ふと自分の腹を見ればポッコリ突き出たメタボ体形。なんとか、少しでもこの出っ腹を引っ込めることはできないか......。
「その内臓脂肪は、1週間で落とせますよ」
そう答えてくれたのは、『内臓脂肪を落とす最強メソッド』(東洋経済新報社)の著者で医師・医学博士の池谷敏郎(いけたに・としろう)先生だ。
「男性の肥満は、ほぼ内臓脂肪型です。内臓脂肪は腹筋と内臓の間の腸間膜にたまります。よく、おなかを触って『腹筋があるから、俺はまだ大丈夫だ』と安心する人がいるんですが、実はその腹筋の下にたっぷりと内臓脂肪がついているんです」
でも、1週間で本当に落ちるんですか?
「内臓脂肪は、つきやすいけれど落ちやすいんです。だから、1ヵ月あればかなり落とせますが、1週間でもおなかがへっこんだのを実感できます。むしろ、始めたばかりのほうがグッと痩せると思いますよ」
じゃ、じゃあ、早速教えてください!
(1)まずは、糖質を半分に減らす!
「現代人は炭水化物を取りすぎているんです。ご飯、パン、ラーメン、そば、うどん、パスタ......。まずは、これを半分にする。
毎食の量を半分にするというのでもいいのですが、例えば夕食が接待だったりすると、その場でご飯を半分残すのは気が引ける。だったら、朝と昼は炭水化物を抜いて、夜は普通に食べるなど一日のトータルで半分を目指しましょう」
(2)食事量を極端に減らさない!
「食事量を減らすと空腹に耐えることになり、ストレスがたまって長続きはしません。また、リバウンドにもつながります。断食的なことはやめましょう。ツライだけです。炭水化物を減らした分、野菜や肉、魚などのタンパク質をしっかり取りましょう」
(3)食べる順番に注意。野菜も水溶性の食物繊維から食べる!
「糖質(食物繊維以外の炭水化物)を最初に食べると血糖値が急上昇して肥満の原因になります。また、血糖値が急上昇すると血管を傷つけて動脈硬化を起こしやすくします。
食物繊維を多く含んだ食べ物は血糖値の急上昇を防いでくれるので、まずは野菜など食物繊維の多いものから食べましょう。
また、食物繊維には水に溶ける『水溶性』と水に溶けにくい『非水溶性』があり、ゴボウやオクラ、アボカドなど水溶性の食物繊維は、糖質の吸収を防ぐとともに、満腹感を出すホルモンを分泌する働きがあります。ですから、水溶性の食物繊維から食べるといいでしょう」
(4)隠れ糖質を見抜け!
「気づかないところで取っている『隠れ糖質』に気をつけましょう。例えば野菜でも、カボチャ、ジャガイモ、サツマイモ、レンコン、ソラ豆などは糖質が多めです。かまぼこやちくわなどの練り製品には小麦粉が入っています。
ですから、酒のつまみでかまぼこを食べるのは厳禁です。また、さきいかや柿の種も糖質が多い。つまみはチーズやナッツなどがいいでしょう。
果物もパイナップルの缶詰など、シロップ漬けのものは糖質が多いので避けましょう」
(5)野菜がないときは、ソイ(豆)ファーストで!
「血糖値の急上昇を防ぐには野菜を先に食べる『ベジ(野菜)ファースト』と言いましたが、野菜がない場合もあるはずです。そんなときは大豆製品を先に食べる『ソイファースト』をオススメします。大豆は水溶性食物繊維が豊富で血糖値の急上昇を抑え、腹持ちのいい食材です」
(6)コンビニで選ぶダイエットランチ!
