独身、アラフォー、貯金ゼロから劇的成り上がりした唱田氏

宝くじで一攫千金なんて夢のまた夢......。そう思いつつも、ロトくじなどで毎週のように「億万長者」が生まれているのもまた事実だ。今回、直撃したのは11年前にtotoBIGで6億円を当てた唱田士始矢(うただ・としや)さん。貯金ゼロから大金を手にした彼が見たのは天国だったのか、それとも......。

* * *

■会社はクビになり貯金残高は4419円

唱田士始矢氏(当時、無職)に人生最大の「事件」が起きたのは08年9月30日のことだった。東京・渋谷の宝くじ売り場で、前々日に購入した10口のtotoBIG(1口300円)の当せん番号照会をしてもらったところ、手渡されたのは1枚のレシート。そこに記されていたのは「1等」の文字と、信じられないほどの「0」が並んだ当せん金額だった。

――6億円の当せんレシートを手渡されたときの心境は、どんなものでしたか?

唱田 最初は100万円くらい当たったのかなと思いました。うれしいことですが、そのくらいの金額の当せんは以前にもあったので冷静さを失うほどではありませんでした。

でもレシートの数字を見たら一気に心拍数が上がってきて。6の後に「0」が8つ......。600万円でも6000万円でもなく6億円!? 手は震え、変な汗も出てきて、軽いパニック状態に陥りました。

――そういうとき、売り場のおばさんたちはどんな雰囲気なんですか?

唱田 窓口では絶対に客に当せん金額を言ってはいけないんです。「おめでとうございます! 6億円当せんです」なんて言ったら犯罪を誘発しかねないですからね。

あの日は最初、数人のおばさんが集まってひそひそ話をしていたので機械が故障でもしたのかと思ったんです。でもその後、僕にレシートを渡してくれたおばさんは明らかに緊張していて「当たってますよ」と言った声がすごく小声でした。

――6億円のレシートを手にその日から豪遊ですか?

唱田 急いで家に直帰したんですが、その日はうれしいという感覚はあまりなかったです。それよりも窓口で誰かに感づかれなかったかとか、レシートが入った財布を誰かにひったくられたらどうしようなんて考えてたら体がガクガク震えてきて、家までの道のりがめちゃくちゃ長く感じられました。

こんなに大きな運を一度に使ってしまったことが怖くなって、立ち直るまでに数日かかりました。

――当せんした実感は、いつぐらいに感じましたか?

唱田 指定された銀行に行って、6億円が振り込まれた通帳を見てもまったく現実感がなかったので、その場で「全額キャッシュで見せてくれませんか?」とお願いしたんです。そうしたら全額は無理だったのですが、半分の3億円分を後日、見せてもらえました。

――どんな景色でしたか?

唱田 応接室のテーブルの上に1000万円の札束がピラミッド状に30個積み上げられていて、まるでルパン三世のアニメのようでした(笑)。これが全部、自分のものなんだと思うと、ようやく少し実感が湧いてきました。

――それまでも宝くじはよく買われていたんですか?

唱田 いえ、そんなに買ってないですね。年に数回くらいで一回に買うのも3000円分くらいです。ただ、占いや方位学については昔から独学で勉強していて、金運が高まりそうな方角に旅行に行って宝くじを買うというのは昔からよくやっていたんです。

実は当せんしたtotoBIGも福岡で購入しました。この時期、西の方角が金運上昇のパワースポットだったからです。

――宝くじを買うためにあえて福岡に行かれたんですか!?

唱田 そういうわけではないんですが、実はこの直前、理不尽な理由で会社をクビになるなど僕の運気は最悪だったんです。そんな悪い流れを断ち切るために、まずは北の方角に旅行へ行ってリセットした後、金運が上昇する西方位の福岡に飛んだんです。

――す、すごい。

唱田 無職で独身、アラフォー、貯金なし。おまけに僕は中卒なんですけど、それでも自分の運気を上げる努力だけは毎日、怠りませんでした。さらに詳しく言うと、福岡ではビジネスホテルの2階に泊まり、totoBIGはあえて締め切り最終日に買いました。

――なぜですか?

