カターニアを代表するバロック様式の建築のひとつ「サン・ニコロ・ラレーナ・ベネディクト修道院」 カターニアを代表するバロック様式の建築のひとつ「サン・ニコロ・ラレーナ・ベネディクト修道院」

イタリアはミラノ、ローマ、ベネツィア、ジェノバ、フィレンツェ、ボローニャ、リミニ、ナポリ......とそこそこの都市を周ってきたつもりだけど、

「シチリアを見ずしてイタリアに行ったことがあるとは言えない。シチリアにこそ、すべてに対する鍵があるのだから」

詩人のゲーテに言わせると、私はまだイタリアに行ったことがないらしい。"旅人"を名乗る者として、それはあってはなるまい。ってことで、ナポリから足をのばして行ってきましたよ、シチリア島!

ミラノから列車ごと船で運ばれ海を渡る ミラノから列車ごと船で運ばれ海を渡る

シチリア島はブーツ型をしたイタリアのつま先の向こうにある、地中海最大の島。島の大きさは、九州>シチリア島>四国ぐらい。"イタリアンマフィアの発祥地"とも言われ、映画『ゴッドファーザー』の舞台としても有名だ。

州都であるパレルモや断崖絶壁のリゾート地タオルミーナなどいくつかの魅力的な都市があり、本来ならグルっと周遊したいところだが、私は限られた時間の中で第2の都市カターニアにだけ行くことを決めた(シチリア島の中ではナポリから近かったことと、空港があるのが理由!)。

列車の車窓から 列車の車窓から

カターニア駅に到着すると、駅の周りは殺伐としている。マフィアのイメージがあるだけにやっぱり怖いし、マフィアじゃないとしても駅の周りでキョロキョロしてたらスリやらなんやらに目を付けられる。

私は土地を知ったような顔で颯爽と歩き始め、いつものごとく建物の影まで行くとそっとスマホで宿までの道を確認した(ああ、これホントいつもやりたくない旅作業のひとつ)。

人があまりいない道が怖かったので、少し前を歩く20代くらいの青年と母親らしき親子のあとを尾けて歩いた。ピタっと後ろに張り付いていると、母親が振り返り私を怪しんだので、

「あ、ごめんなさい。怪しい者ではありません。日本人です。ひとりで歩くのが怖かったので......」

と、街中まで一緒に歩かせてもらうことに。

「ようこそカターニアへ! 名物はカヴァッロだよ! 知ってる? 『イイイイ~』ってやつさ!

たまに聞く世界のオノマトペは実に興味深い。

「『ヒヒーン』のことね! カヴァッロって馬肉でしょ?」

シチリアといえば魚介料理のイメージが強くイワシのパスタなどが有名だが、カターニアでは馬肉が名物。実は私も事前に調べていた気になるお店情報を持っていたのだが、それは街の中心から外れた"スラム街にある馬肉屋台"だったので、行くのを迷っていた。

そんな場所こそ行ってレポートしてくれ!と思われるかもしれないけど、マフィア発祥の地でスラム街なんて行けませぬ。ほんま、腰抜けですみまてん......。

というわけで、先ほどの青年に教わった馬肉レストランに向かうことにした。その前にまずは少し街歩き。

街の中心にある市民の憩いの場、ベッリーニ庭園 街の中心にある市民の憩いの場、ベッリーニ庭園 バロック様式の建築が並ぶ街中 バロック様式の建築が並ぶ街中

カターニアの街はバロック様式の建築が特徴的。メインのエトニア通りはマクドナルドやH&Mなどのショップが並び現代的であるが、かつてギリシャ人、ローマ人、ノルマン人などの人々が行き交ってきた街には多様な遺跡や見所が残っている。

住宅街を歩いていると、突然現れた古代オデオン劇場が忘れ去られたようにひっそりと佇んでいる。そして、カターニアの代表的なバロック建築のひとつであるサン・ニコロ・ラレーナ・ベネディクト修道院は、現在カターニア大学の校舎として使用されており、敷地内では学生たちが太陽の下でほのぼのとおしゃべりをしながら過ごしている。

私はその近くの文房具屋でこの後のフライトで必要な書類のコピーをし、ちょっとだけシチリアの学生気分を味わってみたりした。

半円形の小劇場、古代オデオン劇場 半円形の小劇場、古代オデオン劇場

サン・ニコロ・ラレーナ・ベネディクト修道院 サン・ニコロ・ラレーナ・ベネディクト修道院 サンタ・アガタ大聖堂と象の像 サンタ・アガタ大聖堂と象の像

ナポリなどに比べると、ずっと田舎でのどかな雰囲気。ここまでのところ、まだゴッドファーザー的な人には出会っていないが、馬肉レストランの近くまで来ると路地裏の路上で鞄や帽子などを売る男たちの視線がちょっと怖かった。

「今の人たち、マフィアの末端かしら。ドキドキ......」

イメージでついつい、"怖い=マフィア"に全てを結び付けてしまうが、きっとこんなところにはいないだろう。

マーケットでも俵型に形成された馬肉が売っており、普段から地元の人々が食べていることがわかる マーケットでも俵型に形成された馬肉が売っており、普段から地元の人々が食べていることがわかる 左の建物が馬肉レストラン 左の建物が馬肉レストラン

外観を良い意味で裏切る小ぎれいな店内に入ると、私はよくわからないメニューから2品ほど馬肉料理を頼む。

隣の席ではアフリカ人のパパがマルコメ頭の息子に「ほらほら、ピザにする? パスタにする?」という、選択肢がそのふたつかよっていうイタリアらしい会話でランチを楽しんでいた。

目が合ったので話しかけると、父親が「俺らの出身はアフリカの西の方だ。息子が君のカメラを欲しがっている(から、もう話しかけんな)」

とだけ答え、マルコメ息子は私を睨みながらカメラに手を伸ばしている。子供とはいえ、すさまじい物欲を感じる眼力がちょっと怖かった。

「まさかマフィア関係者じゃないだろうな......、ドキドキ」(ついつい)

隣の席の親子 隣の席の親子 カターニア名物、馬肉料理 カターニア名物、馬肉料理

緊張している私の元へ出てきた馬肉料理は、ただバーベキューのように焼いたものとハンバーグタイプのもの。見た目はシンプルで、ジューシーながら可もなく不可もなくな味。そこまでの感動はないまま、とりあえずミッションは達成?

食べ終わって店を出るとすぐに、ポリツィアを乗せた筋肉質のお尻をした馬が街を闊歩していたので、

「おお、今アナタを食べちゃったよ。お馬さん、ごめん......

なんてことを思ってみると、そんな私にお馬さんからご挨拶。美しいお尻から、大きなお土産を落として去って行ったのだった。

イイイイ~ッ!!

ポリツィアを乗せた馬が闊歩 ポリツィアを乗せた馬が闊歩 馬のご挨拶 馬のご挨拶

【This week's BLUE】
「ブリオッシュ・コン・ジェラート」を楽しむ青シャツの男たち。ブリオッシュとは、シチリアではふわふわしたほんのり甘いパンのこと。ジェラートをたっぷり挟んでいただくのがシチリア流。

●旅人マリーシャ
平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】

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