2013年に運行を終えた、空気で車体を浮上させて走らせる珍しいシャトル 2013年に運行を終えた、空気で車体を浮上させて走らせる珍しいシャトル

『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。鉄道マニアの彼女が、"日本一短い鉄道"といわれる千葉県の「芝山鉄道線」で発見したオススメスポットとは――?

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前回に続いて、今週も「芝山鉄道線」について語ります!

この芝山鉄道は路線距離がたった2.2kmしかないんですが、その車窓の眺めはちょっとオススメです。東成田駅の地下ホームを出発して、電車が地上に出た瞬間、駐機している飛行機が大迫力で目に飛び込んでくるんです。電車が成田空港の駐機場のすぐ脇を走っているので、ほとんど飛行機と同じ目線で機体を見られるんですね。

しかも、ここは貨物機の駐機場になっているようで、「ANA Cargo」というロゴの入ったANAの貨物専用機や、国際便でおなじみのDHLの黄色い貨物機という、普段はあまり目にしない飛行機が見られます。

さらに、この路線は前回お話ししたように未買収地を避けて通っているため、たった3分の距離なのにカーブがやたら多いところもポイントです(笑)。

芝山鉄道の蓮沼までの延伸計画が思い出される看板 芝山鉄道の蓮沼までの延伸計画が思い出される看板

さて、今回この芝山鉄道に乗りに行って知ったのが、周辺スポットの充実ぶりでした。芝山千代田駅ではレンタサイクルのサービス(鉄道利用者は無料)が行なわれているんですが、駅から少し走ったところにある県道62号線は通称「芝山はにわ道」という道路でした。

この付近には「芝山古墳群」と呼ばれる考古学的に重要な場所があるそうで、それにちなんで埴輪(はにわ)のレプリカが道路沿いにボンボンって立っているんですね。

なんとなくバブル時代のバラマキ行政のにおいを感じてしまうんですが(笑)、2mくらいあるリアルな埴輪が道路脇に佇(たたず)んでいる光景はちょっと異様でした。

そして一番のオススメスポットは「風和里(ふわり)しばやま」という空の駅。ちょっとした公園のようになっていて、飛行機が頭のすぐ上を飛んでいるので、親子連れもたくさん遊びに来ていました。

ここに小さなプロペラ機が展示されているんですが、これがビーチクラフトというアメリカの航空会社が製造した「ビーチB99」という小型双発機です。この機種は、1968年から239機生産されたんですが、日本で使用された唯一の機体なんです。

この「ビーチB99」は、東日本大震災時の大津波で損壊し、空の駅「風和里しばやま」にやって来ました この「ビーチB99」は、東日本大震災時の大津波で損壊し、空の駅「風和里しばやま」にやって来ました

それだけでもレア感があるんですが、もっとテンションが上がったのがシャトルの保存車両。これはかつて成田空港内で使われていたシャトルシステムで、見た目はLRTと呼ばれる路面電車に似ているんですが、下から空気で浮かせた車体をワイヤーで引っ張るという珍しい仕組みでした。構造としては「横に走るエレベーター」とも言えます。

成田空港では92年12月からこれを無料で使用できるようにしていたんですが、たった300mの距離をこのシャトルで移動するために3分待たないといけないので、あまり使い勝手はよくありませんでした(苦笑)。

このシャトルは2013年9月に運行を終え、この空の駅に展示されています。今は動かない車両の顔の部分に「シャトルシステム LAST RUN」という文字が見えるのが、なんとなくグッときますね。

そんな周辺スポットも充実した芝山鉄道線。今度、成田空港に行かれる際はぜひこの東成田駅を利用していただいて、駅から空港ターミナルまで通じているあの不思議な通路を歩いてみてほしいですね。

●市川紗椰(いちかわ・さや)
1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、J-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』(毎週土曜21:00~)、MBSラジオ『市川紗椰のKYOTO NOTE』(毎週日曜17:10~)などにレギュラー出演中。芝山千代田駅には顔ハメ看板もあるらしいが、訪問した日は強風のため表に出ていなかった

『市川紗椰のライクの森』は毎週金曜日更新!