日本に進出するファスト中華を紹介してくれた中国出身のタレント、ミシェルさん

中国発のファストフード、"ファスト中華"が日本に続々進出し、にわかに注目されている。

激戦区は東京・高田馬場(たかだのばば)周辺。人気の麻辣湯が333円から食べられる「胡家小館 張亮麻辣湯」や、香港のB級グルメ・焼味飯(ロースト丼)が人気の「香港華記焼味ワーキーシ&米線」などの店があり、さらに6月9日には、中国全土に約6万店以上を持つファスト中華チェーンの代表格「沙県小吃(サケン・シャオチー)」が初めて日本にオープンした。

「『沙県小吃』のオープン時には約300人が訪れ、長蛇の列ができたそうです」

そう語るのは中国出身のタレント、ミシェル・ヤンさん。ファスト中華とはいったいどんなものなのか、ミシェルさんと一緒に食べに行った。

まずは「胡家小館 張亮麻辣湯」。麻辣湯というのは、簡単にいうと辛い春雨スープだ。店内に入り、肉、野菜、魚介などが並べられた棚から好きな具材を選んで店員さんに渡すと、調理してスープの中に入れてくれるというシステムになっている。

「普通は5品くらい入れます。羊肉とジャガイモは定番。値段が安く、野菜をたっぷり取ることができるので、若者や女性に人気の店です」(ミシェルさん)

自分の好きな具材を棚から選んでスープに入れることができる「胡家小館 張亮麻辣湯」。ピリ辛だがこってり感はなく、意外と量も食べられる

次はオープンしたての「沙県小吃」。メニューは拌麺(混ぜソバ)、ワンタン、蒸し餃子、スープなどで、基本はどれも480円。

「中国ではもっとメニューが豊富です。1号店なのでたぶん日本人が好きそうな料理に絞っているのではないでしょうか」(ミシェルさん)

3軒目は高田馬場を離れ、大久保にあるミシェルさんオススメの店「周黑鴨(ツォヘイヤー)」へ。

「ここは麻辣湯のほかに、アヒルの首肉が有名です(600円)。お酒のおつまみにピッタリ!」(ミシェルさん)

「周黑鴨」のアヒルの首はスナック感覚。香辛料が効いていてやみつきに

今回行った店は、どこも味は悪くないし、値段もリーズナブルなので人気が出るのはわかる。しかし、それにしてもなぜ今、これほどの出店ラッシュが続いているのか?

フードジャーナリストの、はんつ遠藤氏が解説する。

「東京は今、香辛料の効いたラーメンがはやっていて、中国にはそういった麺料理が多いんです。それで、日本で受けるのではないかということが理由のひとつ。

そして、もうひとつは日本への出店を政治が後押ししているから。例えば『沙県小吃』は福建省からの援助があります。近年、日本で流行している蘭州ラーメンにしても、甘粛省蘭州市が海外進出に取り組んでいます。

中国の人たちは日本の不動産を爆買いして経済的に入り込んできましたが、今度は飲食の分野でも"爆出店"しようとしている。それも、政府の意向で。だから、今後は東京だけでなく、大阪や名古屋などの大都市にもファスト中華のお店はどんどん増えるはずです。ライバルとなる『幸楽苑』などの格安ラーメン店は恐怖を感じていると思いますよ」

"安い・うまい・速い"のファスト中華が、日本のファストフード業界の地図を大きく変えることになるのか?