もう「神田鐵道倶楽部」に行けないのは寂しいです もう「神田鐵道倶楽部」に行けないのは寂しいです

『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、彼女が愛するふたつのマニアックなお店の相次ぐ閉店を惜しむ。

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今回はちょっと悲しいお知らせです......。東京・神田にある鉄道レストラン「神田鐵道倶楽部(てつどうくらぶ)」と神保町にあるレンタルCDショップ「ジャニス本店」が、相次いで閉店されるんです。

神田鐵道倶楽部は昨年6月にできたばかりのお店で、実は以前も"最新鉄道スポット"として紹介しました。「ベロネーズ」など今はなき食堂車の料理を提供してくれた上に、本物のサボ(電車の行先標)や国鉄型車両の座席などでぎっしりの店内は、鉄道ファンにとってテンションの上がる空間でした。

今回、9月1日に閉店を発表して9月末に営業終了したので、ずいぶん急な印象を受けました。神田駅の工事に伴う閉店だそうですが......今のタイミングで工事というと、中央線のグリーン車導入に伴う改修でしょうか。

以前、このお店でサボのオークションをやっていて、「品川←→国府津」みたいなちょっとマニアックな商品が気になっていたんですが、あのとき買っておけばよかったと少し後悔しています。

一方のジャニスは、1981年に開業された音楽好きにとっての聖地です。品ぞろえが異常にマニアックで、ここ自体が立派な資料館ともいえる場所で、いつかなくなるというイメージがなかったんですが......。やはりデジタル化によるCD離れの波には勝てなかったんでしょうか。

かくいう私もここ数年は足が遠のいていたんですが、学生の頃に友達に教えてもらって初めて行ったときのことは忘れません。「こんな年季の入った雑居ビルにそんなすごい店があるの?」と怪しみながら入ったんですが、店内のどの棚も天井までCDで埋め尽くされている光景に圧倒されました。

ここには新譜からプレミア価格がついているレアなCDまでなんでもありました。私は新譜かロックのコーナーを見ることが多かったんですが、フランク・ザッパが76年に東京で公演したときの超レアなライブ盤なども見つけた思い出があります。

あと、プログレなんかも「辺境派」「邦辺境派」など細かく分類されてあって、棚を眺めながらお目当てのCDを探すのがすごく楽しかったですね。

そもそも、アメリカにはレンタル文化というものがなかったので、いまだにレンタルCDは私にとって"キラキラ感"があるんです。小学生のときに岐阜のゲオに初めて行ったときは、「こんなに安くCDが借りられるなんて天国じゃん!」と思ったものです。

岐阜のゲオで驚いていたくらいなので、ジャニスを知ったときの「すげー!」という感動はひと際でした(笑)。

実は私、学生の頃、神保町に住んでいたので、よく歩いてジャニスまで行きました。CDを借りた帰りに惣菜屋でメンチカツを買って、家でそれを食べながらパソコンに取り込んでいたのが懐かしい思い出ですね。

そんなジャニスが閉店されるのは11月だそうなんですが、一番気になるのはあの膨大な数のCDの行き先。聞くところによると、このお店は『タモリ倶楽部』の「空耳アワー」のコーナーにずっと関わっていたそうなので、いっそのこと、タモリさんに引き取っていただくという案はどうでしょうか(笑)。

●市川紗椰(いちかわ・さや)
1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、J-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』(毎週土曜21:00~)、MBSラジオ『市川紗椰のKYOTO NOTE』(毎週日曜17:10~)などにレギュラー出演中。大量のCDデータが入ったパソコンが壊れてしまったが、中のデータが諦めきれずに取ってある

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