朝1本しか列車の来ない札沼線新十津川駅。近くの保育園の園児がほぼ毎日お出迎えをしてくれる

青春18きっぷが今年も絶賛発売中だ。JR北海道では一部区間で廃線のカウントダウンが始まり、JR東日本・磐越西線ではトラブルで意外な列車が誕生? 今年の夏しかできない鉄旅に出かけよう!

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■北海道へ渡るのにオススメは?

青春18きっぷのことなら旅慣れた鉄オタに聞くのが一番ということで、最初にプランを提案してもらったのは、日本全国すべての鉄道駅に乗下車した横見浩彦さん!

「私が考えたのは、7月に発表されたJR北海道の廃止予定区間に乗るプランです。1日目は東京から高崎線、上越線、羽越本線とひたすら各駅停車に乗って酒田まで。2日目は『快速リゾートしらかみ』。五能線(ごのうせん)は景色が良くて観光客に人気の路線。そこから青森を抜けて八戸へ」

【青春18きっぷ 基本ルール】日本全国のJR線の普通・快速列車の自由席およびBRT(バス高速輸送システム)、JR西日本宮島フェリーに1日乗り降り自由(※特急や新幹線に乗車する場合は一部区間を除いて、乗車券と特急券が別途必要)。[利用期間]平成30年7月20日~平成30年9月10日。[ねだん]1万1850円(5回分セット、おとな・こども同額)

――これ宇都宮や仙台回りの東北本線で行ったほうが早くないですか?

「盛岡から八戸はIGR岩手銀河鉄道、青い森鉄道と第三セクターの路線になっていて、18きっぷが使えない。日本海経由しかないんです」

――盛岡~八戸の第三セクターの運賃は3040円。追加料金を払って時間を短縮するか、とことんケチるかですね。......あれ? 八戸って、青函トンネルから函館へ行くルートじゃない?

「今回の旅のポイントはフェリー利用です! 八戸から苫小牧まで料金はなんと5000円(2等)。ホテルに泊まるのと変わらない料金でショートカットできちゃう。展望浴室もあるし、海を見ながらの入浴は最高ですよ!」

――夜ですけどね。

「3日目は来年3月末で廃止になる石勝線の夕張支線。清水沢駅はぜひ見ておきたい。かつて三菱大夕張鉄道があって石炭列車がたくさん走っていた。今は何もない駅構内で当時を偲(しの)びましょう。

4日目は定番の1日1本午前9時28分着の列車しかない札沼(さっしょう)線新十津川(しんとつかわ)駅。ついに廃止が決まっちゃいました(涙)。そのまま折り返し列車(10時発)に乗ってもいいし、近くの函館本線の滝川駅まで歩くのも楽しい。そしてこの日は室蘭から宮古まで夜行フェリー」

――苫小牧~八戸ルートじゃないんですね。

「室蘭~宮古は今年の6月に就航したばかり! 北海道~本州の新たなルートとして期待が大きいです。そこからJR山田線で盛岡へ。東京まで乗り換えながら13時間!」

――長いです!! でもこのプランは留萌(るもい)本線や日高本線など廃止予定の路線をすべて回りきれてないですよね。

「そんな人にオススメしたいのが北海道&東日本パス! 7日間有効で18きっぷより安い1万850円。盛岡~青森間の第三セクター路線も追加料金なし。そして今年から道内の特急に1日6000円で乗れるオプション券が発売開始!」

――それは便利ですね!

「ただ青春18きっぷみたいに5人一緒や、2日間だけ使って残りは後日という使い方ができない点は注意です」

――1週間連続で休める人は少ないかと思いますが、使える方はぜひ! 続きましては「鉄道BIG4」メンバーとして有名なホリプロマネージャー南田裕介さん。

「僕のプランは5日間できるだけ快速列車に乗る。夏は期間限定の快速列車も多くてテンションが上がります。

1日目がいきなりヤマ場です。朝は南越谷8時8分発の『ホリデー快速鎌倉』。立川から『臨時快速』。大月から戻って中央線快速。新宿から高崎まで湘南新宿ラインの特別快速。信越本線で横川へ向かって『快速ELレトロ碓氷(うすい)』。これはEF60が牽引しているのですが、デビューして50年以上。今動いているのはこの1両だけというレア車両です。

高崎に戻ってから長岡へ行き『快速らくらくトレイン信越』で直江津(なおえつ)」

――1日目だけでもうおなかいっぱいです!

「2日目は『おはよう信越』で新潟、『快速DLリレー』で新津から会津若松まで『快速ばんえつ物語』。本来は蒸気機関車のC57が引っ張るのですが、7月に見つかった車両の不具合でディーゼル機関車のDE10が代走。これはレアですよ。僕らアラフォー世代はC57よりもDE10のほうがグッときます。C57が王、長嶋としたらDE10は正田(耕三)、新井(宏昌)のような」

普段はSLのサポート用に最後尾に連結されているDE10だが、SLの車両故障によって来年の夏まで主役に!

――わかるような、わからないような......。

「そして郡山から仙台へ行って、仙石(せんせき)東北ラインの快速で石巻、さらにBRTで気仙沼(けせんぬま)。3日目は釜石線を走って盛岡。そこから秋田経由で青森。4日目はまず下北へ行って『快速しもきた』で青森へ。次は五能線の『快速五能線クルージングトレイン』。そこから羽後本荘(うごほんじょう)。

最終日は快速で再び秋田へ。奥羽(おうう)本線で山形から仙山線快速、『快速仙台シティラビット』で福島へ。宇都宮から通勤快速で上野。このプランで乗る快速は20本です!!」

過疎化で廃線の危機もあった五能線だが、風光明媚な景観を求めて、最近は多くの観光客が訪れる

――すごい!

「ただ問題がありまして、このプランは今年の8月18日出発限定です! ほかの日だと走らない列車があって」

――ピンポイントすぎぃ!

でも運よく8月18日から5連休が取れた方はぜひ挑戦を。今回紹介したのはほんの一例。皆さんも平成最後の夏休みを青春18きっぷで満喫だ!

※ここで紹介した列車は8月1日現在のものです。また事前に指定券の購入が必要なものもあります