今、バイク乗りに人気なのがアドベンチャー系だ(写真はホンダCRF1100Lアフリカツイン)

251cc以上のバイクが人気だ。さらに今年1月、ホンダがダカールラリーを制覇したことで、いわゆるアドベンチャー系が激アツだという。専門家・青木タカオが独断と偏見で買うべき4台を選んだ!

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■ハーレーも参戦! 激熱のアドベンチャー

――251cc以上のバイクが人気らしいじゃないスか。

青木 そうなんです。昨年、国内二輪4社の出荷台数が、リーマン・ショックのあった2008年(約4万9700台)以来、11年ぶりの4万台超え(約4万1000台、前年比11.7%増)を記録したんですよ!

――11年ぶりに4万台を突破した理由というのは?

青木 バイク野郎をギンギンにした往年の名車「Z」や「カタナ」のデザインを取り入れて、現代によみがえった"ネオクラシック"がバイクから離れていた中高年を呼び戻しています。ただし、今だと"アドベンチャー"の勢いもスゴいです!

パリ・ダカでホンダが4連覇したときのマシン。ラリーの技術が市販車に!

――アドベンチャー?

青木 冒険野郎どものハートに突き刺さるタフなバイクたちでして、未舗装路も走破可能な長距離ツアラーです。そもそものルーツは世界一過酷なモータースポーツ「パリダカ(パリ・ダカールラリー)」ですね。砂漠をクルマが疾走するアレです。実は二輪も参加しており、ホンダ、ヤマハ、スズキ、BMWなどが公道向けにパリダカ・レプリカを発売しています。

31年ぶりにダカールラリーを制覇したホンダのリッキー・ブラベック選手

――ほうほう。

青木 09年から舞台が南米に変わり、その名前も「ダカールラリー」に変更されました。さらに今年の大会はサウジアラビアで開催されたんですが、13日間で総走行距離は7000km以上、走行ルートの75%が砂漠地帯っていう過酷さでした。

そこで、86~89年まで4連覇したホンダのバイクが31年ぶりにタイトル奪還! 今、大型バイクを買うならアドベンチャー系しかありません。というか、ベスト4を選んできたので発表します! いいですか?

第1位 ホンダ CRF1100L アフリカツイン 価格:161万7000円~205万7000円。全面改良で車体は超軽量化。メインフレームの刷新などで、車重は先代モデルより4kg軽量化

――あ、はい(笑)。

青木 1位はホンダの新型アフリカツインです! ダカールを制覇したホンダのスゴさが昨年12月に発売された新型で味わえます!

――具体的にはどんな乗り味なんスか?

青木 ダカールラリーのレプリカモデルとして、オフロードでの走破性向上を実現。ホンダ開発陣も強気で、報道陣向けの試乗会はガチのモトクロス場で開催。跳んだりはねたりも余裕でこなす戦闘力を備えています。

――戦闘力の高さの訳は?

青木 ホンダは1990~2012年までダカールラリーの参戦を休止していました。しかし、13年にCRF450でラリーに復活! そこで得たテクノロジーをふんだんにフィードバックしたのが、アフリカツインなんですよ!

――ラリーからの技術の応用だと乗り味や走り味は硬派?

青木 違います。ラリーマシンは、いかに長距離を快適に走れるか。それを追求しています。運動性能は一線級ながらカウルの空力も追求され、長時間の高速巡航も快適なんです。だから、長距離ツーリングを楽しみたい大人のライダーがハマっている。前傾姿勢ではないから、ロングライドも疲れ知らず。タンデムもラクラクこなしてくれます。

第2位 ヤマハ Tenere700 価格:126万5000円。ヤマハは3月11日、オフロードタイプの新型二輪「テネレ700」の6月5日発売を発表!

――で、2位は?

青木 オフロード性能をより重視するならヤマハのテネレ700。コイツの刺激度はびんびんです。ヤマハは二輪と四輪の区分がなかった79年の元祖パリダカの第1回でXT500が四輪勢を抑えて問答無用のワンツーフィニッシュを飾っています。91年もスーパーテネレが1~3位を独占! そんな絶対王者が昨年の東京モーターショーで復活。

16年にコンセプトモデルを発表すると大きな話題に。ヒットの予感プンプンです!

第3位 スズキ Vストローム 1050XT 価格:160万円前後。17年以来3年ぶりの全面改良を 受けた新型は今年1月から欧米で発売。日本発売が待ち遠しい

――3位は?

青木 今年8月頃に登場予定のスズキのVストローム1050XTでしょう。"ファラオの怪鳥"という異名を取るスズキ・パリダカマシン「DRジータ」の血統を宿したモデルです。クチバシカウルと呼ばれるスタイルを受け継いでおり、ファンは悶絶(もんぜつ)ヨガリ泣き状態になっています!

第4位 ハーレーダビッドソン パンアメリカ 価格:未定。昨年11月のミラノ国際モーターサイクルショーで発表され話題となった初の冒険バイク

――最後に4位は?

青木 空前のアドベンチャーブームは、ついにあのハーレーにも飛び火して、夏頃にアメリカで「パンアメリカ」というモデルが発売されます!

――マジか!? コレは史上最大のキャラ変じゃ?

青木 それほどに今熱いジャンルなんですよ! ただし、アドベンチャーを購入する際は、足着き性と車体のデカさを絶対に確認すること。小柄な人だと足が届かなかったり、取り回しには苦労しますので。必ず試乗すべし!

●青木タカオ 
1973年生まれ、東京都出身。法政大学卒業。バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに。バイク専門誌を筆頭に執筆媒体多数。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み』(秀和システム)など。実は現役の二輪専門誌編集長でもある