「浅草メンチ」もぜひご賞味ください!

『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。B級グルメ好きの彼女が最近ハマっている浅草グルメとは――?

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最近、"飲めるカルビ"にハマっています。と言っても、なんのことか伝わらないと思うんですが、あるお店のカルビのことを私の仲間内で"飲めるカルビ"と勝手に呼んでいるんです。

その大福園というお店があるのは、浅草のちょっと外れのほう。韓国系の焼き肉屋さんが軒を連ねるディープなコリアンタウンの中にあります。お店の前には食品サンプルのショーケースとでっかい業務用冷蔵庫が置かれていて、典型的な大衆焼き肉屋さんといった風情です。

しかし、ここのカルビはそこらのカルビとはまったく違います! 口の中に入れるやいなや、まるで水のように「ちゅるるるるるん」と喉に流れ込む食感......。よく情報番組の食レポで、霜降り肉を食べた女のコが「噛(か)まなくてもいいくらい柔らか~い♪」なんて言っているのを聞きますが、そうした柔らかさとはまた違うんです。

もちろん、最近はやりの歯応えのある赤身肉とも違います。なんて言っていいのか......「ちゅるるるるるん」としか表現できない食感なので、私は勝手に"飲めるカルビ"と命名させてもらった次第です。

最近はどこに行ってもミスジやザブトンといった希少部位が食べられる上に、ホルモンのヘルシーさに注目が集まったり、熟成肉もブームになりました。そんななか、女子が「カルビ1皿!」と注文する機会って、かなり減ったように思うんですね。そんな"若者のカルビ離れ"に待ったをかけるのがこのお店です。

ここは、キャベツナムルやキムチもさっぱりしていておいしいんです。お肉の合間に食べれば、カルビ10皿くらい余裕でいけてしまいます。

ちなみに、このお店があるコリアンタウンは、浅草の雷門から10分ほど歩いた所にあります。場外馬券場のウインズ浅草からは目と鼻の先なんですが、路地裏にお店が密集しているので、なんとなく歩いていても簡単にはたどり着けません。浅草の観光地っぽさから一転して、この一画だけは昭和感のある雑多な雰囲気を醸し出しています。

周りのお店にも全部入ってみたんですが、だいたいどこもこぢんまりとしたお店の造りで、まるで"人んち"のよう(笑)。通し営業のお店が多いので、昼間から夜まで飲み続けることもできます。

どうせなら、昼に焼き肉を食べて夕方から近隣のお店に足を延ばすのもいいですね。仲見世通りから少し入った所にある「浅草メンチ」のメンチカツは、お肉のうまみと肉汁がこれでもかと詰め込まれていて、観光客にも大人気です。近所にはもんじゃ焼き屋さんもたくさんあるんですが、暑い夏だからこそ汗をかきながらもんじゃを頬張るのもオツなんじゃないでしょうか。

さすがに涼みたい気分になったら、浅草地下商店街へどうぞ。ここは60年以上前に造られた日本で一番古い地下商店街だそうで、レトロなお店がたくさんあります。

昔懐かしいソース味の焼きそばが食べられる「福ちゃん」などは有名ですが、何を商っているのかよくわからない不思議なお店も。いろんな所に「就寝厳禁」という張り紙があったりするところも、ちょっと刺激的ですね(苦笑)。

夏の浅草、オススメです!

●市川紗椰(いちかわ・さや)
1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、J-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』(毎週土曜21:00~)、MBSラジオ『市川紗椰のKYOTO NOTE』(毎週日曜17:10~)などにレギュラー出演中。一度のお参りで4万6000日=126年分の功徳があるとされる浅草寺のほおずき市に行ったが、まだご利益はない