唱田 風水では男性の運気は下に降りてくるからホテルは下層階のほうがいい。また、totoやジャンボ宝くじなどは最終日に買うほうが当たる傾向が強いんです。こうした細かい運気上昇のための努力が、大きな運気を呼び込む力になるんです。

独学で占いや方位学を勉強してきたという唱田氏。金運を上げるために行った福岡で購入したtotoBIGが見事当せん、6億円になったというから驚きだ

■キャバクラでひと晩1500万円の豪遊

子供の頃から「とにかく楽をして稼ぎたい」「最小の努力で最大の利益を得たい」ということばかりを考えていたという唱田さん。無職&貯金ゼロから見事、億万長者に成り上がったわけだが、待っていたのは"高額当せん者あるある"を地で行く散財生活だった。

――通帳を拝見すると、当せん直前の残高はわずか「4419円」。そこからいきなり6億円を手にすると人間、どうなっちゃうんですか?

唱田 間違いなく狂います(笑)。最初はとりあえず300万円下ろして、パソコンとか今まで欲しいのに諦めていたものを買おうと街に出たんです。でも、その日帰ってきたら手の全部の指に指輪......。総額250万円で、クロムハーツのシルバーの指輪を"大人買い"してしまったんです。

――ええーっ! パソコンはどうなったんですか?

唱田 街に出たら軽いパニック状態で完全に忘れてしまいました......。冷静に考えたらクロムハーツなんて似合う顔じゃないのに、当時はそれを10本の指にして、ひとり悦に入ってるわけですから本当にお金は怖いですね(苦笑)。

――大金を手にして、明らかに世界が変わった感覚はありましたか?

唱田 普段から見ていた街並みがまったく違う風景に見えました。以前は表参道を歩いていても、高級ブティックやレストランも自分にはまったく関係ないものですから、街全体が白黒のモノトーンにしか見えませんでした。それがあれも買える、これも食べられるとなると急に街に華やかな色がついたように感じられました。

――早速、渋谷区の高級マンション(家賃53万円)に引っ越し、ポルシェのカイエンを新車で購入(2000万円)。まるでマンガのような使いっぷりですね。

唱田 結局、車は営業マンに勧められるままにワゴン車や軽自動車など計6台も買ってしまいました。ただ、ポルシェのカイエンもいい車だなとは思ったんですが、実際に買うとそんなには好きじゃなかったことに気づいたというか。僕はゲームセンターのドライブゲームが好きで、やっぱりそっちのほうが楽しいということがわかったんです。高い授業料でした(笑)。

――通帳を見ると、当せん後ひと月で1億3000万円ぐらい使ってますね。

唱田 遊び方もどんどん派手になってきて、気づいたら芸能人やIT社長などの知り合いもたくさんできていました。毎日、キャッシュで2000万円くらい持ち歩いていて「店にある酒、全部持ってこい!」みたいなこともやっていましたし、キャバクラでひと晩で1500万円使ったこともありました。

――気持ちが満たされる感覚はありました?

唱田 まったくなかったですね。そういうことをやりたかったわけでなくて、ただ、変な勢いがついてやっているだけだったので。唯一、満たされた買い物といえば大型クルーザーです。これは1億3000万円もして、2時間も走ると燃料代だけで軽く20万円くらい飛んでしまう金食い虫でしたが、これで友達たちとトローリングに出かけたり、パーティをしたのはいい思い出です。

――散財生活はその後も続き、結局、当せん1年で3億円以上も使ってしまったとか。

唱田 さすがにこれはヤバいなと思いました。ただ、僕は運良くそこから株の運用やカジノで儲けて、散財した分はなんとか取り戻しました。当せんから11年で収支はトントンといったところですね。

――現在はクロムハーツの指輪も、車もクルーザーもすべて手放したそうですが、どんな心境の変化があったんですか?

唱田 散財をし尽くした結果、わかったことは僕ってあんまり物欲がないんだなということでした。それに気づいたらすごく身軽になって、心が解放されました。人間って何かを欲しがっているときは焦ったり不安になったりして自由に動けなくなる。だけど、何より大事なのは「普通でいること」だとわかったんです。

大金を手にするとなんでも手に入る半面、自分が本当に欲しいものがどんどんわからなくなっていきます。こればかりは、自分で経験して覚えるしかないと思うんですが。

■なぜ、お金持ちに幸せそうな人は少ない?

