コモド島への拠点となるフローレス島で客引きをしているタクシー運転手たちと

スラマッシアン~! スラマッソレ~!

インドネシア語で「こんにちは」はふたつあって、それぞれ日中(ざっくりお昼頃~15時)と夕方(15時~夕方くらい)とで分けるんだとか。

さて、今回は私が旅先にインドネシアを選んだ一番の理由は、コモド島へ行くため。来たる2020年にコモド島は環境保護のため「観光客立ち入り禁止」になると発表されたので、「じゃ、そこ行こか」と思ったのだ。

コモド島といえば、人気旅番組『世界の果てまでイッテQ!』で、イモトパイセンがコモドドラゴン(コモドオオトカゲ)に追いかけられたことで知名度が上がったあの島だ。

バリ島からのエクスカーション(小旅行)で行くことができるのだが、せっかく面白そうなところへ向かうので、しばらく会っていないバリ島在住の友人(日本人)を誘ってみた。

「ちょっとコモド島行かない?」

『今、渋谷にいるから恵比寿あたりで飲まない?』くらいの軽いノリで誘ってきたね(笑)。行くわ」

彼女はスケジュールを合わせてくれた。やっぱり海外組はフットワークが軽いぜ! テリマカシ~(インドネシア語でありがとうだけど、ここはありがたき~的ニュアンスで読んでほしい)。

日本でも数回しか会ったことない友人との久々の再会。友人は元々は東京でヘアスタイリストをしていたオシャレ女子だったが、宿まで原付バイクで迎えに来てくれると、白いタンクトップにデニムの短パンと裸足にサンダル姿。ヘルメットを脱いだ彼女の顔は健康的に日に焼けていて、すっかり島のコと化していた。

「ひょ~! すっかり島人(しまんちゅ)じゃん! バリんちゅだね~」(久々の再会でさっそくスベる)

私は彼女のシートの後ろにまたがった。

「原チャに2ケツって、なんだか学生の頃を思い出すわ~(笑)」(テンションあがっていちいちうるさい)

バイクが足の地元民は2ケツどころか、赤ちゃんや子供を挟んで3人乗りは当たり前。もっと多かったり、ドリアンを山ほど乗せて走ってるバイクも見かけるのがインドネシアだが。

ドリアンを乗せて走る原付地元民の足であるバイクでいっぱいの駐車場

「あれ、そういえば私ノーヘルだけど、こっちはヘルメットはマストじゃないの?」

「かぶらないとダメ。でもゆるい。ポリスいたら罰金だけど、ローカルはほぼ見逃されて観光客(外国人)だと罰金20万ルピア(約1600円)かな!」

だいぶ偏った交通ルールだが、お金を持っていないと罰金も5万ルピア(約400円)で済むこともあるんだとか。

運転免許は2時間の試験と実技で千円程度で取得することができるが、全てインドネシア語とハードルが高い。そんな中、外国人運転者は罰金覚悟で無免許運転する人もいれば、なんと免許をお金で買うこともできるのだそう。

「居住権があれば1年で8千円くらい、数年で2万円とかだったかな~? あ、ちなみに国際免許は協定外ね。でも、そもそもその存在自体をこっちの警察が知らなかったりするから、それで通用する時もあるし罰金の時もあるって感じかな。運!

うん、なんとも適当だ。

バリはバリヒンドゥーだけど、空港にくるとインドネシアにイスラム教徒が多いことに気付かされる国内線なのに国際線ターミナルに回される。空港あるある。それにしても案内がポップすぎ

彼女は、数年前バリ島でウェディングに携わるヘアメイクの仕事があったことをきっかけに、こっちに住むこととなったらしい。

「人生何があるかわからないね~」

そんな彼女の気になる生活について聞いてみると、家賃はプール付きのワンルームでなんと1万円ちょい!(広めの部屋をふたりでシェアしても2万円程度で結局ひとり1万円)。水道代は家賃に込みで、電気代はメーター制でチャージしていくスタイル。

玄関の外にある電気のメーター。減ってきたら追加をチャージしていくスタイル

「クーラーつけっぱなしにしちゃうから、電気代は50万ルピア(約4000円)くらいはかかるかなぁ」

物価に対して電気代は思ったよりも食うイメージだが、家賃に関しては東京と比べて10分の1程度。

「なんか、東京で1、2ヵ月働いたら、こっちで1年くらい住めちゃいそうだよね」

さらに何が良いって、"敷金礼金のようなものがない"から、サクっと住むことができるのだそうだ。不動産業者なども特にないため口コミが多く、空き部屋に人を紹介すると紹介料をもらえる場合もあるとか。

「敷礼なし最高だね。ところでバリ島での暮らしどお? 一生住みたいって思う? 日本恋しくなったりしない?」

「うーん。一生かはわからないけど、私は今のところ気に入ってるよ。あんまり日本に帰りたいとは思わないねぇ」

たしかに暖かい太陽を浴びながら原チャで風を感じていると気持ちが良くて、安易だけれどなんだかバリ暮らし、ちょっとしてみたくなってくる。

いざ、フライト! 右がバリ在住の友人プロペラ機からの車窓

国内線のプロペラ機に乗り込むと、窓から見える海はやっぱりイイ。

「海のある生活とこの気候を手に入れるためにこっちで婚活してみっかな~。こっちで嫁いだ日本人妻のことを"バリ嫁"って言うんでしょ? 私もバリ嫁になっちゃうか~。なんつって」

そんな風に私がふざけると、

「そうだね、ぜひ(笑)。でもインドネシアに嫁いだらその家の宗教に改宗して、毎日のお祈りとか手伝わなきゃいけなくて、日本人には大変ってこともあるみたいよ。それからバリ嫁どうしではダンナの職業や宗教カーストでマウンティングもあるとか......」

「なるほどね。ところでバリ島の男性って南国リゾートという土地柄か、のんびりしてるイメージがあるんだけど、やっぱり日本人に比べると働き者ではない感じ?

「(え、めっちゃ聞いてくるやん。この人、本気......?)ん~、中にはめちゃめちゃ働いてすごい稼いでるって人もいるけどさ、ガツガツしないのは『今で充分幸せに暮らしているのに、無理して働く必要あるの?』って意識かな」

ふむ、もちろん国も違えば職業も違う。世界には、東京という大都会のど真ん中でバリバリ働く意識高い系男子もいれば、バリ島の太陽の下で南風を感じながらゆるりと観光客を相手するビーチボーイズだっている。

比較できるものではないが、ただ「今で充分幸せ」という幸福度への感覚については、なんだかうらやましいかもしれない。

これまでも世界の幸福度について触れてきたが、日本はこんなに豊かで満たされているはずなのに、なぜかいつも幸福度への感度が悪い気がする。ついつい、「もっと」を目指してしまっているような、私たち日本人の幸せの価値観ってなんなんだろう......。

そんなことを考えながら、私は反町隆史と竹野内豊の出演していた月9『ビーチボーイズ』の歌を口ずさんでいた。

【This week's BLUE】
コモド島へ行く拠点となるフローレス島のラブアンバジョにある空港の名前はコモド空港! ややこしいけどテンションあがる(笑)!

●旅人マリーシャ
平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】

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