まったく新しいスタイルのカラオケが誕生した。なんと両手にグローブ、顔にVR用のゴーグルをつけ、ボクシングの対戦をしながら歌うというのだ。そんな前代未聞のカラオケの名前は「撲カラ(ボクカラ)」。早速体験するために、撲カラが設置されているJOYSOUND品川港南口店に向かった。

店内に入るやいなや、大きく開いた窓ガラスの向こうに見える"四角いジャングル"。そう、ボクシングを戦うためのリングだ。もちろん本格的なサイズではないが、とてもカラオケルームとは思えぬ雰囲気に取材陣も息をのむ。

プレイヤーの視界を追体験できるモニター プレイヤーの視界を追体験できるモニター

カラオケボックスの中に、ミニリングが設置されている カラオケボックスの中に、ミニリングが設置されている

コスチュームも用意されている! コスチュームも用意されている!

「せっかくの"撲カラ"ですからね。歌う方にもできるだけその気になってもらいたいと思いまして。それにリングにした方が安全性も確保できるんですよ。見ている人も殴られたらかなわないでしょ(笑)」

そう語るのは、JOYSOUND直営店営業企画部の尾崎智則販促グループ長だ。早速体験してほしいと勧められたのだが、まずはその前に、これはボクシングなのか、カラオケなのか? そのルールを開発したゲームソフト会社プロディジの山嵜吾郎社長に説明してもらった。

開発したゲームソフト会社・プロディジの山嵜吾郎社長 開発したゲームソフト会社・プロディジの山嵜吾郎社長

「ルールというか、遊び方は簡単です。楽曲は自由に選んでください。普通のカラオケと一緒です。そしてゴーグルとグローブをつけて、リングに立ってもらい、両手を高く頭上に掲げたら音楽がスタート。するとゴーグルの中に敵が現れますから、大声で歌いながら、とにかくこれを殴り続ける。3回倒されると負けで、最後まで歌いきれば勝ちとなります。ちなみに相手は何度でもダウンします。そのダウンの回数によって、ランキングも発表されるようになっています」

とにかく、殴りまくって、大声で歌えばいいのか......ということで、取材班のミウラ(26歳)が体験。選んだ曲は、BUMP OF CHICKENの『天体観測』だ。このミディアムテンポのロックチューンで、彼はどんな戦いを見せてくれるのか?

イントロと共に、突然、殴りかかるミウラ。歌う前から早くも戦いは始まっているようだ。ちなみに、リングの上に用意されたモニターで、彼が見ている映像を確認することができる。

VR上の対戦相手 VR上の対戦相手 力強くパンチを打つミウラ 力強くパンチを打つミウラ

歌が進むにつれ、だんだん足がおぼつかなくなっていく。それでもなんとか最後まで歌いきり、ボクシングの勝負にも勝つことができた。

「ちょっとなめてましたけど、かなり足にきますね。歌詞を覚えてないところがあって、画面の歌詞に目が行くと、殴られちゃうんですよ。殴っている感覚も、殴られている感覚もかなりリアルですね」(ミウラ)

1曲歌いきったところでの消費カロリーは60キロカロリー。おおよそ15分ほどウォーキングした程度の消費カロリーだ。それでも肩で息をするミウラに2曲目に挑戦してもらうことに。その前に山嵜社長にクリアするコツを聞いてみた。

「まず、長い曲を選ぶといいですね。JOYSOUNDの中には1曲20分という曲もありますから。それだけダウンを奪うチャンスも増えます。まぁ、それだけダウンを奪われるリスクもありますが(苦笑)。曲のタイプとしては、ロングトーンで歌う曲の方が、殴るリズムがとりやすいと思います」

そんなアドバイスを受けて彼が選んだのは、THE BLUE HEARTSの『リンダリンダ』。アドバイスを聞いていなかったような選曲だ。

「でも、曲も歌詞も単純ですからね。やりやすかったですよ。やってみる前は、どんなカラオケなのか想像もできなかったけど、リアルな映像は迫力がありました。殴ると敵が赤く染まっていくんですよね。ストレス解消にぴったり。例えば、相手の顔を変えることができたりすると、ますます盛り上がりそうですね」

