1990年に発売されたWindows 3.0に搭載されたソリティア。カードの配置や各種操作など現在と変わらず、クリア後のアニメーションもまんま!

いかん! 今日は絶対にやっちゃダメ!!と決心して出社したはずなのに......気づいたらメールチェックより先に起動してカードをペラペラ。この悪魔的な中毒性を誇るソリティアの魅力をトリビアと共にお届けです!

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■タッチ操作でも快適!ソリティアの魅力

「Windows」に標準で搭載されるカードゲーム『ソリティア』が今年5月に生誕30周年を迎えた!

1990年に発売された「Windows3.0」で初めて登場したソリティアは『クロンダイク』『フリーセル』などのトランプを使ったゲームを数種類ラインナップ。どれも基本は数字順にトランプを並べるだけという簡単操作で誰にでも遊べる一方、パズル要素は強め。マイクロソフトによれば現在でも日に1億回以上もプレイされるモンスターゲームなのだ。

その中毒性はガチ! 今回はそんなソリティアの魅力をパソコン入門書『できるWindows』シリーズを20年以上にわたり執筆するITジャーナリストの法林岳之(ほうりん・たかゆき)さんに聞いてみましょう。

――日本ではいつからソリティアンが増殖したのですか?

法林 日本では95年の「Windows95」の発売からです。それまでの日本語版Windowsは世界共通仕様ではなく、一部の限られた人が使うものでした。しかし、Win95は誰にでも簡単に使えるOSとして登場し、その象徴的な標準ゲームがソリティアだったのです。

――なんかネットの噂だと、マウスの操作を覚えさせるためにソリティアを搭載したとかありますよね?

法林 それについては正式な発表がなく確証はありません。もともと海外ではソリティアのようなカードゲームは人気があり、古くからパソコン用として発売されていました。しかしソリティアでマウスの操作を習得できるというのは間違いないです。

当時はWin95で「初めてマウスを触った」というユーザーが多く、マウス操作でつまずくこともありました。ソリティアのプレイにはダブルクリック、ドラッグ&ドロップなどマウス操作の基本が全部入りで、初心者や高齢者でもすぐにゲームを楽しみながら操作を覚えられたんです。それこそ私も「ソリティアでマウス操作を覚えよう!」というページを何度も作りましたね。

また、ソリティアをクリアしたときに表示される、トランプが扇状に展開する滑らかなアニメーション。これは当時、ビジネスシーンでの利用が主だったパソコンを「エンタメにも使える」とアピールするのに貢献したと思います。

――その後、日本では仕事をしないおじさんの呼称として「ソリティア社員」というワードが誕生するほど浸透。しかし12年に悲劇が襲います。

法林 ソリティアは「Windows8」でいったん、標準搭載のゲームから外されました。Win8はマウス操作より、当時スマホで注目され始めたタッチ操作を推し進めたOSで、それで外されたのでしょう。

その後、ソリティアはアプリとして配信されましたが、当時は「パソコンを新しくしたらソリティアがなくなった!」と一部で話題になるほどのロスでした。

Microsoft Solitaire Collection  Microsoft Corporation/無料  Windows 10では画面左下の【スタートボタン→Microsoft Solitaire Collection】から起動できる。現在はスマホ版も配信され、クリア後のアニメーションもあり! 『Microsoft Mahjong』という上海系ゲームも無料で楽しめるから、依存症要注意!

――スマホ版のソリティアもありますよね。これは?

法林 実はタッチ操作の基本もすべてソリティアで学べるんですよ。ソリティアって新しいデバイスの操作方法をすべて落とし込むことができ、それこそVRにも対応する汎用性がある。開発者側からしたら、これがソリティアの魅力です。

――汎用性が高く、それでいて中毒性も強め。そもそもソリティアンたちは何目的でゲームをしているんですか?

法林 現在の「Windows10」に搭載される『Microsoft Solitaire Collection』にはユーザー同士でタイムやスコアを競うモードもありますが、ほとんどの人はそれをやっていません(笑)。

ただ、クリアしてカードが扇状に展開するアニメーションを眺めるのを繰り返す。そうして新たなソリティア依存症が生み出されているんでしょうね。

――週プレ編集部のソリティアン、ハマノも「ソリティアで生産性は落ちない!」と豪語しながらプレイしてるガチ依存症です......。そんな依存症を克服するテクニックはあるんでしょうか?

法林 私の場合は就寝前限定でソリティアをやります(笑)。それもマイクロソフト製のソリティアでなく、スマホアプリの『Solitaire by MobilityWare』をプレイします。

――その理由は?

法林 豊富な「デイリーチャレンジ」が用意されているからです。これは【カードの移動制限】【カードの配置枠の減少】などの制限プレイのことで、通常のソリティアよりゲーム性が強く、達成感があります。デイリーチャレンジをクリアしたら寝る。これが私のソリティアルーティンです(笑)。

Solitaire by MobilityWare  MobilityWare/対応:Android、iOS/610円  クロンダイク、スパイダー、フリーセルなどのカードゲームを楽しめ、デイリーチャレンジが充実するスマホ版の超人気アプリ!

こちらはパソコン版、Microsoft Solitaire Collectionのデイリーチャレンジ画面。パソコンでもこのようなモードを活用し、ソリティアとのソーシャルディスタンスが重要!

――『バイオハザード』をナイフ一本でクリアする感じの上級モードですね。

法林 まさに、そんな感じです。デイリーチャレンジはマイクロソフト製のソリティアにもあるので、こちらも利用しつつソリティアとのソーシャルディスタンスを保つのがいいでしょうね。

――ただし、マイクロソフトのMicrosoft Solitaire Collectionにはソリティア以外にも上海系の麻雀パズルや『マインスイーパー』などなど、時間ドロボー系の無料ゲームがラインナップ中。これはこれで要注意っ!