜景
●旅人マリーシャ
平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】