カラオケとボクシングを合体させたVRアトラクションがカラオケボックスで楽しめる「撲カラ」。最近は女性たちにもエクササイズのひとつとして注目されていることから、こんなアイデアが生まれたのかと思ったら、実際はちょっと意外な理由があった。

「若者の人口が減っていますし、音楽もメガヒットが少なく、カラオケ参加人口はほぼ横ばいが続いています。そこで考えなくちゃいけなくなったのが、カラオケファン以外の人に来ていただくこと。そんな時に山嵜社長から提案をいただいたんです」

そう語るのはJOYSOUNDを展開する株式会社エクシング営業本部ホーム&コンシューマ部の堀江昌弘部長だ。

株式会社エクシング営業本部ホーム&コンシューマ部の堀江昌弘部長 株式会社エクシング営業本部ホーム&コンシューマ部の堀江昌弘部長

「一番面白いと思ったのは、『歌が主目的じゃなくてもいい』というところ。でも『欠かせない存在』にはなっている。ボクシングとカラオケの両方がお客様を盛り上げる材料になっているんですよね」

つまり、これまでターゲットではなかった「ボクシングで体を動かしたいと思う人」が来店してくれるようになったというわけだ。

実はJOYSOUND品川港南口店には、この「撲カラ」の他にも、さまざまなコラボカラオケがある。

「最近のヒットは京急電鉄様とコラボした部屋です。席は電車のシートで、運転席も再現。歌うマイクは車掌さんが使用しているもので、電車の窓を模した内装で仕上げています。人気は運転席から見える映像を流して、車掌さんの車内放送を読み上げるカラオケ。いわゆる『鉄オタ』の方々や、小さいお子様連れのファミリー層に人気です。実際、『初めてカラオケに来ました』という方や、『このためにわざわざ沖縄から来ました』という方もいたくらいです」

電車の顔を模した入り口 電車の顔を模した入り口 カラオケボックスには、電車の本物の座席がある カラオケボックスには、電車の本物の座席がある 運転席も作られている 運転席も作られている

この京急とのコラボカラオケに続く乗り物シリーズとして、LCCで人気のジェットスター・ジャパン(以下、ジェットスター)とコラボした「飛行機カラオケルーム」をこの夏にオープンさせた。

「弊社からジェットスター様に飛行機カラオケの提案をしたところ、快くOKをいただきまして。今年2月に、実際に使用しているエアバスA320をお借りして、飛行機カラオケを撮影しました。本物のパイロットやキャビンクルーの方に出演いただき、特別に撮り下ろしました。飛行機カラオケルームはまさにジェットスターのスタッフになりきって、カラオケが楽しめるお部屋です。キャビンクルーが離陸する前に行なうアナウンスや、離陸直後に機長が行なう挨拶を本物の映像に合わせて、『カラオケ』として楽しんでいただくことができます」

コックピットに座った気分が味わえる コックピットに座った気分が味わえる CAさんのアナウンス動画に、自分の声をあてて楽しめる CAさんのアナウンス動画に、自分の声をあてて楽しめる 実際の運賃や便名が書かれた掲示板 実際の運賃や便名が書かれた掲示板

他にもアメリカのギターメーカー・ギブソンや世界的な音響機器メーカー・ONKYOとのコラボルームなどもあるという。堀江部長は「カラオケメーカーが発信してもカラオケ好きにしか広がりませんが、ボクシングや鉄道、飛行機と他ジャンルになれば、それだけ多くの方にアピールできると思います。これからもどんどん新しいアイデアを提案していきたいですね」と息巻く。

カラオケ業界では、JOYSOUND品川港南口店の動向は常にチェックされているという。カラオケの未来は、ここから始まるのだ!