コンビニの経営統合がどんどん進み、今やセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの3強といわれる時代。
そんななかで鉄道会社の運営する、いわゆる"駅ナカコンビニ"、NewDays(ニューデイズ/JR東日本)、Bellmart(ベルマート/JR東海)、asnas(アズナス/阪急阪神)、アンスリー(京阪・南海)などが独自路線で頑張っている。
いったい、どんな特徴があるのだろうか? あらためて駅ナカコンビニの魅力に注目!
■3強にはない駅ナカコンビニの魅力
そもそも、ほかのコンビニと駅ナカコンビニってどんな違いがあるの? コンビニ記者の吉岡秀子氏はこう語る。
「街ナカコンビニと駅ナカコンビニの最も大きな違いはターゲット層。セブン、ファミマ、ローソンのメインターゲットは今、シニア・主婦=生活者層にシフトしつつありますが、駅ナカコンビニはビジネスマンや観光客狙いが多い。例えば忙しいなかでもハンディで手軽に食べられるおにぎりはどこも力を入れていますし、ご当地のお土産なども充実していますよ」
また、コンビニ研究家の田矢信二氏はこう語る。
「駅ナカコンビニは、客単価は通常コンビニより少ない分、客数が非常に多く広告効果が期待できるため、メーカーなどが協力してくれやすいというメリットも。頻繁にメーカーと組んで商品開発やキャンペーンを行なうので、ほかでは見られないコラボ商品が登場するのも楽しみのひとつです」
では、実際にそれぞれの駅ナカコンビニの魅力を探ってみよう!
■駅ナカコンビニの雄NewDays
まずは前出の田矢氏が「駅ナカコンビニの代表格」と推す、東日本エリアを中心に展開するJR東日本の「NewDays」から。
田矢氏はこう語る。
「東京を含む首都圏のJR一日推定利用者数は1208万人、1週間の平均利用回数は7.8回で延べ利用者数は1週間で9389万人になります。東京駅の『NewDaysエキュート京葉ストリート店』は一日の売り上げが500万円を超える日もあると聞きました。
東京駅構内では、改札を出なくとも10店舗以上もあります。関西の新大阪駅構内でも、10店舗近くセブン-イレブンがあり、大手コンビニと駅ナカコンビニが東西で移動客の便利を満足させる商品やサービスを提供し、駅消費を動かしています。駅ナカコンビニが起こす、今後の大きな変化が楽しみですね」
では、オススメの商品は?
「競合と勝負する対抗策を考えており、プライベートブランドが充実していることが魅力。ベーカリーブランド『パネスト』は常に魅力的かつ斬新なパンを生み出しています。弁当、スイーツ、おつまみなど、多岐に渡るカテゴリーで地元食材を使い"旅情"を演出した商品が必ずあるのでこれも要チェックです! Suicaのペンギングッズも鉄道コンビニならではですね」(吉岡氏)
「私のオススメ商品は、出張時にぴったりなおにぎりの『サーモンの寿司むすび(アボカドチーズマヨ)』と『まぐろたたきの寿司むすび(わさび風味)』。プチ土産にうれしい『東京ショコラ』は1個からバラ売りしています。
ドリンクフェア開催中には、鉄道を模したペットボトルカバーがおまけでついてきたりもします。さらにビールサーバーを併設している店舗もあるので、駅ナカで生ビールを嗜(たしな)むのも一興(いっきょう)ですよ」(田矢氏)
ということで、コンビニでのアルバイト経験を持つ本誌ライターUが、NewDays池袋西口店へ実際に行ってみると。
U「ボンカレーとコラボしたおにぎりに、東京・神保町のカレーの名店『ボンディ』とコラボしたカレーパン!! 確かにほかのコンビニでは見られないレアなコラボ商品が多いですね。
独自ブランド商品もフィッシュフライおむすびやハムカツ焼きそばパンなど、ボリューミーなものがたくさん! これは今後チェックするのが楽しみになりそうです」
さらに、レジ横には。
U「ビールサーバーがありました。普通にコーヒーマシーンのように置いてありますね......。スーパードライが一杯545mlで420円はかなりお得!! これはせっかくなのでホットスナックでも買って、イートインコーナーで一杯飲んでから取材するとしましょうか」
帰宅の道中はもちろん、仕事のサボり時間(?)もNewDaysはビジネスマンの味方になってくれているようだ。
■地方名物がそろう正統派! Bellmart
