山菜の「ウコギ」を持って、「うごき」のある写真を撮ってみました(笑)

『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、今ハマっている山菜料理について語ってくれた。

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春といえば、山菜がおいしい季節ですね。私は子供の頃から山菜が嫌いではなかったんですが、年を取るごとに好きになっているのを実感します。特に30歳を過ぎてからは山菜好きが恐ろしいくらいに加速していて、毎日食べているほどです。

そんな私が今一番ハマっている山菜が、山形の名産「ウコギ」です。「コシアブラ」を少し小さくしたような形で、枝先についているちっちゃい葉っぱを食べます。根元まで鮮やかな緑色をしているので、少しハーブっぽい感じも。

味は苦味というか渋味に近いものがあり、アク抜きをしてもまだクセが残るくらいです。風味もものすごく強いし、香りも独特。山菜好きにはたまらない味で、おいしくておいしくて仕方ありません。

山形では、このウコギを炊いたご飯に混ぜた「ウコギご飯」がよく食べられているそうです。ウコギを味噌とあえ、刻んだクルミをまぶした郷土料理も、白米と最高に合います。勝手にアレンジした中では、ウコギをゆでて刻んでジェノべーゼ風にパスタとあえるのがオススメです。

調べてみたところ、ウコギはビタミン、カルシウムの宝庫で、がんや老化を招く生物ラジカルや生活習慣病の原因となる活性酸素を抑えるポリフェノールなどを豊富に含んでいるようです。

ウコギに限らず、山菜は抗酸化作用などのある有用な成分が含まれているものが多いですね。春に山菜を食べることで、冬の間にため込んだ毒素を排出する効果があるという話も聞くんですが......。

そもそも、そんなに大量に食べられるものではないので、効果があるのかいまいちよくわからない、というのも"山菜あるある"です(笑)。

とにかく、今、私の中で空前のブームが来ているウコギ。山形物産展などでこのウコギを見かけると大量に買い占めています。ただ、普通のスーパーに売っていないところが難点です。

とはいえ、ウコギばかり食べているわけにはいかないので、タラの芽やフキ、行者ニンニク、ウド、ウルイなどいろんな山菜を食べています。特に、4月くらいまでがシーズンのセリ鍋がおいしいですね。名産地の宮城ではセリを根っこごと食べるんですが、まさにあそこがおいしいんですよ。

さらに、変わった食べ方では、フキやウドを味噌&ヨーグルトであえるとおいしいです。ここにレモンを搾ってもいいですね。山菜はいろんな使い方ができるので、料理していて楽しいです。

そもそも、山菜って和食っぽいイメージがあるんですが、世界中で食べられているものです。アメリカでも、ゼンマイはよく食べられています。英語でゼンマイは「フィドルヘッド」という名前で、フィドル=バイオリンの頭の部分を指すので、見た目どおりの呼び方ですね。

ちなみに、英語で「~ヘッド」と言うと「この○○頭!」というふうな悪口になることが多いので、ゼンマイを調理しているときに「このフィドルヘッドが!」と頭の中で唱えると、なんだか楽しい気分になります(笑)。

と、語っていると、また山菜が食べたくなってきました。今季の私の目標は、本格的に山へ山菜採りに行くことですね。

●市川紗椰(いちかわ・さや)
1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、J‐WAVE『TRUME TIME AND TIDE』(毎週土曜21:00~)、などにレギュラー出演中。山菜そばにのっている山菜は、加工の過程で風味が飛んでしまっているので、ただのミックスベジタブルと見なしている

『市川紗椰のライクの森』は毎週金曜日更新!