『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回はガンダムファンの彼女が、「ガンダムスタンプラリー(2020年)」について語る。
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2年前にJR東日本の各駅で行なわれた「機動戦士ガンダムスタンプラリー」が、今年も開催されました。
前回は"ファーストガンダム"と呼ばれる『機動戦士ガンダム』に出てくるMSやキャラクターのみが対象でしたが、今回は大好きな『Zガンダム』や『逆襲のシャア』を含む宇宙世紀の5シリーズに範囲が拡大。
私は、ルートを綿密に計算して回ったのになぜか北松戸駅を飛ばしてしまうという痛恨のミスがあったものの、前回に続いて全65駅とグルメラリーを共に完全制覇することができました。
この企画の面白さのひとつは、各駅のセレクトやアピール。前回、ジオンの王子「ガルマ」のスタンプを置いていた王子駅は、今回は「ジ・O」。その手があったかと感心しました。
東京の輸送を支える尾久車両基地がある尾久(おく)駅が、輸送機の「ミデア」を選んでいたのもうれしかったです。また、前回「ジオング」だった水道橋駅が、そのジオングの設計思想を受け継いた「サイコ・ガンダム」を引き当てたことに胸が熱くなりました。
これらは第1希望で出したキャラが採用されたパターンだと勝手に思っていますが、競合の末に別のものになったのでは?という駅も。機体に漢字が書かれている「バウ」が置いてあった田端駅には、駅から「文豪でおなじみの田端にはバウがぴったり」というコメントがあり、与えられたもので精いっぱいアピールするけなげさを感じました。
気になったのは、「キュベレイ」が置いてあった飯田橋駅。白く輝く機体と、もうすぐ新しくなる駅舎を迎える気持ちを重ねてセレクトしたらしく、キュベレイ好きとしてこの新しい解釈に「やられた!」と思いました。
前回、新南口という遠い改札口にスタンプが追いやられて話題になった渋谷駅は、今年は『Zガンダム』のヒロイン「フォウ」でしたが、またもや独特の盛り上がりを見せました。
渋谷駅中に「フォウ」とだけ書かれた張り紙が出され、スタンプを押す場所にはフォウと一緒に写真が撮れる顔ハメパネルや『Zガンダム』のキャラのお面が置いてありました。手作り系では、西荻窪駅が「パラス・アテネ」、大井町駅が「百式」を段ボールで作っていて、ふたつを戦わせたくなりました。
こうして前回以上に盛り上がったガンダムスタンプラリーですが、完全制覇して賞品のガンプラを受け取りに行った際、周りの年齢層がかなり高かったのが印象的でした。以前、富野由悠季(よしゆき)さんとお話しした際、「ちゃんと次につないでいかないとガンダムも消える」と危機感を持たれていたことを思い出しました。
"21世紀のファーストガンダム"と呼ばれ、たくさんの新規ファンを開拓した『機動戦士ガンダムSEED』が放送されてからもずいぶんたちます。
今、アニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』が子供たちの間で人気ですが、そこでロボット耐性をつけた子供たちを取り込むべく、"令和のファーストガンダム"といえる作品をつくるタイミングだ!と思っています。
●市川紗椰(いちかわ・さや)
1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、J-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』(毎週土曜21時~)にレギュラー出演中。市川紗椰初の鉄道本『鉄道について話した。』好評発売中! 取手駅のアンケートで『Zガンダム』の思い出を書いたが、あれはどこかで公開されるんだろうか。Official Instagram【@sayaichikawa.official】