コロコロ引っ張るキャリーケース。手軽にキャンプに行けるだけでなく、台風や水害などの災害時には、避難セットに早変わりする優れものだった!

キャンプといえば、家族や友達と一緒に朝早く車に乗って出かけるというイメージがあるが、今、ひそかに注目されているのが、車を使わないキャリーケース・キャンプだ。

その魅力を女子ソロキャンパーの森風美(もり・ふうみ)さんが語る。

「ひとりでキャンプに行こうと思ったとき、私は運転免許を持っていなかったので、電車やバスなどの公共交通を使うしかなかったんです。

そこで最初はキャリーカート(荷物を載せてゴムなどで固定するカート)でキャンプ道具を運んでいたんですが、キャリーカートだと荷崩れするし雨にも弱い。駅の自動改札の幅よりも荷物が横に長いと通れないなどの欠点があった。

だから、みんながよく使っているバックパックにしようかと考えましたが、体力に自信のない私は10kg以上になる荷物を何時間も背負うことは無理だと思ったんです。それでキャリーケースに落ち着きました。すると、これがとても快適で楽なんです」

キャリーケース・キャンプだから楽しめることは?

「まず、行きも帰りも電車の中でお酒が飲める(笑)。帰りには、ご当地駅弁を食べるという楽しみもあります。少し早めに帰ったら、キャリーケースを駅のコインロッカーに預けて映画を見ることだってできる。キャンプの後に街をぶらぶらしても違和感がないんです。

それにキャリーケースだと、車よりも行動範囲が広くなる。車だとせいぜい自宅から200~300km以内のキャンプ場を利用することが多いと思いますが、キャリーケースなら飛行機に乗って北海道や沖縄に行ったり、船に乗って離島に行けたりします。日本中のキャンプ場を楽しめます」

でも、多くのキャンプ場は、バス停から遠かったりしませんか?

「確かに遠いキャンプ場も多いですが、バス停からどれくらい歩くのか、近くに食料が調達できるお店はあるかなど事前に調べておけば心配ありません。都会で暮らしている人は車を持っていないことが多いので、最近はアクセスが良かったり、設備が充実したキャンプ場も増えています」

ちなみに、今回のキャリーケース(Sサイズ・約40L)に入れた道具は、どんな基準で選んだんですか?

「必要最小限のセットです。キャンプに絶対に必要なテントとマットと寝袋。そして、背もたれのあるイスがあると座っていて楽ですし、簡易なテーブルがあると食器や調理器具が置ける。あとモバイルバッテリー兼用ランタンはとても便利なので入れました」

通常キャンプ時。キャリーケースのサイズはタテ55cm、ヨコ40cm、奥行き23cm、容量は約40L

あと、キャリーケース・キャンプセットは少し入れ替えるだけで、災害避難時にも役に立つそうですが。

「避難所での生活を考えると、寝る場所に敷くマットは残します。毛布は支給されることもありますが念のために寝袋は持っていたほうがいい。テントは避難所で張りにくい雰囲気があると聞きましたが一応入れてあります。あと、情報収集のためにスマホが充電できるランタンも残します。

室内で火は使えないので、バーナーとクッカー、テーブルを外します。背もたれのあるイスを小さなイスに替え、あとは3日分の水と火を使わなくても食べられる非常食や缶詰を入れる。ラップやアルミホイルはお皿にかぶせて、その上に食料をのせれば水で洗わないで済みます。体に巻けば暖がとれます」

災害避難時

気軽にキャンプに行けるし、ちょっと入れ替えるだけで災害避難用の持ち出しセットになる。キャリーケース・キャンプセットはこれからの必需品だ!

●森 風美(もり・ふうみ)
キャリーケースひとつでキャンプする女子ソロキャンパー。女子アウトドアウェブメディア『なちゅガール』編集長。公式ツイッター【@fu_uyu】