今年4月、アメリカでは数字選択式宝くじ「パワーボール」で24歳の若者が7億6800万ドル(約859億円)を手にし、大ニュースに

現在は開運コンサルタントとして活躍中の唱田氏。雑誌やテレビなどに登場しては「宝くじは当たるのを待つのでなく、当てにいくもの」と豪語するが、自身の高額当せんも決してマグレではないという。

――開運コンサルタントとは、具体的にどんなことをされているんでしょう?

唱田 人間は運気に合わせて生きていくとものすごく楽になる、ということをアドバイスさせていただいてます。「この日、この方角へ旅行に行くと金運が高まります」みたいな話をするとバカにされる方もいますが、方位学に従って行動している僕に言わせれば、それを知らずに生きるのは重装備で岸壁をよじ登っているようなものです。

運気に合わせて行動することは、重い装備を外して楽に生きること。僕は11年前にたまたま宝くじに当たりましたが、あれが当たっていなくとも、それ以外の方法で必ず大金を手にしていた自信があります。

――老後2000万円問題をはじめとして、将来のお金に関する不安を持つ人が多い昨今ですが、何かアドバイスできることはありますか?

唱田 不安だ不安だと言って何もしないなら、少しは方角などを気にしたほうがいいと思います。1950年代、日本が超好景気だった時代は方位学がすごくはやったといわれているんですが、僕は方位学が景気を押し上げた側面もあったはずだと思っています。

――唱田さんは宝くじ当せん後、さまざまな資産家の方々と知り合いになられたそうですが、お金と幸せの因果関係はどのように考えられていますか?

唱田 僕が見た範囲でいえば、やっぱりお金持ちには幸せそうな人が少ないように感じました。「庶民の悩みの8割はお金で解決できる」なんていわれますが、お金持ちにだって悩みはたくさんあります。

しかもそれはお金では解決できないものばかりなので、より深刻に見える。もちろん、食うのに困らないというのは前提ですが、庶民でも何かに打ち込んでいる人のほうがはるかに幸せそうに見えますね。

――ということは、唱田さんももうお金は十分ですか。

唱田 いや、僕はもっともっと増やしたいですね。

――えっ?

唱田 今、日本で大富豪といわれるのは資産2000億~1兆円ぐらいですか。それくらい欲しいですね......と言うと、笑われちゃうんですけど。

――6億円で十分じゃないですか。年収2000万円の生活が30年もできるんですよ。

唱田 僕の感覚では、リアルに感じられるお金って数百万円までです。それ以上は全部、ただの数字です。だからお金が欲しいというよりも、景色が見てみたいんです。6億円を手にしたときに表参道の街が急に色づいて見えたのと同じように、1兆円まで上り詰めたらどんな景色が広がってるのかな、って。実は今、欲しいものがあるんです。

――なんですか?

唱田 メガヨットと呼ばれる個人用の大型クルーザーです。中は5階層ぐらいで、レストランやスイートルームもあって。フルカスタムなので、注文してから納品まで8年くらいかかるらしいんです。

――お値段はいかほどですか?

唱田 下は100億円から、上は1200億円くらいします。あのスティーブ・ジョブズも注文したんですが、完成したのは没後で、その夢は叶(かな)わなかったんです。今、日本でも数人オーナーがいるらしいんですが、日本の海には持ってきていないので、僕が日本に持ってきたいと思ってます。まだまだ稼がなきゃですね(笑)。

●唱田士始矢(うただ・としや) 
東京都出身。中学校卒業後、フリーターに。独学で占いの勉強を始め、2008年にtotoBIGで1等を当てる。現在は開運コンサルタントとして活躍中

■独身・アラフォー・貯金なしだった僕が宝くじで6億円当たってどうなったか!? 唱田氏が6億円当せんのその後を赤裸々に明かす自伝は主婦の友社より発売中。巻末には氏が実践している占いを使った九星別の月別吉方位(2020年4月まで)も掲載