首都バンダルスリブガワンにあるブルネイ空港。着いたらいきなりモスクあり!

2019年3月より日本との直行便ができて、片道約6時間となったブルネイ・ダルサラーム国にやってきましたー!

通称ブルネイは東南アジアのボルネオ島(カリマンタン島)北部にある、マレーシアに囲まれた小さな国。厳格なイスラム教の国であり、東南アジアで唯一、国王が首相も兼ねる絶対君主の国である。

三重県とほぼ同じ大きさで、人口は約43万人。石油や天然ガスなどの資源で潤っているお金持ち国家なのだ! 

それゆえ物価は少々高めで、シンガポールや日本と同じくらい。なんとシンガポール通貨も使えるというので、私は家に残っていたシンガポールドルを持ってきて、プラス、50米ドルを65ブルネイドルに両替した。

ブルネイドル紙幣にはスルタンの肖像が描かれている

ブルネイには見所があまりなく、安宿も少ないのは旅人泣かせ。そんな中でも観光名所となっている7つ星の「エンパイアホテル」は、"リーズナブル"な価格(3万円くらい)で泊まれるそうだけど、しがない旅人にとってそれが安いわけがない。

私はいつも通りドミトリータイプの安宿を予約していた。

日中は炎天下だからか、街中にあまり人は歩いていなかった

空港から市内はバスで行くことができ、これに関しては1ブルネイドル(約80円)と激安。市内のバス停からは、炎天下であまり人が見当たらない街中を宿まで歩いた。

私にとってイメージがなさすぎる未知の国ブルネイ。何があるのか全くわからず、全てのものに小さな驚きを感じた。きれいな道路や横断歩道のライン、押しボタン式信号機などの整ったインフラ、アメリカ資本のファストフード店。

東南アジアの中でも特にインフラは整っている様子

女子の服装で間違いなくイスラム圏なのがわかる。比較的ファッションはイマドキ

黒いバーガーキングを発見!

お金持ち大国はどんなかと思っていたが、例えばドバイのような高層ホテルに囲まれたバブリー感や、ベガスのようなネオンギラギラの派手さとは程遠い、強いて言えばモスクのドームが黄金で豪華っぽい感じはあるが、"お金持ちですよアピール"はなく、質素でのどかな雰囲気だった。

1958年に完成したオールドモスクはブルネイの富の象徴。総工費は約500万米ドル

オールドモスクを横目に過ぎ、安宿はその裏あたりにあるはずだが、GPSが示す場所が曖昧で正確な位置がわからない。旅あるあるなので慣れているが、とりあえず手当たり次第聞くか。

それらしき場所で、小さな学校のような2階建の緑色をした建物を見つけた。

「ハロー。ここホステルですかー?」

この辺りに宿があるはずなんだけど見つからない。AWASは「気をつけて!」

庭で水撒きをする男に尋ねると、少し怪訝な顔で「NO」と言われる。結局、その対面の集合住宅のような建物の一部屋が宿だったとわかり、宿主に迎えられた。

「君、目の前の建物に行ったって? あはは! あれはスルタン(国王)の旧住居だよ!」

え......! なんと私が安宿と間違えた建物は、スルタンが子供の頃に住んでいた家だった。昔だったとしても、王の住んでいた家を旅人が泊まる安宿と思ってしまうなんて、そんな間違いある?

石油が見つかる以前の話だそうだけど、そいつは失礼いたしやした。

昔スルタン(国王)が住んでいたという建物

「俺の名前はアッシュ! ブルネイのことなら俺になんでも聞いてくれ! 石油によってブルネイはとてもリッチな国になったんだ。教育費も医療費も、それから所得税や住民税もない。

そこに住んでたスルタン(国王)は、お父さんが石油を発見してから別のところに引っ越したんだよ! でもスルタンは庶民的な心を忘れてはいない。彼は自転車にも乗るし、時々街にもやってくるよ。セキュリティーも付けないし、もしその辺で出会ったらセルフィーにも快く答えてくれるのさ!

