インドネシア・コモド島観光の拠点となる、フローレス島のラブアンバジョ。数日一緒に旅したバリ在住の友人(日本人)との最後の日、私たちはレンタルバイクで周辺を周ることにした。
レンタルバイクは大体1日7万5000ルピア(約600円)が相場であるが、3時間程度しか借りないため、「5万ルピア(約400円)にしてくれないでしょか?」と交渉し、結果バイク1台とヘルメットをふたつ借りた。
「ポリシ(警察)いるからね、ヘルメットはかぶれよ! と、言ったものの、ほぼノープロブレムだけど(笑)!」
この島ではけっこう小さな子供も原付バイクを運転していたり、免許もないドライバーも多そうだが、私たちはとにかく気を付けよう。
インドネシアではバイクの使用者がとても多く、交通ルールも曖昧なため危ないシーンを見かけることが度々ある。友人もバリ島で交通事故に遭ったことがあるという。
「原付に突っ込まれて、私、ピューンって吹っ飛んだの。スローモーションに感じたよ。ケガは大したことなかったんだけど腰抜かして倒れてたら、突っ込んできた相手に運ばれてね。
でもその人のほうが血だらけで、手足の肉がえぐれて筋肉だか骨みたいの見えてたから、思わず『私は大丈夫です』って言っちゃったんだよね。
でね、その人サーフィンのインストラクターで、怪我が治ったらレッスン無料でやってあげるからおいでって言われたの(笑)」
「え、そこ急にインドネシアらしいオチだね......(笑)。日本じゃ、ありえないね。で、サーフィン行ったの?」
「ううん(笑)。ところでこの島にバリ島で一番のラグジュアリーホテル『アヤナリゾート』の姉妹店『アヤナコモドリゾート』が去年オープンしたの。そこ行ってみない?」
果たして原付2ケツで現れた小汚い(?)私たちを入れてくれるのか疑問であったが、ゲートに着くとすんなりウェルカム。目の前にはまるでモルディブの水上コテージの景色をイメージするような、高級ホテルからのパノラマが広がった。
「うわぁ~。この島にこんなラグジュアリーなリゾートがあったんだねー! 泊まってみたい~!」
島のローカルエリアからやってきた私たちにとって、そこはまるで異次元のようだった。できたばかりのせいかお客さんは少ない様子であったけど、そこで見かけたのはほとんどが日本人と中国人! ラブアンバジョには欧米人しかいないと思ってたけど、アジア人観光客はここに隠れていたのね!
プールバーのドリンクメニューを見せてもらうと、サービス料などを含め安宿に1泊できるくらいのお値段だったので、私たちは笑顔でパタンとメニューを閉じ、そっと撤収した。
再び現実の世界(ローカルエリア)に戻りレンタルバイクを返した私たちは、ワルン(ローカルの食堂)でアイスティーを頼んだ。
「氷の入った冷たいアイスティーうれしい! え? お茶になんかブワブワ浮いてるよ......、ナニコレ......?」
古いお茶だったのか、お茶のポットを洗わずにつぎ足して作っているのか、水アカらしきものが大量に浮いていた。
店員さんに尋ねると、しばらく困惑した後に新しいものと交換してくれたが、いやはや、私たちがワイルドライフ(って言うの?)に慣れているからまだしも、やっぱり衛生面で耐えられないという普通の旅行者がいるのもわからなくはない。
そんな島の楽しい旅を終えた私と友人は、安宿でお別れ。
「このトイレットペーパーは置いていくね! またいつか!」
「トイレットペーパー重要! ありがとう!」
再び一人旅に戻った私が宿を延泊しようとしたら空いてるベッドがなかったため、しかたなく別の宿に移動。
1泊12万ルピア(約960円)から16万ルピア(約1280円)と300円程上がり、メインストリートから少し遠くなったが、グレードは格段アップ。
バーの付いたインフィニティプール(外縁を水で覆い、外縁が存在しないかのように見せかけたプール)と、水シャワーでなくホットシャワー、朝食は定番のパンケーキではなく、オムレツとトーストにコーヒーとフレッシュジュース付きになった。
ドナという人懐こい宿スタッフが迎えてくれ、同室はエストニア人の女のコだった。
「私はアナタです」
「え? アナタって日本語でYOUって意味だよ(笑)! いい名前だね!」
休職中に息抜きに旅をしているアナタは、前職はオンラインゲーム制作の仕事をしていたそうで、さすがIT大国エストニアだなと思った。
しばらくプールで泳いだ後、アナタを夕飯に誘おうと思ったのだが見当たらず、結局ひとりでフィッシュマーケットへ向かう。
「勇気を出して、知らないメニューでも頼んでみるか......」
私は屋台のメニューから「SOTO BABAT(ソトババット)」という文字を指さした。
「あなた、本当にそれでいいのね?」
店員さんから妙な確認を取られたので、何が出てくるのだろうかと少々不安であったが、しばらくして私の前に出てきたのは、黄色いスープと米。
スプーンでスープをすくい上げると、中に入っていたのはどうやらモツ的なもの。そう、BABATとはインドネシア語で内臓のことだったのだ。
そして口に運んでみるとなんと、これが激ウマ! 内臓だけでなく骨肉をぶった切った塊も入っていて、ものすごく簡単に言ったら、モツ鍋とかラーメンのスープのような感じで、コクがありニンニクも効いていて、ビールにピッタリ!
「屋台最高~! ラブアンバジョで食べたご飯の中でこれが一番美味しいかもしれない!」
食後は子供たちとスマホで遊んでいると、近くから珍しく日本語の会話が聞こえるではないか。
きれいな格好をした30代くらいの男女3人組で、思わず話しかけてみる。聞けば、みんなで旅行をしようという話で現地集合で集まった友達同士だそうだ。
「へぇ! バックパックで一人旅すごいですね! ところで私だけもう1泊滞在なんですが明日一緒にご飯しませんか? ベッドも余ってるので泊まっていただいても構わないですし」
そう誘ってくれた女性の宿泊先はまさかの、さっき見学してきたリゾートホテル! 即答でお邪魔することにし、翌朝はすっかり朝食ビュッフェまでいただくという夢のようなタナボタ話。
「やっぱりリゾート最高~! ラブアンバジョで食べたご飯の中でこれが一番美味しいかもしれない!」
あれ? このセリフさっきも......(笑)。
ここで断言。私はバックパッカー的なワイルド旅も好きだけど、優雅なリゾート旅だって大大大好きなんです(笑)!
まじめに頑張って旅してれば神様がご褒美くれるんだなぁ。やっぱりインドネシアには神様がいる!
【This week's BLUE】
ホテルから近くの無人島へ遊びに行ったりできるらしい。ブーゲンビリアとのコントラストがきれい
★旅人マリーシャの世界一周紀行:第230回「危険? 冒険? 深夜の海でエンジントラブル発生!」
●旅人マリーシャ
平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】