(手前)小沢コージ、CB400 SUPER BOL DO'R。(奥)編集K、CB1300 SUPER BOL DO'R。最新のCB400とCB1300の2台を旅のお供に引っ張り出して徹底試乗。途中、フェリーに乗るが、それでも約330kmを走った!

スポーツバイクで60年続いているのはCBだけ。その人気の秘密に迫るべく、自動車ジャーナリストの小沢コージが最新のCBをギンギン試乗してきた!

■日本人よ! CBをもっと誇りに思え!

――今年、ホンダのCBシリーズが60周年を迎えました。

小沢 1959年に日本が世界に誇る傑作スポーツバイク「BENLY CB92」を発売し、今年は60年目の超メモリアルイヤー。4年前に1955年生まれのトヨタ・クラウンが60周年、3年前に1966年生まれのカローラが50周年を迎えた。

正直、CBシリーズはクラウンやカローラと変わらない偉大な記録を作ったのに二輪マニア以外からまるで評価されていない!

――もっと評価されるべき?

小沢 当たり前だよ。だってCBは世界160ヵ国に輸出されている国際派だし、さらにいうと二輪の単一銘柄で60年以上売られてるのは同じホンダのスーパーカブのみだからね!

世界的にはトライアンフのボンネビルが1959年生まれだけど2回生産中止になっているし、スポーツバイクで60年途切れず売れているのは世界的にCBだけ。マジで偉大すぎる記録なんだよ!

――なぜ評価が低い?

小沢 今の日本はバイク売れないしねぇ......新興国の交通手段みたいな認識だから。

――バイクは四輪と並び日本の主要産業なんですけどね。

小沢 ホンダ以外にヤマハ、スズキ、カワサキと4つもバイクメーカーのある国なんて世界中探したってどこにもない。しかもホンダに限っていうと2018年度に四輪、二輪、汎用エンジン合わせて過去最高の3100万台超も売ってるけど、そのうち2000万台が二輪で断トツ世界イチ!

世界シェアでいうと4割近いから四輪界でいえばトヨタとVW(フォルクス・ワーゲン)とGM(ゼネラル・モーターズ)を全部足したのがホンダなんだよ!

――日本人よ、もっとCB60周年を誇りに思え、と!

小沢 うん。そもそもホンダは二輪界じゃ異例ずくめで、販売世界トップはもちろん、世界二輪グランプリのトップカテゴリーに1950年代から出ていて、現在コンストラクターとしては約760勝!

トヨタであると同時にフェラーリ的でもある超絶ブランドなんだ。この偉業はホンダ社員もわかっていないと思うぞ! 俺はホンダ在籍時代に四輪と二輪部門の仲の悪さを散々見てたからよくわかる(笑)。

ところで、編集Kよ。確かおまえさんは今夏に大型二輪免許を取ったよな?

――ええ、おかげさまで。

小沢 さっき東京・青山のホンダ本社でCB400SBとCB1300SBを借りといたからこれから北海道に行くぞ!

――バイク乗りの聖地・北海道に行っちゃいますか!

小沢 男は黙って北を目指せだ! というのは冗談で、北海道でホンダの試乗会があるからなんだが......Kよ、バイクも乗らなきゃ語れないぞ!

――ちなみに小沢さんって二輪免許持ってんスか?

小沢 何年、俺と仕事してんだ。こう見えても俺はモータージャーナリストだ。中型二輪は19歳で取っているし、スズキのKATANAにも乗っていたんだぞ! まぁ、250㏄の2気筒だったけど......。

――名作KATANAでもハンス・ムートデザインのGSX1100Sでないと(笑)。ところで最後にバイク乗ったのは?

小沢 大学以来だからたぶん30年ぶりだ。そんなことはどうでもいい。これから北海道行きフェリーに乗るため、茨城県の大洗港まで走るぞ!

■CBこそスポーツバイクの王道中の王道

――ということで北海道に上陸しましたが、もうサイコーっスよ、CBは。でも、具体的に何がいいんスかね?

小沢 圧倒的な乗りやすさだな! 30年ぶりの公道ライディングで正直心臓ドッキドキだったけど、マジでCBがバイクの乗り方を思い出させてくれた。クラッチはアイドリングからつなげるし、ハンドルは重すぎず軽すぎず超いい位置にある。

一番心配していた立ちゴケは一回もナシ! CBがオールドファッションデザインなこともあって、一瞬にして30年前に戻れた。それでいて56PSの400㏄並列4気筒が1万3000回転までビンビンに回る。こんなに実用性と快楽スポーツ性を併せ持つバイクってないぞ!