この国でスルタンはカリスマ的存在のようだ。正式な名前はハジ・ハサナル・ボルキア・ムイザディン・ワッダラーで第29代に当たる。

日本では「ハサナル・ボルキア国王」の呼称で呼ばれているが、アッシュが「スルタン(国王)」や「マジェスティー(陛下)」と呼んでいたのが私には新鮮で印象的だった。

ほら、普段外国人と政治の話をする時に出てくるワードは「プレジデント(大統領)」とか「プライムミニスター(首相)」とかだからね。

ドミトリーの窓から見えるスルタンの住んでいた建物とメモリアルブック

7つ星ホテルではないけど、王様の旧住居が窓から見える宿

宿の窓からはスルタンの旧住居が拝め、壁にはこの街の簡素な観光マップが描かれていた。空港や宿も含めて15ヵ所を指しているが、それがこの街の見所ほぼ全部。とりあえず目的もなく、治安の良いブルネイの街中へ散歩に出かけた。

「スルタン歩いてないかな......」

宿の壁に描かれたマップと宿主アッシュ

モスクや博物館は後で訪問するとして、特に観光名所のない小さな街中で日本食レストランを2軒ほど見つけたのはまあまあ意外であった。

「あるんだ......。まぁ、あるか。日本人観光客とかくるのかしら?」

店外にあったメニューを開いてみると、近年、どこの国でもだいぶ日本語メニューの誤訳はマシになったと思うが、ブルネイでは久々にインパクトをくらった。

漢字とひらがなでは「天ぷら」に辿り着いているのに、カタカナだと「テンピュラ」。エビフライのことは「全体パン粉海老」と書きたかったのであろうが「全太パンコエビ」

「カレイの唐揚げ」は「Karaage」が急にフランス語っぽく「カレイカラージュ」に。その流れからだろうか、「スズキの唐揚げ」にいたっては「スズキパリ」と、小粋に変身。

そして「ホタテのバター焼き」は「ホットテッドバタヤキ」、えのきの付いた「榎木ホットテッドバタヤキ」もあり、シメの「タコ飯」が「タコメッシュ」と書かれているページに私は釘付けだった。

そんな私の横を、唯一見かけた観光客である西洋人のカップルが笑顔なく入店して行ったが、満足していただけるか心配するのは余計なお世話か。

メニューの一部。「スズキパリ」も気になるなぁ。パリパリってこと?

「トーリ・ロス・カワアリエ」はきっと、「鶏ロース変わり揚げ」のこと

またしばらく歩くと、今度はおでんやたこ焼きが売っていた。ブルネイでたこ焼き屋はいくつかあるようだが、価格は4コで120円とか、8コで160円てとこのよう。クオリティーは置いといたとして、日本より安値だ。

ODENとたこ焼きも売ってたよたこ焼きが焼かれるのを待つ人々。まるでショータイム
なかなか上手に焼けてます

2軒並んだ大型ショッピングモールのひとつはオーナーが亡くなり閉店したとか。

稼働しているほうにはブティックや携帯ショップ、日本語の書かれた100円ショップ的な店「KOHARU」もあったが、ラマダンの時期であったためか全体的にどこのお店もガラガラ。

せっかくなので、フードコートで昼メッシュでも食べようかと思ったが、イフタールの時間までは閉店。

残念、晩メッシュにまた来よう......。

ラマダン時期の日中のフードコートは稼働してないよ~

100円ショップ的な「KOHARU」は2.50ブルネイドルショップ

【This week's BLUE】
夜のオールドモスクはライトアップされ幻想的!

★旅人マリーシャの世界一周紀行:第243回「ブルネイ・人口4万人の巨大水上集落の暮らしは、高級住宅より快適?」

●旅人マリーシャ
平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】

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