道端のあちこちに置かれているバリヒンドゥー教のお供え物「チャナン」

みなさん、お久しぶり! そしてスラマッパギ(インドネシア語の挨拶)! 令和をインドネシアで迎えた旅人マリーシャです。

私の人生初の海外旅行は昭和の時代、両親と行ったインドネシアのバリ島でした。たしかあれは3歳か4歳の頃。プールサイドの塀に置いた父親の眼鏡と、私のクマさん柄のスカート付き水着が、一瞬の隙にマルッと盗まれたのを幼心に覚えている。

実家にある色あせた写真には、まるごとのパイナップルにストローをさしたジュースを飲んだり、サルと一緒に滝の湧き水で体を洗うはだかんぼうの自分の姿が残っており懐かしい。

当時まだ今のようなリゾートではなかったバリでのワイルドライフは幼い身体にしんどかったのか、帰国の足で立ち寄った自由が丘のレストランでゲロ吐いたっけ。

そんな私も大人になり、10年前くらいにツアー旅行で、そして今回は旅人としてパリ島デンパサールの空港に降り立ちました。

バリ島にやってきました!

「バリ島の姿はどうなっているだろうか」

2013年に新装した近代的な空港に迎えられ、一瞬激変したかのように錯覚したが、一歩外に出るとムワっとした亜熱帯気候がバリらしさを裏切らない

地べたには浅黒い肌の男たちがだるそうに座り、横になって居眠りしている者もいる。私は暑さにうだる彼らのうつろな視線の間を通り抜け、予約していた一泊84000ルピア(約670円)でプール付きという安宿まで歩くことにした。

プール付きの安宿。バリの物価の安さを実感

空港から市内は近く、1.5km程度。細い路地道を進んで行くと、強めの湿気に混ざり独特な甘い香りが鼻先をかすめ、いかにも東南アジアらしい異国情緒を感じさせる。

道端にはバリヒンドゥー教のお供え物"チャナン"がひっくり返っていたが、匂いの元はこれに乗せられた線香だろう。チャナンとは椰子の葉で作った皿に花や菓子を乗せたもので、線香を添えて至る所にお供えされている。

チャナン。作り手によって色々なタイプがある

地上より上に置くのは神様への捧げもの。地面に置くのは悪霊への捧げもので「悪いことがおきませんように」とか「いたずらしないでね」などの意味があるそうだ。

「そうそう、この旅で悪いことが起きませんように!

私は図々しくも誰かがお供えしたチャナンに、自分の旅の幸運をお祈りした。

バリ島はバリヒンドゥーという独自の宗教が信仰されているが、実はインドネシアは世界第1位のイスラム人口を有する国であり、国民の約90%がイスラム教。私は今までインドネシアといえばバリ島のことしか知らなかったので、イスラム教のイメージがなく、これにはひそかに驚いていた。

インドネシアには1万4千を超える島があり、地域ごとに民族や言語があったり宗教が異なるなど、多様性に富んだなかなか面白そうな国である。また国土の大きさは日本の約5倍で人口は2.55億人。中国、インド、アメリカに続いてなんと世界第4位と、これにもまた驚かされた。

街中にあるバリヒンドゥー寺院の割れ門。門をくぐると心の邪悪の部分が浄化され清らかになると信じられている

割れ門の間に柵があったので門をくぐれず、清らかになれなかった旅人の顔

あらためまして、そんなインドネシアをまずは経験のあるバリ島から攻めているワケだが、クタビーチの周りを歩いているとペラペラの日本語が飛んできた。

君、カワウィーね。どこ行くの? 俺は日本に住んでたんだよ。ホラ、これ日本の免許!」

クタビーチ周辺にはこのようなチャラいローカルが多い。私は「だからどーした」と言わんばかりの態度でハイハイとかわしながら、知りたいことだけ尋ねることにした。

「このお供え物、道端に置いてあるから踏まれたり蹴られたりしちゃってるけど大丈夫なの?」

「お供えは終わってるから問題ないよ。それよりも最近は袋に入った飴や皿を止めてるホッチキスとか、自然に還らないものがゴミとなって問題になってるよ

「なるほど。ところでこれ誰がお供えしてんの?」

「大体ママとか、基本、女性が作ってるよ。共働きで忙しいと買う人もいるけど」

わざわざ買ってまで毎日お供えするなんて、信仰心が厚いな。その後、パサール(市場)でチャナンが売られているのを見かけ、値段を尋ねると2000ルピア(約16円)と言われたが本当は1000ルピア(約8円)とも聞いた。どちらにしても10円レベルの話で、毎日のお供え物だとはいえ、やはり物価の安さを感じる。

大量に売られるチャナン

「じゃ、私は友達が待ってるから(嘘)、バイバイ!

チャラ男をかわすために、私はまるでよく道を知っているかのように裏路地に入って行った。バリの裏路地は結構入り組んでいる。知らない土地で知らない道に入り込むのはあまり好まれないが、直観的に大丈夫だろうと進んでみることにした。

観光客など全くおらず、通りすがるバイクから視線を浴びる。すれ違いざまにスリなどに遭わないよう用心深く荷物を気にしながら進んだが、心配すべきはそこではなかった。

知らない路地へ入っていく。治安は悪くなさそうだ

まもなくして野犬登場! これだ!

実は旅人としてあるまじき行為なのだが、私は今回、狂犬病の予防接種の効果が切れたまま旅を始めてしまった。

先日もノルウェーの女性がフィリピンで犬に噛まれた数日後に狂犬病で亡くなっているのがニュースになったが、狂犬病は死と隣り合わせ。長期でインドネシア周辺を周る旅人であれば、基本的には予防接種するのが常識だ。

いざ噛まれた時のために、すぐ病院へ行くなどの初歩的知識だけは頭に叩き込んであったが、それにしても旅の初日から犬に噛まれている場合じゃない!

そんなビクビクな私を茶化すかのように、犬が駆け寄ってきた。緊張しながらも「あなたのことなんか気にしてませんよ」という態度を取ると、犬は足元に絡みついてきて、なお怖い。ペロっと足首を舐められた時には背筋が凍った。

バリ島という日本人観光客にもメジャーなリゾートに来て、こんなビビり方をしているなんて、旅人として情けない気分になった。

安宿にてもらい物のピザに食らいつくスッピンの旅人
なんとか何事もなく宿に帰って安心したのも束の間、翌朝になると体中がカユイ。

するとシーツの上に黒い点を発見。顔を含め、さっそく南京虫に35ヵ所ほど、旅慣れたはずの旅人はまるで素人のように旅の洗礼を受けた。

チャナンにお祈りしたのに、やられた......。バリは神々の住む島と言われているけど、私の泊った宿には南京虫が住んでいた。

今回の旅もスタートから甘くないぜ(笑)!

普通より大きめの南京虫。パリで会ったコイツに再び今度はバリで会うとは

腕だいぶ派手にやられたなぁ。とてもカユイ

【This week's BLUE】
クタエリアのビーチはご存じの方も多いと思うが正直そこまできれいなブルーではない。ビーチブランコが流行ってるみたい。

★旅人マリーシャの世界一周紀行:第224回「香りはシャネル!? バリで飲む世界一高級な"うんちコーヒー"」

●旅人マリーシャ
平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】

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