――わかります。公道でリッターバイク乗ったの初めてですが、こんなに楽しいとは思わなかった。5500回転で118Nmという四輪並みの極太トルクを出すから、バイクっていうより船にでも乗っているみたいで。しかも高速も風に負けず超真っすぐ走れる。

小沢 実際、CBのリッターバイクはエンストなしの6速ギア発進ができるが、これもほかにない。俺たちが乗ってきた「フェリーさんふらわあ」号も出港したのに気づかなかったくらい滑らかだったが、CBもそれに近い!

CB=フェラーリ説には異論があって、エンスー系バイク乗りに言わせると、CBはフェラーリじゃなくスーパーカブの進化形だと。最初から4サイクルエンジン採用だし、今でも本田宗一郎イズムが残っていると。だからCBは全国で教習車に使われるほど乗りやすいが、一方でマニアからは逆に優等生すぎると。

――だから今、日本のビッグバイク市場では個性的なカワサキZ900が人気なんスね。

小沢 それってちょっとおかしいと思うわけよ。要するにCBは低回転トルクが太くて乗りやすい上、高回転でもビンビンに回り、高速で風に強く、ワインディングでも寝かせやすくて乗りやすい。もう不満が一切ない。

今じゃアンチロックブレーキも標準装備で俺みたいなへっぽこリターンライダーにも、程よいチ○ポおっ立ち感を味わわせてくれる。メカとしてカンペキであり、それが欠点といわれるなんておかしい! もっともCB400は北海道縦断にはパワー不足だとは思ったが。

――やはりホンダCB1300とカワサキのZ900だと、男くさいのは......。

小沢 確かに永遠の不良少年であり、石原軍団みたいな人たちはZでしょ。でも俺、CBはやっぱスポーツバイクの王道中の王道だと思う。

――というと?

小沢 CBの世界デビュー作、1969年生まれのCB750FOURはほかがSVやOHVの2気筒エンジンなど旧態依然なところに鮮烈なOHC並列4気筒でデビュー。まさしく当時の最先端でレースでも活躍。

そんなCB750を原型とする今のCBシリーズは時計でいうロレックスのオイスターケースにも似た定番中の定番。昔からプレスライダーはCBしか使わないことで有名だし、それって走行10万㎞でも壊れないから。今も昔もメカとしてカンペキな二輪はホンダCBに尽きる!

――なるほど(笑)。で、北海道をCBで走った感想は?

小沢 北海道の高速走行は完全に修業だった。風の壁と、虫がヘルメットのシールドとぶつかり、潰れまくり、それを拭いながら進む。ホント、「フェリーさんふらわあ」は快適で良かったなと。

――バイクはもうこりごり?

小沢 でも男なら、たまにはバイクに乗るべきと思った。バイクに乗ると、己の劣化している部分と、してない部分を心底実感できるから。マジで俺も大型二輪免許取ってタマにツーリングでもすっかと思ったよ。バイクは大人の男のたしなみだと思うぞ!

↓北海道まで走ったCBはこの2台!

(左)CB1300 SUPER BOL DO'R、(右)CB400 SUPER BOL DO'R。CB1300は長距離を走れば走るほど、バイクの大きさと重さをどんどん忘れ、その安定感に驚くばかり

【CB1300 SUPER BOL DO'R】
●全長:2200㎜×全幅:825㎜×全高:1205㎜ ●軸距:1520㎜ ●シート高:780㎜ ●車重:274㎏■エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ4気筒 ●排気量:1284cc ●最高出力:110PS/7250rpm ●最大トルク:12.0kg-m/5500rpm ●燃料タンク:21L ●変速機:6段 ●タイヤサイズ:F120/70ZR17M/C R180/55ZR17M/C ●価格:162万1400円(*数値はすべて国内仕様)

【CB400 SUPER BOL DO'R】
●全長:2080㎜×全幅:745㎜×全高:1160㎜ ●軸距:1410㎜ ●シート高:755㎜ ●車重:206㎏ ■エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒 ●排気量:399cc ●最高出力:56PS/11000rpm ●最大トルク:4.0kg-m/9500rpm ●燃料タンク:18L ●変速機:6段 ●タイヤサイズ:F120/60ZR17M/C R160/60ZR17M/C ●価格:108万4600円(*数値はすべて国内仕様)