ほかにも、全国に鉄道会社の個性が光る駅ナカコンビニが存在! 続いてご紹介するのは、東海道新幹線沿線の駅を中心に展開するJR東海の「Bellmart」。前出の吉岡氏は「正統派鉄道コンビニ」だと解説する。
「昔から存在する駅売店の代名詞"キヨスク"のイメージをキープしている、どこかレトロさも感じられる鉄道コンビニです。今も小規模店舗は『ベルマートキヨスク』という名前で懐かしいほのぼのした雰囲気が魅力ですが、一方でカウンターコーヒーなどもあり"現代のコンビニ"の要素も取り入れながら進化しています。
新幹線での移動にぴったりな菓子・おつまみ類や、静岡茶にまつわる商品など地元土産が充実。ご当地フェアも頻繁に開催されていますよ」
ということで、Uがベルマートキヨスクの新大阪店に行ってみると。
U「早速、大阪名物の串カツを発見! 京都の名物、志津屋(しづや)のサンドイッチ『カルネ』もありますね。確かに地方名物が多い印象!! ご当地フェアは......現在は愛知なんですね(10月31日で終了)。海老天むす、チキンカツおむすび......地方の味を楽しめるのはうれしいですし、職場へのちょっとしたお土産にもよさそう!!」
また、前出の田矢氏はこう語る。
「おにぎりのサンドおむすびシリーズの『カツ丼風』『チキン南蛮』は、これひとつで満腹になるくらいの一食完結型商品。移動中にさっと腹を満たしたいときにありがたい逸品です!」
慌ただしい新幹線での出張時にも頼れる存在、Bellmartに感謝!!
■関西名物のコンビニasnas
続いては関西エリア中心に存在する、阪急阪神グループの「asnas」。どんな駅ナカコンビニなの? 前出の吉岡氏に聞いた。
「関西人にとって『阪急』はちょっとセレブ感のある路線。なので『asnas』には水耕栽培のリーフレタスを使ったサラダやサンドイッチなど、一般的な売れ筋だけでなく、ライフスタイルを豊かにするような商品がそろっている印象です。
また、関西人らしい『お客さんを驚かせたい』という意識も感じます。なので、缶詰やラムネ、お笑い芸人グッズなど、意外性のある商品が山積みされているようなこともあって、個性の強い駅ナカコンビニです」
ということで、Uがasnasグランフロント大阪店を訪れると。
U「ミス・インターナショナル公式飲料水など、確かにセレブ感が!! 阪急電車グッズもかなり豊富ですね。文房具など、実用性の高いものが多い印象です。阪神タイガースのロゴが入ったペットボトルチューハイもあって、かなり大阪を感じます!!」
ちなみに、甲子園西口店は阪神甲子園駅から甲子園球場までの道にある唯一のコンビニで虎党の聖地。阪神グッズも売られているそうだ。
そして、駅ナカコンビニの名物、おにぎりについては前出の田矢氏がこう語る。
「『俺ん家の玉子かけご飯風(塩こんぶ入り)』などネーミングにこだわっているものが多く、つい手に取ってしまう商品が多数。豚のマークの『まるたまおにぎりチャーシューマヨ』も美味です!」
関西を訪れた際は、ぜひ立ち寄るべし!!
■下町感抜群のコンビニアンスリー
最後にご紹介するのは、大阪、京都を中心に展開する京阪・南海運営の「アンスリー」。前出の吉岡氏に特徴を聞いた。
「『関西のコンビニ』というよりも『ナニワのコンビニ』と表現したほうがしっくりするような下町感=親近感が持てる駅ナカコンビニです。昔の『よろずや』的な印象を受ける商品が多く、価格もロープライスなのが特徴。
お笑い芸人・中川家の礼二さんがそうであるように『京阪』はコアな鉄道ファンから支持が高い路線なので、『アンスリー』を見ただけで興奮する人も少なくなく、レトロな京阪電車のグッズも人気です」
そこでUがアンスリー地下鉄新大阪店を訪れると。
U「イカ焼きや串カツ、『おとぼけくんアイス』......これはレトロですね。京阪電車グッズも、歯ブラシや『テクテク電車』など確かに懐かしめ。ローカルなコンビニに来たことを実感できます!」
そして、前出の田矢氏に、またも名物のおにぎりについて聞くと。
「オススメは『ふっくら製法 えび天むす』『まーるい牛玉子おにぎり』。地域密着型のお弁当も充実しているので、レトロ旅を満喫する際には、ぜひお昼時に活用してみていただきたいです!」
以上、身近にありながら、意外と知らない駅ナカコンビニの世界。今後注目してみると面白い発見があるかも!
*商品・店舗によっては現在取り扱いのない場合もあります