■誰もがDV欲を持っている?

人気歌謡グループ「純烈」の元メンバー友井雄亮(ともい・ゆうすけ)氏のニュースによって、あらためて注目されたDV(ドメスティックバイオレンス)

人ごとと思いがちだが、「実は誰でも、DVをしてしまう可能性は潜んでいます」と語るのは、DV加害者更生プログラムの講師で、NPO法人「女性・人権支援センター ステップ」理事長の栗原加代美氏。いったいどういうこと?

「DVは所有欲(支配欲)と承認欲求というふたつの"欲"に大きく関係する行為。そしてこれらの欲求は、大小あれど人間の誰もが持っています。その欲求自体は必ずしも悪いものではありませんが、これが歪(ゆが)んだ形で表れると、愛すべき相手に対する暴力につながってしまうというわけです」

では、どのように注意すればいい?

「最も注意しなければならないのは、過去に親や兄弟、友人などから暴力を受けたり、逆に暴力を加えた経験のある人。いざとなれば暴力で相手を従わせられると思っていて、DVで所有欲・承認欲求を満たすという行為につながる可能性が高いです。

ただ、『暴力なんてありえない』と考えていた人が、結婚後にDVを始めてしまう例も決して少なくありません。結婚することでパートナーに対する所有欲が高まることが一因と考えられます」

■"潜在DV欲"チェック方法を確認

では、自分の中に潜在するDV欲の強さを知るためにはどうすればいいのか。前出の栗原氏にチェック方法を聞いてみた。

「まず、『劣等感を覚えることが多い人』は要注意。自己評価が低いからこそ、心の中では誰かに評価してもらいたいという承認欲求を常に抱えており、その矛先が一番身近にいる彼女や妻に向かってしまうことがあります。

一方で、『何事も自分ひとりで決めがちな人』も注意が必要。自分が一番正しいと考えているため、支配欲が強い傾向がある。同じ理由ですが、絶対的な自信があり『周囲の人間を思いどおりに動かしたい』『自分が怒るのは相手が悪いからだ』と考えているような人は、周りは自分に従うべきだという価値観がそれだけ強いということなので、注意すべきです」

また、こんなタイプのビジネスマンも"潜在DV欲"が強いという。

『自分にも他人にも完璧主義で、仕事がデキる人』、特に『上司からの評価は高いが、部下にとても厳しい人』。自分にできることは他人もできると思い込み、その厳しさが家庭ではDVにつながることがある。

『メールの返信が遅いことにイライラする人』も、『自分のことを最優先すべき』と、自分本意な関係性を築こうとしていることの表れなので、家庭においても支配的になる恐れがあります」

さらに、彼女や妻との何げない付き合い方からも"潜在DV欲"は計れるという。

『LINEの既読スルーが許せない人』、そして『彼女や妻の携帯を見たことがある人』も危険。束縛と嫉妬が激しく、『相手は自分のモノだからすべての行動を把握しておきたい』という強い所有欲を持っている証あかしです」

■日常の行動やSNSからも確認!

そのほか、こんな一面にも"潜在DV欲"の強さが表れるという。

『子供の頃のオモチャなど、幼少期から捨てられないものがある人』は、所有欲が強く、かつこだわりを曲げられないタイプである証拠なので注意が必要かもしれません。

『他人から"潔癖"と言われたことがある人』『旅行の日程を分単位で決める人』なども、その完璧主義に家族を当然のように巻き込む傾向があるので危機意識を持ったほうがいいでしょう」

また、SNSの投稿内容も振り返ってみるといい。

『有名人に対して否定的な投稿をしたことがある人』、身近なところでは、『列車遅延や一時運休に対して不満ツイートをしたことがある人』は用心。自分ではどうすることもできないことに対してまで、こうあるべきだという思い込みが激しい傾向にあるので、支配欲が強いタイプといえます」

そして、最も深刻な状況になってしまうというのがこのタイプ。

『飲酒でストレス解消している人』です。満たされない支配欲や承認欲求をお酒によって一時的に遠ざけようとしている場合、本質的には何も解決しないどころか、飲酒中はむしろその欲が強まることも。酔っている際は自分をコントロールすることも難しくなるので、暴力的になってしまうケースも多いです」

■DV欲の暴走を抑える方法は?

最後に、誰もが秘めているDV欲との正しい向き合い方について、アドバイスをもらった。

「最も大切なのは、自分は彼女や妻と対等な立場であると認識すること。そして、客観的に自分の歪んだ思考を把握しておくことも大切です。結婚や別離、子供の誕生など、環境の変化が起こったときはDVが起こりやすいタイミング。気を引き締める必要があります」

積み上げてきた人生を台無しにしないためにも、この機会に自分自身を見つめ直してみよう。チェック項目を表にまとめたので、自分がいくつ当てはまるか確認してほしい。