「コンビニで昼食を買う人は多いと思います。しかし、コンビニのお弁当は炭水化物が非常に多い。おにぎり、サンドイッチ、ラーメン、そば、パスタ......。だいたい炭水化物の多い商品を手に取ってしまう。ですから、お弁当売り場に行ってはダメなんです。惣菜売り場に行きましょう。
私の定番はサラダと肉や魚などのタンパク質を組み合わせたランチです。
サラダは、ツナや卵、豆腐などが入ったもの。そこに蒸し大豆などの豆類を入れます。そして、サラダチキンや豚肉のしょうが焼きを温めてもらって上にのせる。豚肉のしょうが焼きはタレがドレッシング代わりになるので便利です。また、ゆで卵やチーズを加えることもあります。
これだけ食べればおなかは膨れますし、意外とおいしい。糖質を抑えたランチの出来上がりです」
(7)カレーもラーメンも食べていい!
カレーを食べたかったら、スープカレー!
「カレーライスは皆さん大好きだと思いますが、カレーのルーには糖質や脂質がたくさん入っているので、ダイエットには不向きです。
『でも、どうしても食べたい!』というときには、スープカレーを食べましょう。ルーがサラサラしたスープカレーは小麦粉の含有量が少なく、低糖質です。
また、友人とラーメン屋さんに行くことになったり、『どうしてもラーメンが食べたい!』と思ったとき、私は次のようにしています。
まず、のせられるトッピングは全部のせます。そして、野菜、チャーシュー、卵、メンマ、のりなどトッピングを全部食べたら、スープを少し飲んで食べ終わります。麺をほとんど残すのです。
こうすれば、ラーメンを食べた気にもなりますし、友人たちが食べ終わる時間ともそれほど差がありません。ぜひ試してみてください」
(8)茶カテキンを取る!
「茶カテキンは緑茶や抹茶などに多く含まれています。そして、茶カテキンを継続して摂取することで肥満気味の人の内臓脂肪を減らす作用があることが報告されています。
また、茶カテキンを540㎎毎日取るとジョギング約10分相当のエネルギーを消費できるともいわれています。
ミネラルウオーターを買うのだったら、高濃度の茶カテキンが入ったお茶を飲みましょう」
(9)ゾンビ体操をする!
「運動をすることで代謝が上がり、痩せやすい体になります。私が考えたゾンビ体操は、運動が苦手な人でも、日常生活のなかで簡単にできる体操です。できるだけ上級編をやることをオススメします。
また、ゾンビ体操は一日3セットを基本としていますが、余裕があれば入浴前の15分をゾンビ体操タイムに当ててください。より、ダイエット効果が表れやすくなります。
また、人間は一般的に一日に4、5回トイレに行くといわれています。トイレの行き帰りにゾンビ体操をするというのもいいかもしれません」
【ゾンビ体操〈初級編〉】
背筋を伸ばしてピンと立ち、おなかをへこませるように力を入れ、肩・腕・手の力を抜く。
(2)イヤイヤ運動...子供がイヤイヤをするときのように上半身をひねって、両肩を前後に動かす。これを60秒繰り返す。
(1)(2)のふたつの動作を1セットとして、一日2回3セット行なう
【ゾンビ体操〈上級編〉】
初級編の動作を同時に行ない、膝を少し上げ気味にする。これを60秒続け、その後、足踏みだけ30秒行なう。これを1セットとして、3セット繰り返す。それを一日3回行なう
(10)入浴後に氷水を飲む!
「お風呂上がりは水分が失われているので、水を飲むことが多いでしょう。そんなときは氷水を飲んでください。
冷たい水を飲むと、それを37℃近くの体温まで上げるのにエネルギーを使います。お湯を沸かすのと同じです。このエネルギーは、体内の糖分や脂肪を燃やしてつくられるのです。ですから、内臓脂肪を燃やすのには氷水を飲んだほうがいいのです」
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思っていたよりも、それほど大変そうじゃない内臓脂肪の落とし方。池谷先生、本当にこれで大丈夫なんですか?
「大丈夫です。内臓脂肪を落とす方法は、実はすごく楽なんです。もし、痩せたという実感がない人は、知らないうちにどこかで炭水化物を取っているはずです。さらに炭水化物を半分にして、効果が出るまで減らしましょう。そうすれば内臓脂肪は必ず落とせます」
イッキに腹をへこまして、周囲をアッと言わせよう。