お笑い界を代表するゲーマーである麒麟の川島明さん。そのゲーム愛の深さは、スポーツ雑誌『Number』で無理やりゲームの連載までしてしまうほどだ。

そんな川島さんが、自身の思い出深いタイトルを50本について語り尽くした新書『ぼくをつくった50のゲームたち』(文藝春秋)を発表した。

懐かしのファミコンから最新のハード、スポーツ、アクション、RPGとジャンル的にもゲーム好きなら胸アツ必至の内容となっているが、しかし? 週プレ的には大問題が!

なんと、あの超名作『キン肉マン マッスルタッグマッチ』(ファミコン/1985年発売)が掲載されていないのだ。というわけで川島さんに、物申す! マッスルタッグマッチを掲載しなかった理由とは?

川島 正直、ファミコンでもミニファミコンでもむちゃくちゃやり込んでるゲームなんですけど......。書籍の次回作のために、ここは掲載を見送りました!

――川島さん、いつものイケボが若干裏返りぎみですけどッ!

川島 いやー。僕、兄がいるんですけど、その兄どころか友人全員との友情関係を壊すほど、マッスルタッグマッチをやり込んでましたよ。すべての原因はブロッケンJr.です。

――ブロッケンJr.をめぐる争いが勃発したと?

川島 やはり使用キャラの争奪戦が始まりますよ。バトル開始前のキャラセレクトで、誰がどのキャラを使用するか? ここで必ずひと揉めするのがマッスルタッグマッチなんです。

飛び道具の使えるブロッケンJr.、存在そのものが飛び道具のバッファローマンやウォーズマン。これをセレクトできないと、いきなり不利になるゲームですからね。

あとバトル中は、相手が弱って動きが遅くなったところから、さらにボコボコにするとか。このゲームは人間性が丸出しになるんです。キン肉マンの作中では「友情パワー」言ってますけど、このゲームのせいで何度友情を壊しかけたかって話ですよ(笑)。

――ゲーマー目線で、マッスルタッグマッチのゲーム性の部分で注目してたところは?

川島 リング上のロープがちゃんと機能してプロレスになってたことですね。超人の動きも若干スローで、プロレスゲームの先駆けになったタイトルだったと思いますよ。

『キン肉マン マッスルタッグマッチ』は、そんな思い出がいっぱいある名作ゲームなので、また書籍を出版させていただく機会がれば、今度こそは表紙にしたいと思います(笑)。

――なんだかまたイケボが裏返り気味ですが、よろしくおねがいしますっ! で、こちらの『ぼくをつくった50のゲームたち』(文藝春秋)ですが、けっこうスポーツ系のタイトルが多くラインナップされてますよね?

川島 もともとスポーツ雑誌の『Number』さんの連載ですからね。連載当初は『ハイパーオリンピック』や『パワプロ』とかスポーツモノを紹介していたんですが、だんだんなし崩し的に『熱血高校ドッジボール部』、そして『ドラクエ』『FF』シリーズとスポーツ関係なくなってました(笑)。

――ちなみに当時、衝撃を受けたスポーツゲームは?

川島 それはもう『キャプテン翼』です。原作はサッカーマンガなのに、ゲームではRPGにようにコマンドを選択して進行させる。これはこれで斬新だったし、当時のドット絵のグラフィックでアニメの世界観を表現するにはこの手法が最適だったのではと思っています。

僕も原作の大ファンだったから、このイラストで見せる演出はたまんなかったですよ。

――当時のゲームってスポーツだけでなく男子が好きな要素が全部入りでしたよね。

川島 そうなんです。サッカー、野球のスポーツ、プロレス、そして『少年ジャンプ』のマンガからガンダム。僕らの好きなものが全部ゲームになっていたんですよ。それこそ『スパロボ』シリーズにハマって、そこからガンダムをはじめとするロボアニメの原作もチェックしていくとかね。

あと『信長の野望』や『三国志』シリーズで歴史を覚えて、『桃鉄』シリーズで全国の特産品を覚える。実は勉強にも役立つことがあったんですよ。僕、『桃鉄』なんか「これで〇〇くんが社会の成績上がったから、俺にも買ってくれ!」と親にアピールしたほどですから(笑)。

――新型コロナウイルスの影響でおうち時間が激増ですけど、仕事も家庭も忙しい川島さん世代ならではのゲームの楽しみ方とかありますか?

川島 オンラインゲームであっても、オンラインに接続しないこと。最近は『Ghost of Tsushima』をやってて、ちょっとお酒飲んで良い気分で、そこからオープンワールドをフラフラする。これが、おっさんゲーマー的には居心地がすごく良いんです。

たまにアクションがあって、ムービーを眺める。なんていうか映画感覚ですよね。

――オンライン接続NGの理由は?

川島 以前、オンラインでドラクエのカジノで遊ぼう思ったら、先輩がそこへ入ってきて「おまえ、なにやっとんねん! そんなレベルでカジノとか何様のつもりや!!」と説教されまして。なんでリラックスしてゲームやってんのに説教されるんや!と納得いかず、それきっかけでオンラインから遠のいてますね。

まずオンラインってイベントがあったり、いろいろノルマをこなさないといけない。僕は家族もいるから、娘が泣いたらイベントを中断してそっち優先しますからね。だったらオフラインでゆっくり自分のペースで遊ぶのが、仕事も家庭もあるおっさんのゲームの楽しみ方なのかなと思ってます。

――今年はプレステーション5も発売されたりしますが、今後もますますゲームライフを充実して楽しんでいかれると?

川島 40歳を過ぎても新ハードが発売されるときのわくわく感は相変わらずなんですよ。一方でファミコンの『熱血高校ドッジボール部』をおっさん同士が遊んでも、小学生当時と同じようにケンカするほど熱中できる。

いつ遊んでもゲームの楽しさ、わくわく感って変わらんなぁって改めて実感しますね。今後も自分のペースで新しい遊び方をみつけつつ楽しんでいければと思ってます。

――そんな川島さんの特濃ゲームトークは『ぼくをつくった50のゲームたち』(文藝春秋)で、どーぞ!